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【スプリンターズS AI予想】あとは枠順次第!? AIの注目馬はレースの傾向からも魅力十分

  • 2023年09月25日(月) 18時00分

オールカマーを制したローシャムパーク(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

伏兵がたびたび好配当決着を演出している



AIマスターM(以下、M) 先週はオールカマーが行われ、単勝オッズ5.6倍(4番人気)のローシャムパークが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いのではないでしょうか。スタート直後は先行争いに加われず、中団からの競馬になるかと思ったのですが、1コーナーの手前で積極的に押し上げ、1〜2コーナーを5番手前後のポジションで通過。もしこのタイミングで好位を取れていなかったら、まったく違った結果になったかもしれませんね。そのまま向正面や3〜4コーナーでも先団のすぐ後ろを追走し、ゴール前の直線へ。残り200m地点を過ぎたあたりでガイアフォース(5着)を、ゴール前の急坂を上り切ったあたりでタイトルホルダー(2着)をかわし、後方から伸びてきたゼッフィーロ(3着)やマリアエレーナ(4着)に対してもセーフティリードを保ったまま先頭で入線しています。巧みにヴィクトリーロードへ導いたC.ルメール騎手も、鞍上や陣営の期待に完璧な形で応えたローシャムパークも、本当にお見事です。

M ローシャムパークはこれで3連勝。前走の函館記念で重賞初制覇を果たしたばかりですが、さらに相手が強くなったここでもしっかり結果を残しました。

伊吹 2017〜2022年のオールカマーは、“JRAの、GIのレース”において7着以内となった経験のない馬が[0-1-1-44](3着内率4.3%)。私はこの傾向を根拠にローシャムパークを軽視してしまったのですが、逆に言うとそれくらい実績馬が強いレースをあっさり勝ち切ってみせたわけですから、今回の予想を反省するだけでなく、ローシャムパーク自身の実力に対する見立ても修正しないといけませんね。GIで善戦できるくらいのポテンシャルは確実にあると見て良いでしょう。

M 今秋のビッグレースでも相応の注目を集めるのではないかと思います。

伊吹 ここ2戦は右回り、かつゴール前の直線が比較的短いコースだったものの、東京のレースも現在のところ3戦2勝3連対です。左回りのコースやゴール前の直線が長いコースは問題なくこなせるうえ、血統やこれまでのレースぶりを見る限りだと、距離適性の幅もそれなりに広いはず。次走以降のレース選択を含め、今後も目が離せません。

M 今週の日曜中山メインレースは、現役屈指のスピード自慢が一堂に会する下半期のGIシリーズ開幕戦、スプリンターズS。昨年は単勝オッズ20.3倍(8番人気)のジャンダルムが優勝を果たしました。なお、その2022年は2着に単勝オッズ20.0倍(7番人気)のウインマーベルが、3着に単勝オッズ18.6倍(5番人気)のナランフレグが食い込み、3連単46万8950円の高額配当決着。波乱含みの一戦と見ておくべきでしょうか?


伊吹 過去10年の3着以内馬30頭中12頭は単勝7番人気以下。伏兵を積極的に狙って良いレースだと思います。


M 単勝1番人気馬や単勝2〜3番人気馬の好走率は決して悪くないのですが、単勝4〜6番人気あたりの馬があまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 単勝16番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-11](3着内率0.0%)だったものの、単勝4〜15番人気の馬は2013年以降[2-4-9-105](3着内率12.5%)で、どのゾーンも好走率に大きな差はありませんでした。3連単の配当を見ても、過去10回のうち5回は4万円未満でしたが、残る5回はいずれも10万円以上。「人気馬が順当に上位を占めたら仕方ない」と割り切り、妙味ある人気薄を買い目の中心に据えるのもひとつの手でしょう。

M そんなスプリンターズSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ジャスパークローネです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。伏兵と言えるかどうかは微妙なところですが、人気が集中するということはなさそう。

M ジャスパークローネは2走前のCBC賞と前走の北九州記念を連勝。サマースプリントシリーズの獲得ポイントを21まで伸ばし、チャンピオンに輝いています。ただ、前走も単勝オッズ13.1倍の5番人気どまりだったように、どちらかとう言うと支持が集まりにくいタイプ。GI初挑戦の今回も、それなりに妙味あるオッズがつくかもしれません。

伊吹 単純に相手が強くなるうえ、同型馬が多い点も不安視されそう。上位人気グループに入るか入らないかくらいの立場で臨むことになりそうですね。Aiエスケープが有力と見ている点を踏まえたうえで、この馬の戦績とレースの傾向を見比べていきましょう。

M 最大のポイントはどのあたりだと考えていますか?

伊吹 近年のスプリンターズSは、年明け以降の戦績が非常に重要。2019年以降の3着以内馬12頭は、いずれも“同年の、中央場所ならびに中京の、重賞のレース”において1着となった経験がある馬でした。


M これはわかりやすい。2023年に入ってからの重賞を勝ち切っていない馬は強調できませんね。

伊吹 重賞未勝利の馬だけでなく、年明け以降に中京を除くローカル場の重賞しか勝っていない馬も、近年は期待を裏切りがち。今年の該当馬も過信禁物と見るべきでしょう。

M ジャスパークローネは2走前に中京芝1200mで施行されたCBC賞を完勝している馬。強調材料のひとつと言えそうです。

伊吹 あとは直近のパフォーマンスやコース適性も素直に評価したいところ。前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.2秒以上だった馬は2019年以降[1-1-3-43](3着内率10.4%)ですし、3着以内となった5頭のうち3頭は同年のオーシャンSで連対を果たしている馬でした。


M こちらもはっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 今年は2023年のオーシャンSで連対を果たしたヴェントヴォーチェとディヴィナシオンが不在。例年以上に前走好走馬を重視するべきでしょう。

M 前走の北九州記念を勝ち切っているジャスパークローネにとっては心強い傾向です。

伊吹 これらの条件をクリアしている馬はそれほど多くないので、もともと私もジャスパークローネには重いシルシを打つつもりでした。ただし、最終的な買い目上の位置付けは枠順を見てから決めた方が良さそう。年明け以降のビッグレースで連対しているような実績馬を除くと、枠番が5〜8枠の馬はほとんど上位に食い込めていません。


M 近年は基本的に内枠有利、と。

伊吹 特別登録を行った馬のうち、“2023年の、JRAの、GIのレース”において2着以内となった経験があるのはナムラクレアだけ。金曜の段階で各馬の評価を見直したいと思います。

M ジャスパークローネも枠順がカギになりそうですね。

伊吹 他の逃げ馬がどんな枠を引き当てるかにもよるとはいえ、やはりどちらかと言えば内枠の方がスムーズにレースを進めやすいのではないでしょうか。もっとも、Aiエスケープが推奨しているくらいですから、上位に食い込めるだけの力はあると判断して良いはず。仮に好枠を引けなかったとしても、押さえておくに越したことはありません。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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