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▲有馬記念に出走予定のスルーセブンシーズに騎乗する池添謙一騎手(撮影:下野雄規)
いよいよグランプリ・有馬記念が迫ってきました。「グランプリ男」とも呼ばれるのが池添謙一騎手。これまで有馬記念は4勝、春のグランプリと言われる宝塚記念でも3勝を挙げます。
しかし、昨年は怪我で療養中。スタンドから見た有馬記念は、「来年は必ず戻ってくる」と決意を強くさせたそう。それを実現させてくれたのが凱旋門賞4着のスルーセブンシーズ。コンビを組んだ春はクビ差で父ドリームジャーニーとの親子グランプリ制覇を逃しましたが、師走の中山競馬場で再び夢にチャレンジします。
(取材・構成:大恵陽子)
「長くいい脚を使えるところはお父さんから継いでいる」
──スルーセブンシーズと初コンビを組んだ宝塚記念では状態の良さをかなり感じていたそうですね。
池添 調教は乗り慣れている方に仕上げを任せた方がいいのではないか、という話になって、調教は一度も乗らずにぶっつけ本番だったんですけど、返し馬で雰囲気の良さがすごく伝わってきました。この感じならチャンスがあるんじゃないかな、と思いながら臨みました。
──レース前の感触通り、いい手応えで4コーナーを回ってきました。
池添 位置取りはイメージよりは後ろだったんですけど、リズム良く走れていましたし、斜め前にイクイノックス、さらにその前にジャスティンパレスがいたので、道中はこれらを見ながら進めていこうと考えました。
4コーナーは本当にすごくいい雰囲気で回って、あとは進路取りだけでしたね。直線を向いて少し狭くなってしまってブレーキかける瞬間があったので勿体なかったです。最後にイクイノックスに詰め寄っているので、あそこがもう少しスムーズにさばけていれば、もうちょっと際どかったんじゃないかなと思えるようなレースでした。でも、スルーセブンシーズはよく頑張ってくれました。
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▲宝塚記念、最後の直線(C)netkeiba.com
──進路取りの細かい動きや考えは netkeibaTV
「謙聞録」でも詳しく解説してくださいましたね。父・ドリームジャーニーにも池添騎手は騎乗されていましたが、似ている面などは?
池添 スルーセブンシーズの方が体があって、縦幅もあります。ドリームジャーニーはピッチ走法だったので、ストライドの大きさは全然違いますけど、反応の良さはいいモノを持っていて、長くいい脚を使えるところはお父さんから受け継いでいるのかなと思います。
──ルメール騎手が乗った凱旋門賞でも4着ながら末脚がすごかったです。
池添 例年に比べていい馬場でレースに臨めたのもすごく大きかったと思います。道中ずっと隣のエースインパクトにちょっと閉じ込められる形で、中に行くしかない進路でクリストフはそこも上手くさばいていましたが、あそこで綺麗に外へと進路を取れていたら、もう少し際どいレースができていたんじゃないかな、と思えるレースでした。
──乾いた馬場でしたがあの走りを見ると、タフな馬場への適性が高いのかな、と。
池添 宝塚記念の時も良馬場でしたけど、荒れた馬場ではあったので、それを考えればこなせると思います。中山の年明けのレース(初富士S・1着)でもちょっとタフな馬場をこなしています。不良馬場やヨーロッパの洋芝は重たくて、例年、凱旋門賞を走った馬はダメージが大きいですが、今年は比較的いい馬場でレースができたので、その点はレース後のことを考えてもいいのでは、と思います。今回も追い切りには乗らないと思うので、詳しい状態や過程は分からないですけど、順調とは聞いています。
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▲4着となった凱旋門賞でも末脚を発揮!(撮影:高橋正和)
怪我でスタンドから観戦した昨年。「来年は必ず戻ってくる」
──「グランプリ男」とも呼ばれる池添騎手が感じる有馬記念コースの攻略ポイントは?