思わぬ伏兵が上位に来ることも
世代屈指の決め手と言われたリバティアイランドが持てる力を出し切って勝利してから一年がたった。
阪神JFは、勝ちタイムが1分33秒台は当り前で、条件が整えばそれを突破することだって有り得る。まだ底を見せていないメンバー構成だから、どれだけ可能性を見い出せるかを見極めるレースでもある。
ここで2歳女王が決まることに加えて、その先まで展望が開けるかどうか、そこに注目したい。そしてもう一点、思わぬ伏兵が上位に来ることがあるのも、若い馬たちの重賞だけに考えておきたい。
大本命が勝った昨年でも、2着には12番人気でキャリアわずか一戦のシンリョクカが来ていた。抽選対象の1勝馬がこれまで度々連対を果たしていることも、頭に入れておきたい。
出走馬をざっと見渡してどうしても目に留まるのが、それぞれの父馬たち。特に2歳戦では初めて産駒を出している新種牡馬たちが、ターフに新しい風を送っている。
今のところ、ハーツクライの産駒スワーヴリチャードが他を一歩リードしていて、目下4戦して3連勝中のコラソンビートが、その一番手と見られている。
新種牡馬は全部で37頭いて、そのうち10頭は外国産馬が占めている。この先充実していくダート戦線をにらんで、現役時に海外のダートで活躍した馬を輸入しているが、これらはやがて、ダート界の新しい力になっていくと思う。
今のところ、そうした顕著な傾向は見えていないが、中央、地方の交流が整備されていくと、はっきり見えてくるだろう。
新種牡馬で内外のGIを勝ったことのある馬は14頭いるが、スワーヴリチャードは現役時に大阪杯とジャパンCを勝っていた。コラソンビートの3連勝を見ていると、その強烈な末脚が目を引く。特に、前走の京王杯2歳Sでの最後の1ハロンの末脚は光っていた。
父ハーツクライの血を引くスワーヴリチャードなら、これからの成長力に期待できる。紅一点で牡馬たちを一蹴したコラソンビートの底が見えない成長ぶりに、まず注目したい。
あとは、この阪神JFで複数の勝ち馬を出しているダイワメジャーの産駒に目を向け、新潟2歳Sを力強くしっかり伸びて快勝したアスコリピチェーノを。後方11番手から最速の上がりで勝った新馬戦、一変して5番手から力強く伸びて勝利した新潟2歳Sと目下2戦2勝、コントロールの利く馬でソダシ以来の無敗でのGI勝利を狙っている。
そしてもう一頭、ハーツクライ産駒ルシフェルを加えておきたい。ここまで3戦2勝、いずれも牡馬を一蹴しての勝利だが、出世レースのリステッド競走萩Sを前走勝っている。
この2勝は、1800米と2000米だが、最後に必ずいい脚を使っているので、マイルでも阪神の外回りなら、かえっていいように思っている。この一戦で来春の桧舞台が見えてくるかもしれない。
「新女王 桜の香り 漂わせ」