パカパカファーム牧場長のハリー・スウィーニィ氏(提供:パカパカファーム)
イギリスのクラシック三冠最終戦・セントレジャーS(G1)を制した、ハーツクライ産駒のコンティニュアス(牡3)。アイルランドの名伯楽、A.オブライエンのもとビッグレースで活躍をみせていますが、生まれは日本。北海道新冠郡新冠町にあるパカパカファームで生を受けました。来日予定だった今年のジャパンカップは残念ながら回避となってしまいましたが、牧場長のハリー・スウィーニィ氏に生産の背景や幼少期の様子など、お話をうかがいました。
(取材・文=佐々木祥恵)
クラシックレースにはハーツクライ!
──セントレジャーS勝利おめでとうございます。レースはどのようなお気持ちでご覧になっていましたか?
ハリー 結構自信はありました。その理由の1つ目はハーツクライ産駒ですし、距離は全く心配はなかったということ。2つ目はセントレジャーSの前のレースのメンバーがかなり強かったこと。3つ目はレース前にこの馬はとても能力があって、追い切りも素晴らしく、良い競馬ができるという厩舎関係者の話があったことですね。これらのことから、かなり自信がありました。100%ではないですけど、2着までに入るのは間違いないと思いました。
今年のセントレジャーSでのコンティニュアス(提供:Racingfotos Ltd)
──勝った瞬間は?
ハリー 素晴らしいことだと思いました。日本の日高管内の生産馬が外国のクラシックレースを勝つというのは結構珍しいでしょ?
──はい。しかもセントレジャーSは権威のあるレースですね?
ハリー イギリスのクラシックレースの中で、1番歴史が長いです。そのレースを勝ったことに誇りを感じていますし、パカパカファームの生産馬が外国のレースで優勝するのは大したことでしょ? だからスタッフは皆、喜んでいました。
パカパカファームがある新冠町にも垂れ幕が(C)netkeiba.com
──母フラッフにハーツクライをつけた経緯を教えてください。
ハリー 3年目もディープインパクトを種付をする予定でしたが、ディープが病気になり種付が中止されて急遽配合を変更しました。関係者全員と相談して、クラシックレースにはハーツクライが良いと思いました。あと、フラッフはそんなに体は大きくないので、ハーツクライを配合したら産駒のサイズやバランスがちょうど良く出そうな感じがしたというのも選んだ理由です。
──出生後、どのタイミングで海外へ渡ったのでしょうか?
ハリー 離乳の後に海外に行きました。生後8か月か、9か月くらいですね。
母フラッフと幼少期のコンティニュアス(提供:パカパカファーム)
──その頃はどんな印象でしたでしょうか?
ハリー 脚や背中が長く、とてもハーツクライらしい馬でした。
──牧場時代の評価は?
ハリー 例えばの話ですけど、セリに出したら人気になるのではないかと思いました。結構良い馬でしたし、骨も強かったです。すごく大人しくて、良いテンペラメント(気性、気質)でした。
──同世代のパカパカファームの馬とは違った点などはありましたか?
ハリー あの馬は一流の血統ですし、クラシックレースまではわからなかったですけど、重賞レースは勝てるのではないかとは思っていました。
牧場時代は大人しかったというコンティニュアス(提供:パカパカファーム)
──来日予定だったジャパンカップは東京競馬場で行われますが、日本のコースはどうでしょう?
ハリー ハーツクライ産駒ですし、コースや馬場のコンディションも全く問題ないと思います。
──日本でも海外でも、結果を出せるのはどんな馬だとお考えですか?
ハリー 血統、脚が強い、あとはテンペラメント、つまり気性ですね。この要素が全部揃った馬ですね。
いつか生まれ故郷日本で走るコンティニュアスが見れますように…(提供:A.オブライエン厩舎)
(文中敬称略)