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熊沢重文元騎手を取材! 鉄人が考える“人馬一体”とは?

  • 2024年01月12日(金) 12時00分
 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。

 1日に起こった能登半島地震に驚き声も出ないくらいでした。滋賀県もかなり揺れました。

 即、角居勝彦元調教師のことが気がかりになり連絡しましたが繋がらず、知人にも聞いたが全く分からない。僕も3年前に珠洲市で角居先生にお世話になり馬に乗せていただいていたので馬やみなさんの無事を祈りました。3日の新聞に、角居先生のコメントが記載されていたので、被害はいろいろあったそうですが少し安堵しました。

 どんどん寒くなり、被害状況も厳しい状況です。ほんの少しですが協力させていただきました。応援したいと思います。今こそ競馬力です。みんなで力を合わせて復興に向けて全力疾走しましょう。

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「やっぱり競馬はいいなー」

 もう昨年のことになりますが、国民的行事と言っても過言ではない有馬記念は22年ダービー馬、ドウデュース号と武豊騎手が人馬ともに完全復活での勝利! おめでとうございます!

日々是好日

▲23年有馬記念を制したドウデュースと武豊騎手(撮影:下野雄規)


 この日は、「1鞍入魂」で直線鋭く伸び、半馬身差でスターズオンアースを競り落とす手綱さばきは圧巻でした。陣営からも信頼されていて、やはりターフには豊騎手がいないと盛り上がりませんね。鳴りやまないユタカコールがいい響きでした。

 有馬記念のテレビ中継での熊沢重文元騎手、南井克巳元調教師、そして杉本清さんの解説も楽しかったです。91年有馬記念をダイユウサク号で制覇した熊沢騎手の懐かしい話も沢山ありました。単勝13,790円の大波乱。1番人気のメジロマックイーンを抑えレコード勝ちを収めた圧巻のレースでしたよね。豊騎手が「今でも忘れない」と語る伝説の有馬記念です。いつもドラマがあり「やっぱり競馬はいいなー」

 熊沢元騎手は前日の中山大障害のレースでも人馬無事を祈りつつ後輩たちのレースぶりを観戦され、エールを送っておられ人望の厚さを感じます。

 11月11日、京都競馬場で熊沢元騎手の引退式が行われました。記念の帽子とTシャツを着た後輩騎手たちに囲まれ、91年に有馬記念を制したときのダイユウサク号の勝負服で登場したときは、会場から拍手喝采!「くまちゃん」コールにも笑顔で応えられていました。

 そんな伝説の二刀流の鉄人・熊沢元騎手を取材させていただきました。

日々是好日

▲熊沢重文元騎手を取材!


常石 今日はよろしくお願いします。

熊沢 こちらこそよろしく。

常石 引退式に参加できなくてとっても残念でした。引退式の日も始終笑顔でしたね。熊沢さんはいつも笑顔なんですよね。なんかかわいい感じがするんです(恐縮ぺこり)。

熊沢 そうかな?

常石 大先輩に失礼しました。

熊沢 いやいや、大丈夫!

常石 91年の有馬記念は、ダイユウサクで大本命のメジロマックイーンと武豊騎手をねじ伏せ大波乱を巻き起こしました。豊騎手は「今でも忘れられません」との言葉を残し…それだけ凄いレースを勝利されたんですね。まだまだこれからも乗れるんじゃないですか?

熊沢 いやいや、やり残したことはほぼない。気持ちよくターフを去ることができます。怪我も多かったから、命あるうちに騎手を辞めるほうがいいでしょう(笑)。

常石 騎手時代を振り返っての話を教えてください。障害レースでも12年の中山大障害をマーベラスカイザー号で制覇され、平地と障害の二刀流で活躍され、凄いなと思っていました。

熊沢 デビューして1、2年経ってから、いつでも障害レースにも乗れるようにしていたよ。

常石 障害馬は、やはり自分で作られていたんですか?

