いま競馬予想界で注目される、新進気鋭の若手予想家『のれん』氏。ウマい馬券では、23年7月末日現在でも年間回収率は100%を大きく超えています。
そんな『のれん』氏のこれまでの経歴や競馬観、そして予想方法など、多岐に渡るインタビューを実施。後編では、ご自身の競馬予想を中心に語って頂きました!
ウマい馬券で好成績を収める『のれん』氏がどのようなスタンスで競馬予想を向き合っているのか。買い目の選定方法や買う馬の選び方など、その真髄に迫る内容をお届けします!
※『のれん』氏のサムネイル画像が変更されました。
何事も“違和感”に気付くのが大事
──後編ではnetkeibaユーザーの皆さんも気になるであろう、のれんさんの競馬予想について深く聞いていきたいと思います!
のれん よろしくお願いします。
──ウマい馬券において9週連続のプラスを達成されましたが、本命馬の選定が優秀というだけでは成し遂げられない記録だと思います。馬券の買い方にご自身なりの工夫などはあるのでしょうか?
のれん 基本的に単勝と馬連、ワイドを本線に、それに三連複を加えた合成オッズが4倍以上ぐらいなら買うというスタンスです。合成オッズの基準を4倍にした明確な理由はないのですが、このやり方で結果が出ているので今も続けています。
──複数的中する事もあるでしょうから、それならばプラスになりそうですよね。
のれん そうですね。印通りの結果になれば複数当たるので、結果的に回収率が100%を超えると思っています。単勝と馬連、ワイド2つ、三連複が全て当たれば合成オッズ4倍に的中式別5つをかけ合わせて20倍になりますよね。的中率が15%〜20%ぐらいなので、20レースしたら平均して3レースぐらいは当たる計算。全て2つの式別で当たれば3レース×8万円で24万円ですから、これぐらいならいけるのかなといった感じです。
──やはりしっかりとした理論に基づいて買い目を選定しているんですね。本命馬はどのように選ばれているんですか?
のれん 毎週の振り返りで馬の個性や適性面は把握できているので、あとは出馬表の馬名を見て該当のレースに合っているかを判断しています。
──馬名を見ただけで印が打てちゃう感じですかね?
のれん 名前だけで把握できる上級条件だと、それだけでも大体は掴めますね。ただ長い期間走っていない馬に関しては忘れている事もありますし、そういう馬に関してはパソコンに残したコメントを振り返って漏れがないようにしています。
──予想をしても、買わずに見送るレースもあったりするんでしょうか?
のれん 人気馬が消せない場合は買わない事が多いです。常に上位人気馬ばかり買っていると低い期待値に収束してしまいますから……。買うのは、人気馬に不安があるレースですね。
──6月10日・阪神11Rの水無月Sは、8番人気のスリーパーダが本命でした。
のれん あのレースは、外目の枠に先行馬が入りました。内枠に入った馬が速い馬でない事は分かっていたので、逃げるであろう9番のメイショウゲンセンが内に入って、その後ろぐらいの位置はとれるだろうと。そうなれば外々を回す形にはならないでしょうし、パフォーマンスは上がると考えました。
──なるほど。ちなみに、3番手評価だった13番人気のビアイが4着。この馬が来ていれば、かなりの高配当になっていましたね。
のれん 三連複なら14万馬券だったと思います(笑)。
──こちらも惜しいなと思いながら見ていましたよ(笑)。今のお話だと「馬の並び」も重要視しているんですか?
のれん 昔はあまり気にしていなかったんですが、ここ2年ぐらいは重要視していますね。
──先ほどの水無月Sの場合、内目の枠に先行馬が揃っていれば違った予想になっていたという事ですよね?
のれん その通りです。
──続いて馬の適性面に関してお聞きしたいんですが、どのような視点から馬の適性を見抜いているんでしょうか?
