▲当時の夫に電話ができるとは到底思えなかった(撮影:桂伸也)
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。
転院の手続きを済ませ帰宅した由紀子さんに、雄造騎手の友人である武田さんからのメールがありました。開いてみるとそこには「雄造騎手に電話を掛けて話をした」という報告が。
寝たきりだった昼間の状況からの変化に衝撃を受け、武田さんに詳細を聞くため電話をしました。
つい武田さんがボケていないか心配に…(笑)
9月28日、転院当日の続きです。
自宅に帰宅後、バタバタと過ごしているとスマホが鳴りました。
京都の錦市場にある「有次」という有名な金物屋さんで、長年店長を務められた武田昇さんという方からのショートメールでした。夫の親友の清誠さんが錦で商売をされているので、清誠さんのお店に遊びに行った際は「有次」さんの前をよく通り、何度か買い物をしていました。そのうち元店長の武田さんと友人になり、退職された今も仲良くしていただいています。
武田さんは、日本の伝統文化に興味がある夫にいろいろなことを教えてくれたり、京都競馬場や阪神競馬場にも応援にきてくださいました。
「夫の怪我のことを知り、連絡をくださったのかな」と思い、メールを開けてみると、そこには驚くべき内容が…。
「今回は大変でしたね。ずっと心配してた。定期的に電話を掛けていたが、ずっと繋がらなかった。でも、今日の19時30分頃やっと話ができて少し安心しましたよ!」
昼間、私が会ったときは完全に寝たきり。話しかけても無反応だったので、電話で話ができる状態になるなんてまだまだ先だと思っていました。
電話で話をするためには、まずは着信に気づいてスマホの画面を確認。そして画面をスワイプして耳にスマホを持っていく──そう、たくさんの動作が必要です。昼の夫の状態を思うと、この一連の作業をこなせるとは到底思えませんでした。
私は即、武田さんに電話。詳しいことを聞かずにはいられませんでした。まず、夫が電話に出るまでの経緯を聞くと、