こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、京都競馬場で行われる菊花賞(GI)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
京都3000mは最初のコーナーまでの距離が200m弱と短く、先行争いにおいては内枠が有利。近年だと2015・16年は外枠に先行馬が入った影響でペースが流れたが、スタートしてすぐに坂を上るので基本的にペースは上がらず前半はとにかく折り合いをつけての競馬になる。そして2週目の坂の下りからスパートが始まって4F戦というのが毎年の流れ。
枠別成績を見ると過去の京都開催8年で2枠が半分の4勝を挙げているが、勝ち馬の名前を見るとエピファネイア・キタサンブラック・サトノダイヤモンド・コントレイルと1番人気が3頭で、たまたま強い馬が入ったという面が大きい。3000mという距離だけにできるだけロスなく回りたいのは間違いないが、差し馬なら外枠でも極端に評価を下げる必要はないだろう。
菊花賞と言えば、近年は春のクラシックで勝つような馬は出走せずに古馬との戦いに挑むパターンが多かったため、今年のように皐月賞馬とダービー馬が揃うのは二冠馬を除くと2000年のエアシャカール・アグネスフライト以来。
今年はハイペースの皐月賞、スローペースのダービーとまったく違うレース質になったにもかかわらず2頭で1・2着を分け合ったように、ソールオリエンスとタスティエーラの能力が他の春クラシック出走馬と比べて高いのは明らか。普通に能力を発揮できる状態ならば、この2頭の上位は揺るがなさそう。
ただ一つ気になるのは両者とも関東馬という点で、上記に挙げた2枠で勝利した4頭もすべて関西馬だった。牡馬クラシック路線は3歳春までホープフルS(中山)→皐月賞(中山)→ダービー(東京)と関東馬はGIレースで長距離輸送を経験することなく走ることができるし、賞金を積めるレースも豊富なので特別な理由がなければそれ以外のレースでも関西のレースに使うことはない。
そのことから、クラシック路線を歩んだ関東馬は3000mという特殊条件の菊花賞で初めて長距離輸送してのレースを経験することになり、レースでの成績も西高東低の結果になっている。
ここ2年で初輸送の関東馬が3頭連対しているとはいえ、それで上がってこの数字なので難しい条件なのは確か。両者とも栗東滞在はせずに直前輸送で臨むようなので、一つの課題とは言えるのではないか。