【セントウルS・京成杯AH・紫苑S】秋に向けて挑戦する馬たち
本番に向けしのぎを削る馬たち
夏のローカル開催がひと区切りしたところで、印象深かった重賞勝ち馬をピックアップしてみた。秋のGI戦線に名乗りを上げたことで、今後も注目されることになる。
まずは新潟記念で、3歳馬5年ぶりの優勝となったノッキングポイントだ。ブラストワンピース以来の快挙だったが、前走がダービーの5着で、ゆったり運べる新潟の2000米ならと出走して来たが、流れに乗って横一線のせり合いを制していた。古馬と戦って今後の指針にとレース前は語っていたが、騎乗した北村宏騎手は、「正直で前向きにいつも一生懸命自分の走りをしてくれる馬。一歩一歩、できることが増えてきた」とその成長ぶりに秋への思いをつのらせていた。古馬に勝った成果は、これから生きるだろう。
そして、もうひとつは札幌記念だ。今年もGI馬が3頭揃ったスーパーGIIを勝ったプログノーシスは、春の金鯱賞に次ぐ重賞2勝目だったが、川田騎手とのコンビでこれで6戦6勝とめざましく、天皇賞(秋)が見えてきた。中団から早目に動いて、最速の上がり3ハロン36秒0をマーク。他馬が稍重の馬場に脚を取られるのを横目に最後は4馬身もの差をつけていた。前走は、香港のクイーンエリザベスII世Cに挑戦し、鋭い末脚で2着と好走していた。この経験が大きかったと厩舎では述べているが、こういうケースは今後増えてくるだろうと思っている。
今週から始まる秋競馬では、夏に成果を挙げたこうした有力馬たちが、GI戦線を賑わすことになるのだが、3重賞の中で紫苑Sは、2冠牝馬リバティアイランドへの挑戦権をかける一戦。春は、阪神の忘れな草賞を好位から押し切っていながら腸炎でオークスを見送ったグランベルナデットが、復帰に満を持している。何も注文がつかない馬なのでと、陣営の意気込みが頼もしい。オークス6着のヒップホップソウルとの勝負になるのではと考えている。どちらも秋初戦、どこまで進化しているかだ。
4年ぶりに阪神で行われるセントウルSは、GIスプリンターズSの前哨戦。この10年1番人気が7勝2着3回と圧倒的なのだが、今年はやや混戦気味。そこで4月の前走香港の1200米のG1戦5着と速い流れを経験したアグリを狙ってみたい。今年の初戦2月の阪急杯を4連勝で重賞初制覇。高松宮記念7着は、抜群の手応えで直線に向きながら他馬に接触される不利があったもの。このコースとの相性の良さを強調したい。
それから秋シーズン開幕の定番、京成杯AHだが、このところ4年連続二桁人気馬が上位に来て波乱を生んでいる。ハンデ戦でもありインダストリア、ソウルラッシュの上位を脅かすのは3歳馬とみて、トーセンローリエ、グラニットの2頭を伏兵としてマークする。どちらもマイル戦というところに可能性がある。
「願うのは 打ち上げ花火に ならぬこと」