トップジョッキーが各国から集う世界騎手選抜戦「シャーガーC」が開催
話題の中心は今年が最後のシャーガーCになるあの名手
今年で22回目の開催を迎える世界騎手選抜戦「シャーガーC」が、今週土曜日(12日)にアスコット競馬場で行われる。
今年も12名のトップジョッキーが各国から集うが、話題の中心はやはり、年内での現役引退を表明しているため、今年が最後のシャーガーCとなるフランキー・デットーリ(52歳)だろう。アスコットはフランキーにとって非常に相性の良い競馬場で、1996年9月28日には伝説の「マグニフィセント・セブン(7戦7勝)」をこの競馬場で達成。ロイヤルアスコットにおける通算勝ち星81勝というのも、現役騎手では最多(歴代2位)だ。
そのフランキーがキャプテンとして率いるのが、「チーム・ヨーロッパ」だ。フランスでリーディングになること4回というオリビエ・ペリエ(50歳)、ドイツでリーディングになること4回というバウルジャン・ムルザバエフ(30歳)の二人が、フランキーのチームメイトとなる。
シャーガーC出場回数15回という、最多出場記録を持つヘイリー・ターナー(40歳)が率いるのが、「チーム・レディース」だ。
2005年に見習い騎手チャンピオンとなり、2008年には女性騎手として初めて英国で年間100勝を達成するなど、女性騎手の第一人者として君臨してきた彼女は、2018年・2019年に続く自身3度目となる、シルバーサドル(個人優勝)を狙っている。
チーム・レディースの二人目は、ホリー・ドイル(26歳)だ。2019年には年間116勝、2020年には150勝、2021年には172勝と、女性騎手としての年間最多勝記録を更新し続けてきたホリー。2022年にはナシュワでG1仏オークスを制し、英国人女性騎手としてはじめてとなる3歳クラシック制覇を成し遂げている。
チーム・レディースのもう一人は、今年が初参加となるサフィ・オズボーン(21歳)だ。今年がデビュー4年目の彼女。7月29日にアスコットで行われたG3ヴァリアントS(芝7F213y)を、エド・ウォーカー厩舎のランダムハーベスト(牝5)で制し、英国における重賞初制覇を果たしている。
地元を代表する形での参戦となる「チーム・グレートブリテン&アイルランド」でキャプテンを務めるのは、昨年秋のG1凱旋門賞をアルピニスタに騎乗して制し、一躍世界に名が売れたルーク・モリス(34歳)だ。デビューしたのが2005年11月で、今年1月には英国における通算2000勝を達成した腕利きである。
意外にもシャーガーC参戦はこれが初めてとなるのが、トム・マーカンド(25歳)だ。デビューしたのは2014年で、翌2015年に54勝をあげて見習い騎手チャンピオンに。2018年以降は毎年100勝以上をマークし、リーディング上位の常連となっている。8月1日に行われたG1グッドウッドCで、クイックソーン(騸6)に騎乗して大逃げを打ち、そのまま6馬身差で逃げ切った騎乗は、近年屈指のライディング・パフォーマンスと絶賛されている。
「チーム・グレートブリテン&アイルランド」のもう一人は、近年はジョセフ・オブライエン厩舎の主戦として騎乗している、アイルランドのベテラン、デクラン・マクドノー(43歳)だ。
さらに、「チーム・レスト・オブ・ザ・ワールド(その他の国々)」を率いるのが、マジックマンの異名をとるジョアン・モレイラ(39歳)である。ブラジル出身で、サンパウロの見習い騎手学校を出た彼は、祖国で1000勝以上を挙げた後、アジアに転身。シンガポール、香港を拠点として騎乗し、それぞれの地域でリーディングとなっている。日本でも短期免許を取得して騎乗しているから、日本のファンにもお馴染みの騎手である。
香港からは当初、ヴィンセント・ホーが参加予定だったが、7月29日に新潟の第6Rで落馬し負傷。代わって急遽参戦することになったのが、マチュー・チャドウィック(33歳)だ。2012年に武豊騎手をキャプテンとする「チーム・レスト・オブ・ザ・ワールド」が優勝を飾った時の、チームメンバーで、1着1回、2着3回をマークしたチャドウイックはシルバーサドルを獲得している。
そして、「チーム・レスト・オブ・ザ・ワールド」を形成するもう1名が、タイトルホルダーとのコンビでGI天皇賞(春)、GI宝塚記念を制し、世界的にも名が売れつつある横山和生騎手(30歳)だ。
12名の名手が6競走で腕を競うシャーガーCに、日本の競馬ファンの皆様もぜひご注目いただきたい。