▲ダービー初勝利を共にした『恩人』についてルメール騎手が語ります(撮影:下野雄規)
「あの人がいたから今の自分がある」「あの人のあの言葉があったから、ここまでやってこられた」──誰の人生にも“宝物”のような出会いがある。浮き沈みが激しく、つねに“結果”という現実にさらされているジョッキーたちは、そんな“宝物”たちに支えられているといっても過言ではない。そんな出会いや言葉でジョッキー人生がどう変わり、そして今の自分があるのかを綴っていく本企画。
クリストフ・ルメール騎手にはフランスと日本にそれぞれ大切な人がいます。ずっと応援し続けてくれ、70歳の誕生日旅行で来日した“セカンド・ファーザー”と、グランアレグリアなど多くの名馬とコンビを組んだ藤沢和雄元調教師。藤沢元調教師とは稚内まで一緒に行ったとか。人生を彩る大切な人たちとのエピソードを振り返ります。
(取材・構成:大恵陽子)
藤沢先生とはプライベートでも仲良し「本当にいい人!」
──今年の天皇賞(春)をジャスティンパレスで勝った後、ご年配の男性と抱き合って喜んでいました。ルメール騎手にとってのセカンド・ファーザーのような存在なのだとか?
ルメール はい、ジェラル・ブノワさんといいます。元ジョッキーで、僕の両親の友達だったので、生まれた時から僕のことを知っています。子どもの頃から彼の家によく遊びに行っていて、娘さんともすごく仲良しでした。だから、セカンド・ファーザーのような人ですね。彼はジョッキーを引退してからも競馬場に見に来ていて、僕のことをよく応援してくれていました。競馬が大好きで、日本にも競馬を見に行きたがっていたら、70歳の誕生日に彼の家族とお友達が日本旅行をプレゼントしたんです。すごく喜んでいました。
──その誕生日旅行で念願の来日。そして、目の前でルメール騎手が天皇賞(春)を勝った、ということですか。嬉し涙を流していましたね。
ルメール 彼が競馬場に来た時にGIを勝つことができて、最高でした。彼はフランスのいいジョッキーだったけど、GIはたしか勝ったことがなくて、僕のGI勝利を見られて感動していました。それと、日本で見るもの全てにビックリしていました。温かいトイレとか(笑)、どこに行っても綺麗だし、競馬場もフランスと日本はまた違って、全部好きになっていました。
▲恩人が見守る中、ジャスティンパレスで天皇賞(春)を勝利(c)netkeiba.com
──思い出に残る日本旅行になりましたね。さて、ルメール騎手といえば、藤沢和雄元調教師とのコンビも印象的です。
ルメール たくさんいい馬に乗せていただきました。ダンスインザムード、レイデオロ、ソウルスターリング、タワーオブロンドン、グランアレグリアとか。
▲藤沢和雄元調教師との初GI制覇は2016年の阪神JF(c)netkeiba.com
──改めて馬名を聞くだけでもすごい。ルメール騎手にとっても大切な方の一人だと思うのですが、どんな人でしたか?