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【富田暁×藤岡佑介】レース中の“騎乗フォーム”のウェイトは? 真逆のタイプだから解る互いの良さ/第2回

  • 2023年08月23日(水) 18時01分
“with佑”

▲2人のレース中のフォームへの意識は対照的だった(撮影:山中博喜)


富田暁騎手との対談で、「テーマのひとつとしたかった」と佑介騎手が話すのが騎乗フォームについて。スタート後、刻一刻と状況が変化するレース中において“フォーム”にどのくらいの意識を置いているのか。話してみると真逆であることが分かりました。

だからこそ解るお互いの良さ。そこを取り入れながら意識を変化させていくなかで、アドバイスをしてくれる人が多いからこそ生まれる富田騎手の悩みに、佑介騎手が共感しつつ送ったアドバイスとは…

(取材・構成=不破由妃子)

騎乗フォームを意識できる富田騎手の“余裕”



佑介 今回、テーマのひとつにしたかったのが、騎乗フォームについて。レース中、いろんなことを考えていると思うけど、フォームへの意識はどのくらいのウエイトを占めている?

富田 そうですねぇ、今は5対5くらいになってきたかなという気がしています。

佑介 減って5ということ?

富田 減って5です。以前は逆に、騎乗フォームのことしか考えていなかったです。

“with佑”

▲今もレース中に5割は騎乗フォームを意識しているという富田騎手(撮影:山中博喜)



佑介 それはすごい。俺、ここまで乗ってきて、そんな時期は一度もなかった。意識したいとずっと思っているけど、レース中はフォームのことを考えている暇も余裕もないから、終わってから映像を見て、気づいたことを修正していくしかない。フォームを意識できるのは、逃げているときくらいかな。あとは、楽勝できそうだなと思えるレースで、実際に抜け出してから。そうなってやっとフォームに意識が向く。

富田 そうなんですねぇ。

佑介 ここまで真逆だとおもしろいよね。俺もね、返し馬とかゲートに入るまではフォームのことを考えているんだけど、ゲートが開いたら本当に考えている暇がない。ほかのことを処理するのでいっぱいいっぱいだよ。キャパがあれば考えたほうがいいに決まっているけど、俺にはそんな余裕はない。

富田 今、僕がやりたいのは、佑介さんのように集中すること。佑介さんは、馬のリズムを取るのがめちゃくちゃ上手ですけど、逆に僕は騎乗フォームのことを考えて、自分の型にはめてしまうことがあるから…。騎乗フォームだけではなくて、たとえばこういうレースがしたいとか、全部含めてです。そういうこだわりが馬の邪魔をしていると指摘されることもありますし、自分でも思っていたことなので。そうやってずっと乗ってきて、馬のリズムを考えるということがなかなかできなかった。でも、ちょっとずつですけど、ここにきてやっと5対5まで持ってこられたというか。騎乗フォームについては「何も考えない」というのを意識できるようになりました。

──それだけこだわりが強かったということ。
富田 こだわり…、そうですね。

佑介 たとえば、道中で馬がガッと力んだとき、「あ、引いたらアカン。体が後ろに下がらないようにしなくちゃ」とか思うの?

富田 思います。でも、できない。この重心で抑えないとダメだと思っても、実際にはできていないことが多いです。

佑介 俺からすると、そう思うだけですごい。俺なんて、上がってきてから自分の騎乗を映像で見て、「めっちゃ後ろに乗ってるやん!」となる(笑)。

富田 でも、決して余裕があるわけではないんです。たぶん考え方の視点が違うのかなと思うんですけど、逆にレースの組み立てという部分で余裕がないんですよ、僕は。よく佑介さんにも言われますよね。

佑介 うん。真逆だからよくわかるんだよね。暁と俺とでは、競馬の見え方が全然違うんやろうなって。

──それは、どっちがいいとかいう話ではない?

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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