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米BC開催が迫る 日本からは賞金3億円超えトップホースも参戦

  • 2023年11月01日(水) 12時00分

日本では馬券発売がない競走の見どころをご紹介


 第40回ブリーダーズCの開催が、今週の3日(金曜日)、4日(土曜日)に迫っている。日本でも馬券発売がある競走についての情報は、メディアに溢れているので、このコラムは、日本調教馬の出走があって、日本では馬券発売がない競走の見どころをご紹介したい。

 まずは、開催初日に組まれた2歳のG1ジュベナイル(ダ8.5F)。ここに、森秀行厩舎のエコロネオ(牡2、父バーナーディーニ)が出走する。(※その後左前球節ねん挫で出走取消)

 全米で行われた地区ごとのチャンピオン決定戦の勝馬が、ここで一堂に会するというのがG1ジュベナイル(ダ8.5F)で、今年もそのパターンを踏襲した顔触れとなっている。

 東海岸の代表が、10月7日にアケダクト競馬場で行われたG1シャンペンS(ダ8F)を4.1/4馬身差で快勝しての参戦となるティンバーレイク(牡2、父イントゥーミスチーフ)。ケンタッキー地区の代表が、同じく10月7日にキーンランド競馬場で行われたG1ブリーダーズフューチュリティ(ダ8.5F)を制したロックト(牡2、父ガンランナー)。西海岸の代表が、これも10月7日にサンタアニタパーク競馬場で行われたG1アメリカンファラオS(ダ8.5F)を3.3/4馬身差で完勝したムース(牡2、父グッドマジック)。この3頭に加え、9月10日にデルマー競馬場で行われたG1デルマーフューチュリティ(ダ7F)を制し、デビューから無敗の3連勝を飾ったプリンスオブモナコ(牡2、父スパイツタウン)が加わった、4頭による争いというのが大方の見るところだ。

 2戦して未勝利のエコロネオは、ありていに言って人気はない。だが、ダート未経験のピンクカメハメハでサウジダービーを勝ったり、ダート未勝利のフルフラットで同じくサウジダービーに勝ったりと、3歳戦で「森マジック」を見せてきた森秀行調教師の管理馬だけに、常識では計れないところがあるようにも思う。

 続いて、開催2日目に行われる芝5FのG1BCターフスプリント。ここにエントリーしているのも、森秀行調教師が管理するジャスパークローネ(牡4、父フロステッド)だ。同馬は、芝1200mの重賞を2勝、GIスプリンターズS(芝1200m)でも4着に入っている、確固たる実績馬である。

 ここは、ヨーロッパから遠征してくるリヴインザドリーム(セ4、父プリンスオブリル)と、ブラッドセル(牡3、父タスリート)の2頭が、人気を分け合う形となっている。

 A.ウエストが管理するリヴインザドリームは、4歳を迎えて力をつけてきた上がり馬だ。重賞初挑戦となったニューマーケット競馬場のG3パレスハウスS(芝5F)で2着に好走。続くヘイドック競馬場のG2テンプルS(芝5F)3着、ドーヴィル競馬場のLRセルクル賞(芝1000m)4着と惜敗が続いた後、8月25日にヨーク競馬場で行われたG1ナンソープS(芝5F)を制し、G1初制覇を果たしている。同馬はその後、アメリカで1戦。10月7日にキーンランド競馬場で行われたG2ウッドフォードS(芝5.5F)で4着に入っている。

 2歳時からロイヤルアスコットのG2コヴェントリーS(芝6F)を制して、この路線の期待馬と目されていたのが、A.ワトソンが管理するブラッドセルだ。今季序盤はG3コモンウェルスカップトライアルS(芝6F)3着、G2サンディレーンS(芝6F)3着と歯痒い競馬が続いたが、ロイヤルアスコットのG1キングズスタンドS(芝5F)を制し、G1初制覇を果たした。続くG1ナンソープS(芝5F)で3着となった後、前走G1フライングファイブS(芝5F)は7着と崩れたが、サンタアニタパーク競馬場の軽い馬場への適性が高そうなだけに、巻き返しが期待される。

 さらに、開催2日目に行われる牝馬によるダート7FのG1BCフィリー&メアスプリント。ここにエントリーしているのが、武英智厩舎のメイケイエール(牝5、父ミッキーアイル)だ。ここまで6つの重賞を制し、3億円を超える賞金を収得しているトップホースで、なおかつ、たいへんファンの多い馬である。

 ここは、1頭抜けた1番人気がいる。昨年、このレースを含めて4戦無敗の成績を挙げ、エクリプス賞最優秀短距離牝馬に選出されたグッドナイトオリーブ(牝5、父ゴーストザッパー)が、連覇を狙って出走してくるのだ。5歳となった今季は、ここまで4戦2勝。G1マディソンS(ダ7F)、G2ベッドオーローゼスS(ダ7F)をしっかりモノにしている一方、連覇を狙った前走G1バレリーナH(ダ7F)は2着に取りこぼすなど、昨年ほどの磐石さはない。だが、相変わらず安定感抜群の競馬は見せており、馬券の軸という意味で被った人気となっている。

 グッドナイトオリーブを破る可能性がある馬として、まず名前が挙がるのがソサエティ(牝4、父ガンランナー)だ。ここまで11戦7勝という成績だが、7F以下のレースに限定すると6戦5勝。3歳時に制したチャールズタウンオークス(ダ7F)が2着以下に6.3/4馬身差、前々走のG3シカゴS(ダ7F)が10.3/4馬身差、前走の特別ピンクリボンS(ダ7F)も5.1/2馬身差と、自分の競馬が出来た時には手の付けられない強さを見せる馬である。

 このレースにはもう1頭、前走G2サラブレッドクラブオブアメリカS(ダ6F)を制し2度目の重賞制覇を果たしての参戦となるユウギリ(牝4、父シャックルフォード)という馬がいるのだが、同馬は、日本人馬主吉原毎文・世紀恵夫妻による、アメリカにおける自家生産馬なのだ。

 メイケイエール同様、ユウギリにも声援を送ろうと思っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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