▲今週のJBC2歳優駿に出走予定のサンライズジパング(提供:平井裕介調教助手)
不定期連載「クセ馬図鑑─愛すべき強者たち─」。このコラムでは、時にクスッと笑えるような、可愛くてどこか憎めない競走馬の個性にフィーチャーします。
第8回はJBC2歳優駿に出走予定のサンライズジパング。ダート替わりの前走を快勝した一方で、2歳ゆえの子どもらしさも残します。人が跨った瞬間に何かにビックリして走り出してさながらロデオになってしまったり、不意に「しまった、1頭だ」と寂しがったりしながらも、一つ一つ競走馬としての立ち振る舞いを学んで成長していっています。
腕利き助手をもってして「来年、大井でのダート三冠を狙っています」と素質を感じさせるサンライズジパングの素顔を、担当の平井裕介調教助手(音無秀孝厩舎)に伺いました。
(取材・構成=大恵陽子)
名門厩舎の腕利き助手が…「入厩初日に2回落とされました」
──サンライズジパングはまだ2歳なので、子どもっぽい面も残しているかなと思うのですが、いかがですか?
平井 気性はまだまだ子どもですね。前走で乗った武豊騎手によると、先頭に立ちたがらなくてずっと突っ張っていたそうです。「そういうところが良くなれば、もっと走れるよ」と言っていただきました。
▲前走は武豊騎手とのコンビで圧勝(C)netkeiba.com
──初ダートの前走は4馬身差の完勝でしたが、強さはまだまだこんなものじゃないんですね。調教でも先頭に立ちたがらないですか?
平井 歩いていても1頭になって嫌がることはありますね。シュッシュッと調子よく歩いている時はいいんですけど、不意に寂しくなって先頭に行きたがらない時はあります。ふと我に返って「あ、しまった。1頭だ……」と思うんでしょうね、たぶん。
──冷静になった瞬間のギャップが可愛らしいです。
平井 気に入らないことがあると、反射的に脚が出ています。誰かを蹴ってやろうという感じでは全くないので、人にも馬にも当たったことはないですけど、乗っている時に「嫌や」ってなると蹴っています。何が嫌なのかは、よく分かりません(苦笑)。
──独特のセンサーが働いているのかもしれませんね。他にも「え、いま?」みたいな行動はありましたか?
平井 トレセンに入厩した初日、僕が跨った瞬間に突っ走られて、1日に2回落とされました。
──なんと……。乗る瞬間に走り出すとは、ちょっと大変なことになりそうな。
平井 初めての場所で何かが嫌だったんでしょうね。攻め専(調教専門の調教助手)の生野さんが厩舎で乗る時にもちょっと走りかけていて、坂路をキャンターで1本上がって、角馬場で僕が乗り替わろうとしたら、何かにビビッて突っ走っていきました。
──え、じゃあ平井助手は?