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【江田照男騎手】「これだけ個性的な馬はいない」テリオスベルとの“愛されコンビ”がJBCレディスクラシックを沸かせる!

  • 2023年10月29日(日) 18時02分
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▲JBCレディスクラシックに出走するテリオスベルと江田照男騎手(撮影:田中哲実)


JBCレディスクラシックに出走するテリオスベル(牝6)。レースでは個性的な“捲り逃げ”スタイルで多くのファンを魅了しています。彼女の主戦を務める江田照男騎手は、これまで騎乗した馬のなかでも「1番の個性派」だといいます。そんなテリオスベルの独特のレーススタイルや普段の素顔についてお話をうかがいました。

(取材・文=デイリースポーツ:小林正明)

普段はおとなしくてのんびり屋さん


──初めて騎乗したのは21年上総Sで、番手から4角手前で先頭に立ち、そのまま粘って2着でした。

江田 初騎乗の時はどこかのタイミングでハナに立ってほしいという指示でした。それなので、テンから仕掛けて、早くにスパートをかけました。

──前半5Fの通過が61秒4と逃げ、先行馬にとっては厳しい展開でした。

江田 前半のペースを考えると、普通の馬なら失速してもおかしくはない競馬だったけど、2着に粘ってくれました。強いなというよりはすごいスタミナだなと思いましたね。ダート馬によくいる大きな馬体ではなく、すらっとした体つきの牝馬。例えるならマラソン選手のようです。速い脚を使えるわけではないけど、一定のスピードを最後まで持続することができる感じです。

──スタミナがこの馬のセールスポイントになりますか。

江田 そうですね。心肺機能が強いのでしょう。すごいスタミナがある。“肉を切らせて骨を断つ”。そんなイメージです。

──他にはいない独特のスタイルです。

江田 変わった子ですよ。自分の形にならないと、下級条件でも負けてしまうかもしれない。ただ、気分よく走らせれば、重賞を勝つことができる。自分でも乗っていて、こんな馬もいるのだなと思いますね。

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▲「自分でも乗っていて、こんな馬もいるのだなと」(撮影:高橋正和)


──自分の形というのはハナに立つことですか。

江田 気持ちが入ると、ハミを取って行く気になる。そのベストの形が先頭を奪うことです。2番手からでも気持ちが入ってくれる時はあるけど、理想は途中からでもハナに立つ形。ただ、スタートの遅い逃げ馬だからね。ゲートは出るけど、二の脚ですっと行けない。そこが難しいところです。


──2走前の門別で行われたブリーダーズゴールドCは逃げて4馬身差の勝利でした。

江田 門別ではこの馬の力を出し切ることができました。強かったです。

──競馬では独特のスタイルを持っていますが、普段のテリオスベルはどうですか。

江田 かりかりするようなところはないし、おとなしいです。のんびり屋さんですね。担当している人に従順で、人なつっこいです。顔もかわいいですよ。

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▲のんびり屋さんで、顔もかわいい!(撮影:下野雄規)


──レースでは勝負根性を発揮します。

江田 のんびりしていて、前半から行く気を見せない分、最後までしぶとい脚を使ってくれると思っています。普通、スタートしてからあそこまで仕掛けると、ハミをガツンと取って行ってしまいますよ。それが出ムチを入れて、ようやく普通の馬の手応えと同じくらいになる。のんびりとした性格がいい面として出ていますね。

ライバルより、自分の競馬に徹するだけ


──スタートしてから終始、追いながらの競馬もあります。

江田 疲れますよ(笑)。追い通しの時もありますからね。ただ、テリオスベルよりも先に人間がバテてしまってはいけないと思っています。テリオスベルに“おまえバテてるな”と思われてはダメですよね。最後までファイトしないと。自分はこの年になりますが、体力には自信があります。レース中、ライバルはもちろんのこと、テリオスベルにも負けないぞという気持ちで、いつも乗っています。

──個性的ですね。

江田 これだけ個性的な馬はいないです。たくさんの馬に騎乗してきたけど、その中でも1番の個性派です。

──個性派だからこそ、ファンが多いです。

江田 このような馬に乗せてもらえるのは嬉しいです。しかも、今はすぐに乗り替わりになってしまう時代ですからね。そんな状況の中でも、乗せ続けてくれています。オーナー、関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいですし、本当にありがたいです。

──今回の舞台は大井1800m戦になります。

江田 これまで勝利こそないけど、好走はしていますからね。

──大井競馬場は10月8日から25日にかけて砂の入れ替えを行い、オーストラリア産の砂になりました。これは園田競馬場、船橋競馬場、門別競馬場と同じものになります。ちなみに、テリオスベルはこの砂で船橋のクイーン賞、門別のブリーダーズゴールドCを勝ちました。

江田 聞いています。白い砂ですよね。実際に走ってみないと分からないけど、時計がかかってペースが落ち着き、スタミナが生きるようになってくれればいいですね。この砂でどんな走りをしてくれるか、楽しみですよ。

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▲白い砂の門別競馬場でブリーダーズゴールドCを優勝(撮影:田中哲実)


──レースに関しての意気込みを聞かせてください。

江田 自分はどこかでハナへ行かなければならない。正直なところ、そこに関してはその時の気分もあるし、ゲートが開いてみないと分からないです。できるだけ早く自分の形に持ち込みたいです。それが早ければ早いほど、最後まで頑張ってくれます。ただ、ライバルはそのことを知っていますからね。相手というよりは自分の競馬に徹するだけです。

──最後テリオスベルにひと言をお願いします。

江田 いつも一生懸命に走ってくれてありがとうね。

(文中敬称略)

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