▲“とにかく帰りたい”夫へ、関西の病院への転院を提案(撮影:桂伸也)
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。
意識を取り戻して以降「帰りたい」コールを続ける雄造騎手ですが、相も変わらず由紀子さんは鬼嫁。夫と同じレベルの熱量で、逆に「入院を続けてほしい」と願っていました。
そんなある日、夫のリハビリへのモチベーションを上げるため、関西の病院への転院を提案することにしました──。
「亭主は元気じゃなくても留守がいい!(笑)」
その後も夫からの「帰りたい」コールは続きました。
リハビリや治療の効果で少しずつ病識を持つことができた夫は、怪我を治さなければ退院が難しいということも理解できるようになっていました。
脳が正常であれば、リハビリに精一杯取り組むことが退院への一番の近道だと理解できるはずです。ですが、理解しつつも、後遺症の影響で判断能力や抑止力に問題があるのか、「帰りたい」という気持ちを抑えることが難しく、リハビリの重要性をすっかりと忘れてしまい、帰宅願望ばかりが強くなる。この頃の夫は、そういう状態にありました。
病院のスタッフさんに帰宅したいことを訴え、訴えが激しいときは「奥さんに聞いてみたら?」と言われていたらしく、
「病院のみなさんはとても親切だけど、家に帰りたい」
「子供たちに会いたい」
「とにかく1日でも早く家に帰りたい」
「リハビリが大切なのはわかるけど、それでも家に帰りたい」
などなど、その都度私に連絡がありました。夫としては、帰りたい気持ちを私に訴えることで、「そこまで帰りたいと思っているなら受け入れよう!」と言ってほしかったのだと思います。
でも、私は鬼嫁です。情にほだされることは決してありません(笑)。