近親に現代屈指の活躍馬ひしめく紅一点 ナミュールがGI初制覇
血統で振り返るマイルCS
【Pick Up】ナミュール:1着
阪神JFは大きく出遅れて4着。秋華賞は半馬身差の2着。惜しいところでGIを逃してきたナミュールが、牡馬相手に初のビッグタイトルを手にしました。
きょうだいにラヴェル(アルテミスS)、ヴェスターヴァルト(ファルコンS3着)、アルセナール(1戦1勝)。近親にはマルシュロレーヌ(BCディスタフ)をはじめ活躍馬がひしめいています。3代母キョウエイマーチは桜花賞馬で、その父ダンシングブレーヴは現代屈指の名血。わが国では息子のキングヘイローが優れたブルードメアサイアーとなり(イクイノックス、ピクシーナイト、キングズソード、ディープボンドなどを出す)、海外ではドバウィ、キングマン、オアシスドリームといった名種牡馬の構成要素となっています。
父ハービンジャーは今年JRA重賞8勝目。全種牡馬のなかでドゥラメンテ(11勝)、ロードカナロア(9勝)に次ぐ第3位です。2歳牝馬の大器チェルヴィニア、重賞連勝中の4歳牡馬ローシャムパークも同産駒です。現在、総合種牡馬ランキング第11位。過去3年間、16→20→14位だったので、今年は好調です。ベスト10が近づいています。
血統で振り返る東京スポーツ杯2歳S
【Pick Up】シュトラウス:1着
気性の難しさを抱えた馬ですが、J.モレイラ騎手の高い技術によって道中折り合い、直線で抜け出しました。
母ブルーメンブラットはマイルCSと府中牝馬Sの勝ち馬。8歳で早世したダービー馬アドマイヤベガの代表産駒の一頭で、直線で繰り出す抜群の切れ味がセールスポイントでした。2代母の父トップサイダーの影響か、繁殖牝馬としては気性の難しさを伝えます。これまでに競走馬となった仔にもそうした傾向が見られました。シュトラウスの父モーリスも決して温和なタイプではないため、今回のレース後、J.モレイラ騎手は「コントロールしづらいタイプ」とコメントしています。
とはいえ、父母ともにGIウィナーという超良血馬。折り合いさえつけば重賞を勝てるだけの実力馬であることを証明しました。武井調教師が「現状ではマイル」とコメントしたように、暮れのGIに出るとしたら朝日杯FSになるのでしょう。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【リアルシャダイ】
1993年にリーディングサイアーとなりました。ノーザンテースト時代とサンデーサイレンス時代の狭間の、ほんのわずかな端境期にチャンスを射止めました。現役時代はフランスで走り、芝2700mのドーヴィル大賞を勝ちました。父ロベルトから受け継いだスタミナを伝え、ライスシャワー、ステージチャンプ、ムッシュシェクルなどのステイヤーを出しました。母デザートヴィクスンは米G1を8勝した名牝で、ダート向きの名種牡馬ヴァリッドアピールの全姉。母の父インリアリティはスピードの塊です。
アメリカ血統の影響か、繋ぎが立ち気味に出てくるケースが目につき、脚もとの弱さに泣く仔も少なくありませんでした。代を経ると、優れたダートホースの血統のなかに姿を現すようになり、ルヴァンスレーヴ、チュウワウィザード、コパノリッキー、オメガパフューム、サンライズバッカス、メイショウトウコンなど、そうそうたる砂の猛者たちの構成要素となっています。母がヴァリッドアピールの全姉、という血の成せる業でしょう。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「コーナリングがうまい馬の産駒もやっぱりコーナリングがうまい?」
コーナリングはストライドの大小と関係があります。完歩の大きいストライド走法の馬は直線の長いコースを、その逆のピッチ走法の馬は直線の短い小回りコースを得意とする傾向が見られます。
これまでに見たなかで最もコーナリングが上手かった馬は、有馬記念を勝ったマツリダゴッホ。同馬は重賞を6勝しましたが、そのすべてが直線の短い中山コースでした。マツリダゴッホ産駒はやはり小回りコースを得意とし、新潟、阪神、京都のいずれにおいても外回りより内回りの成績が優れています。
仔は親の特徴をそれなりに受け継ぎます。もちろん、配合によって変わってくる部分はありますが、親が得意としたカテゴリーを仔が得意とするケースは多いと思います。