▲今回の遠征同行のきっかけを作ってくれた武豊騎手と(提供:藤井勘一郎騎手)
11月4日にオーストラリアで行われた1着賞金約5億円のビッグレース・ゴールデンイーグルを制したのは日本からの遠征馬オオバンブルマイでした。
藤井騎手は、自身が見習い騎手としてオーストラリアでデビューした経歴もあり、オーストラリア競馬への知識も豊富。当初騎乗予定だった武豊騎手のサポートに申し出、関係者協力のもとオオバンブルマイの遠征に同行していました。
(取材・構成:松山崇)
「目的はユタカさんのお手伝い」だったはずが──
藤井勘一郎です。
この度、オオバンブルマイ号のオーストラリア遠征に同行させていただき、歴史的瞬間に立ち会うことができたので、その模様をレポートしたいと思います。
そもそもなぜ、オーストラリア遠征にご一緒させていただくことになったのか。
実は、オオバンブルマイに騎乗する予定だったユタカさん(武豊騎手)のお手伝いをするためでした。オオバンブルマイのゴールデンイーグル挑戦の一報を受けて、ユタカさんに「何かお手伝いできることがあれば」と申し出たのが発端です。
■お手伝いの一環として武豊騎手の現地用プロモーションビデオも作成(提供:藤井勘一郎騎手)
ユタカさんのオーストラリアでの騎乗は1995年まで遡ります。幸いなことに、私が15歳の時に渡航してジョッキーのライセンスを手にしたのがオーストラリアで、見習い騎手時代にリーディング2位を獲得した時に主に乗っていたのがシドニー地区。(ゴールデンイーグルが行われる)ローズヒルガーデンズ競馬場での騎乗経験も豊富だったので、コースの情報をはじめ、ライバルと目されている馬の情報やレース映像を集めて提供することができました。
▲オーストラリアで騎乗していた見習い騎手時代の藤井騎手。2001年に撮影(提供:藤井勘一郎騎手)
そして、現地でのライセンスの取得やビザの手配等をシドニーターフクラブと一緒にお手伝いする中で、「現地でのサポートも」となったのです。
ご存じの通り、ユタカさんは、開催日に負った怪我で、ゴールデンイーグルへの参戦は叶いませんでしたが、ギリギリまで騎乗する道を模索してくださり、断念された際にも「せっかく協力してくれたのに申し訳ない。いつか一緒に勝ちたいね!」というメッセージをいただきました。
吉村調教師も岡オーナーも、怪我の一報を受けた際に、「ギリギリまで武豊騎手でいきたい」と仰っていましたが、10月31日火曜日にユタカさんが騎乗できないことが決まり、代役はジョッシュ(ジョシュア・パー騎手)に。
ジョッシュは私が見習いだった頃から一緒に乗っていた仲で、その技術も人柄も良く知っています。レース週の火曜午後となると、一流ジョッキーの予定は埋まっていることが多いのですが、ジョッシュは体重が重く軽斤量に乗れないこともあって空いていました。このタイミングでジョッシュを確保できたのは、言葉は悪いですが、まさに「不幸中の幸い」だったと思います。
▲オオバンブルマイの岡浩二オーナーとジョシュア・パー騎手と(提供:藤井勘一郎騎手)
世界の名手も愛用する武豊モデルの鎧とは
今回の渡豪には、ユタカさんのサポート(オオバンブルマイのサポートだけでなくメルボルンカップの騎乗馬探しという側面もありました)に加え、武豊モデルの鎧(あぶみ)のプロモーションという目的もありました。