「リバティアイランドみたいだ」陣営も驚嘆

ホープフルSを制したレガレイラ(撮影:下野雄規)
猛然と伸びて外から差し切ったのは、1番人気に支持された牝馬レガレイラ(父スワーヴリチャード)だった。牡牝混合の2歳GI(2004年以降の朝日杯FS、2017年以降のホープフルS)を牝馬が制したのは初めてのこと。イクイノックスが引退したばかりの「木村哲也厩舎、C.ルメール騎手」コンビに、再び大物出現である。
時計は、GIに昇格し年ごとにメンバーのレベルが高くなっているホープフルSのレースレコード2分00秒2であり、陣営から「リバティアイランドみたいだ」と、驚きの声が聞かれた。2歳牝馬陣は阪神JFをレースレコードで制したアスコリピチェーノ(父ダイワメジャー)が一歩リードの勢力図が描かれていたが、たちまち並びかけてきたレガレイラも同じノーザンFの生産馬で、サンデーレーシングの所有馬。それも重なって「皐月賞を選ぶ可能性がある」。大きな展望が生じた。
レース全体のバランスは、前後半の1000m「60秒0-60秒2」=2分00秒2(上がり48秒0-35秒9)。限りなくハロン平均「12秒0」に近い一定ペースであり、紛れの生じるレースではない。ただし、最後の1ハロンは加速して「11秒5」が光る。
今回のレガレイラと同じように、外枠からよろけるようなスタートで後方追走になりながら、2005年の皐月賞を制したのはディープインパクト。1分59秒2で、最後の1ハロン11秒3だった。
レガレイラの祖母ランズエッジは、ディープインパクトと4分の3同血の妹。同じウインドインハーヘアのファミリーという以上に、近親のディープインパクトと似た血統背景を秘めるのがレガレイラ。それでサンデーサイレンスの「3×4」は時代を超えた強みになる。
2着は順当に2番人気のシンエンペラー(父Siyouniシユーニ)。一定ペースの好位追走から抜け出したが、4コーナーで外にふくれ気味になったあと、残り200m過ぎから急角度で大きく外に斜行。サンライズジパング(父キズナ)の進路をさえぎったうえ、レガレイラにぶつかる荒っぽいレースになった(B.ムルザバエフ騎手は過怠金5万円)。
バテたからというより、苦しくなって若さを露呈した印象で、全体の体つきも子供っぽく映った。ただ、パワーを秘める馬体の持ち主なので、これから一戦ごとに成長してくれるはずだ。ぶつけられたレガレイラはびくともしなかったからすごい。
3着サンライズジパングは、審議になっても不思議ないほどの大きな不利があっての3着。芝は新馬戦(0秒8差4着)以来だったから価値がある。同じ父系を持つ現4歳の兄グランシエロ(父ハーツクライ)は、ちょっと勝ちみに遅く勝ち鞍はひとつだが、3歳春に青葉賞を小差4着している。サンライズジパングも渋いタイプに成長しそうだ。
キャリア1戦だけで4着のアドミラルシップ(父ゴールドシップ)はスタートもう一歩。今回は新馬戦のようにスムーズなレースではなかったから、着順、着差以上に中身は濃い。
5着止まりのミスタージーティー(父ドゥラメンテ)も、今回は明らかに消化不良だった。大外枠のため流れに乗れなかった。最後の直線は巧みに内に潜り込んだように見えたが、誤算は再三寄られて狭くなり、まともに追えなかったこと。新馬勝ちだけで挑戦して差のなかったアドミラルシップ、ミスタージーティーの2頭は自己条件なら確勝級だ。
3番人気で7着のショウナンラプンタ(父キズナ)は、手ごたえ良く好位を追走しているように映ったが、前半かかり気味で、かつ、終始外に行きたがってしまった。初の多頭数がこたえている。
5番人気のヴェロキラプトル(父スワーヴリチャード)は、インで包まれるのを嫌って、1コーナーから自身でレースを作る作戦。前半1000m通過60秒0は、心持ち速いかと思える程度だが、終始、アンモシエラ(父ブリックスアンドモルタル)と併せ馬の格好になってしまった。外から来られたあの並走は、同馬は内側だけにペース以上にきびしかった。
当コラムの次回更新は1月9日(火)18時予定です。