のれん 血統はもちろんですが、馬の走り方なんかも見ていますよ。前脚が前に出る馬や出ない馬がいるので、これらでも適性がわかると考えています。あとはストライドなんかもそうですね。6月11日の函館2レースに出走していたバブルアップハートなんかはいい例で、この馬は1枠1番という枠順を見て能力上位でも危険だと考えました。バブルアップハートは飛びの大きな馬なので、外枠ならまだしも、この枠なら逃げるしかないだろうなぁと……。実際にレースでも逃げる形となりまして、結果的にハイペースとなって敗れています。
──馬の走り方によっても狙いを変えているんですね。のれんさんがそこまで細かく見ている事を知らないnetkeibaユーザーも多いと思います。ほぼ全レースの映像を振り返るとなると、結構な労力を使いますよね(汗)。
のれん レース映像を見返すのは時間がかかりますが、半年ほど前ぐらいから倍速で見ることも多くなり以前よりも効率が上がりました。通常の速さで見るより位置取りに変化があると分かりやすいですし、砂を被って下がっていくのとかもよくわかると思いますよ。
──レース映像を見るときに、重要視しているポイントとかもあるんですか?
のれん 最後の直線で前が詰まったり不利があった馬はチェックしていますが、最も重視するのは「1コーナーの入り」と「3〜4コーナー」ですね。馬場状態にもよりますが、この2か所で外々を回されているようだと相当な不利になると考えています。特に1コーナーに入る時はラップが速くなる傾向にありますから、その時に外を回していると負荷が大きいですよね。
──様々な情報がレース映像から得られるんですね! ということは、情報量が少ない新馬戦は予想しないって事ですかね?
のれん 予想はしませんね。ただ、今後の予想のために調教映像を見たり、血統を見て馬の個性は把握するようにしています。もちろん、レースもしっかりとチェックしますよ。
──ところで、レース映像だけでは能力の比較が難しいと思うのですが、その辺りは時計などの数字も見ているのでしょうか?
のれん ダートだと走破時計での比較もある程度は可能だと思いますが、芝だと馬場の傷み具合などによっても変わりますからね……。レースの流れによっても変わってきますし、自分の場合は戦ってきたメンバーを重視しています。
──ちなみに、騎乗しているジョッキーも気にしたりしますか?
のれん 気にする事もありますよ。坂井瑠星騎手は自分がこう乗ってほしいと思う乗り方をしてくれるので好きな騎手ですね。鮫島駿騎手や西村騎手も上手い印象があります。自分が想定した通りの乗り方をしてくれる騎手は信頼できますね。
──その他に予想をする上で気を付けている事はありますか?
のれん 何事も“違和感”に気付くのが大事だと思っています。例えば内を走った馬が残る流れで、外々を回している馬があっさりと勝ってしまったり……。あとはオッズを見た時に、自分の想定よりも人気がない馬がいた時とかですね。
──全ての馬をチェックしているのれんさんだからこそ、人気の歪みに気付けるんでしょうね。
のれん それはあるかもですね。先ほどのバブルアップハートの時も強烈な違和感があって、この馬を狙うのはここではないなと……。この馬の適性を考えると枠も含め全く合っていないと感じましたし、パズルのピースが全く合っていないような感覚がありました。
──これまでのお話を聞くと「レース映像の振り返りが大事」だと思う反面、ここまで綿密に見返せる方も少ないだろうなぁと……(苦笑)。予想家界隈でのれんさんの名前がよく挙がってくるのも納得しました! 本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回のインタビューでは年間プラス収支である『のれん』氏から、予想に関するさまざまな事をお伺いしました。AI予想が猛威を振るう中、厳しい予想界で勝ち続けるのは並大抵ではないでしょう。
そういう意味でも殆どのAIが用いていないであろう「レース映像分析」は、人がAIに負けないための生存戦略として正しいのかもしれませんね。
来週からは、のれん氏が当週重賞でのオススメ馬を紹介。馬券にも繋がる貴重な情報を、楽しみにお待ちください!