ジャスティファイの2世代目産駒を代表する1頭となり得る
今週のこのコラムでは、来年の英国二千ギニーへ向けた前売りでも、英国ダービーへ向けた前売りでも、抜けた1番人気に推されている話題の若駒、シティーオブトロイ(牡2、父ジャスティファイ)をご紹介したい。
エイダン・オブライエンの管理馬として、2014年のG1フィリーズマイル(芝8F)を制したトゥゲザーフォーエヴァー(父ガリレオ)の5番仔として、2021年3月7日に米国のケンタッキーで生まれたのがシティーオブトロイだ。
同馬の3歳年上の半兄ミリタリースタイルが、G3タイロスS(芝7F)勝ち馬で、母の6歳年上の半兄ロードシャナキルが、G1ジャンプラ賞(芝1600m)勝ち馬。さらに、祖母の半姉に、G1イエローリボンS(芝10F)勝ち馬スパニッシュファーンがいるというファミリーを背景に持つ。
父ジャスティファイ(その父スキャットダディ)は、ボブ・バファートの管理馬として、2018年に米国の3歳3冠を達成した馬だ。しかも、デビューから負け知らずの6連勝での3冠制覇で、無敗の3冠達成は1977年のシアトルスルー以来、41年ぶり史上2頭目という快挙だった。さらに、ジャスティファイの競走馬としてのデビューは3歳の2月で、2歳時に競走経験のない馬によるケンタッキーダービー制覇は、1882年のアポロ以来136年ぶりという椿事だった。
G1ベルモントS(d12F)後に、左前脚球節に炎症を起こしたジャスティファイは、それ以降一度も出走することなく現役を引退。2019年からケンタッキーのアシュフォード・スタッドで種牡馬生活をスタートさせた。初年度の種付け料は15万ドルだった。
今年3歳を迎えた初年度産駒から、6月10日にベルモントパークで行われたG1ウッディスティーヴンスS(d7F)を制したアラビアンライオン(牡3)、7月8日にベルモントパークで行われたG1ベルモントオークス(芝10F)を制し、2度目の重賞制覇にして初のG1制覇を果たしたアスペングローヴ(牝3)らが出現。日本でも、OP青竜S(d1600m)を制し、JpnIジャパンダートダービー(d2000m)で4着に入ったユティタム(牡3)を送り出している。
そのジャスティファイの、2世代目の産駒の1頭となるのが、シティーオブトロイだ。
クールモア・パートナーズの所有馬として、母と同じエイダン・オブライエン厩舎に入った同馬は、今年7月1日にカラのメイドン(芝7F)でデビュー。序盤3番手から、400mほど進んだあたりでハナに立つと、残り1Fの手前から鞍上R.ムーアの檄に応えて脚を伸ばし、後続に2.1/2馬身差をつけて初戦勝ちを果した。
シティーオブトロイにとって2戦目となったのが、初出走から2週間後の7月15日にニューマーケットのジュライコースで行われたG2スーパーレイティブS(芝7F)で、ここでのパフォーマンスによって、シティーオブトロイの名は、関係者やファンの間で一躍とどろくことになった。
オッズ1.67倍の1番人気に推されたシティーオブトロイは、残り450mまで好位を追走。そこから鞍上に促されて先頭に立つと、大きなストライドで後続との差を広げ、最後は2番手以下に6.1/2馬身差をつけて快勝。無敗の2連勝で、重賞初制覇を果した。
同馬の父ジャスティファイにとって、産駒が英国の重賞を制するのは、これが初めてだった。
レース後、オブライエン師は、「信じがたいほどの能力を持った馬。私たちが競走馬に求めたい全ての資質を持った、特別な馬だと思います」と絶賛。この時季、自厩舎に出現した期待の2歳馬を褒めちぎるというのは、エイダン・オブライエンにとって年中行事のようなことだが、管理調教師が大きな手応えを感じていることは間違いない。
G2スーパーレイティブSを終えた段階でシティーオブトロイは、来年5月4日にニューマーケットで行われるG1英二千ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ3.5倍前後の1番人気に浮上。6月1日にエプソムで行われるG1英ダービー(芝12F6y)へ向けた前売りでも、オッズ5倍前後の1番人気に浮上することになった。
その後オブライエン師は、シティーオブトロイの次走が、9月10日にカラで行われるG1ナショナルS(芝7F)になること、その1戦をもって今シーズンのキャンペーンを終了し来春に備えることを、明らかにしている。
期待の若駒シティーオブトロイの名を、日本の皆様もぜひ覚えておいていただきたい。