熊沢 そうやね、初めから一つずつ教えて作っていったね。それが面白かったし、やりがいがあったね。一頭一頭飛びも違うし、人それぞれ乗り方も違うから、自分に合った飛び方をする馬を作っていきます。

 たまに人が作った馬に乗ることもあるけど、そんな時はレースまで毎日練習して馬の癖を掴みます。

日々是好日

▲トレセンにて調教時の一枚


常石 障害競走257勝は大記録です。平地では794勝、うちGI勝利が4勝…。自分では想像できないくらいの活躍です(最敬礼)。

熊沢 いやいや、長いこと騎手やってきたからね。これ以上怪我しないうちに引退するわ。

常石 熊沢さんの騎乗スタイルでずっと気になっていたことがあるんです。鐙がすごく短かったですよね。こだわりがあるんですか?

熊沢 馬の邪魔をしないようにいつも考えてあの長さで乗っていました。人馬一体とよく言うけど、馬の邪魔をしないことが一番だよ。

常石 わあ、いろいろ考えて騎乗されているんですね。僕はあの長さでは、怖くて乗れなかったです。

熊沢 体勢を馬の耳より低くして、馬に包まれるように乗ると馬の走りを邪魔しなくなると思う。馬に包まれるように騎乗することが人馬一体かな。

常石 そうですね。鞍ハマりがよくなりますよね。それが馬の動きの邪魔をしない事なんですね。乗馬にも同じことが言えると思います。

 好きなタイプの馬ってありましたか?

熊沢 走る馬(笑)! これしかないよ。でももちろん(騎手が)走らせないとだめなんだよ。

常石 なるほど、走る馬でも騎手が上手くコントロールして走らせないとだめなんですね。よくわかります。ぼくも走る馬が好きです(爆笑)。ちなみにオジュウチョウサンはなぜあそこまで強いんですか?

熊沢 やっぱり操縦性がよいからだと思う。我慢したい時に我慢できる。賢い馬だし乗り易い。それに尽きると思う。

常石 賢い馬は、レースがよく理解できてる感じがします。では最後に後輩騎手にアドバイスをお願いします。

熊沢 怪我をしないように乗ってください。最後まであきらめないで騎乗することが大事です。

常石 競馬界やファンへのメッセージはありますか?

熊沢 ジャンプレースを大事にして盛り上げてほしいです。平地のGI競争がクローズアップされがちですが、障害レースも中央競馬を支える大事なレースのひとつです。十分にいろいろ考えてやってくれているのでJRAにはお礼を言いたいです。

常石 最後の最後まで鉄人を貫いた騎手人生でしたね。改めて、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。奥様も同席いただき、ありがとうございました。

熊沢 つねちゃんも元気でパラ馬術に取り組んでいるそうなので、頑張ってください。応援しているよ。これはお守りと記念の帽子とTシャツです。お母さんの分もあるからね。

常石 わ〜、嬉しいです。ありがとうございます!

日々是好日

▲嬉しいプレゼントをいただきました!


 数々の金字塔を打ち立てた熊沢元騎手は、最後まで“笑顔の熊沢さん”でした。同期の松永幹夫調教師、小牧太騎手からも温かいメッセージが届き、武豊騎手からもビデオメッセージが届いたそうです。これも熊沢さんの人徳ですね。

オカン 大先輩に取材させていただきお話を聞けば聞くほど、偉大な騎手だったことに感銘しました。息子へのお心遣いもうれしかったです。騎手だったことに誇りを持ち、思い残すことはないと言い切れるのは素晴らしいことだと思います。二刀流の鉄人伝説は、これからも残り続けることでしょう。大先輩の思いが少しでも息子にインプットされますように願います。

 奥様もとっても粋な方で、息子に接していただき感謝申し上げます。母へのお気遣いにも感謝です。ありがとうございます。馬の顔に熊沢さんのサインがある貴重なお守りをもって海外遠征に行きました。感謝。夢をあきらめず大先輩に一歩近づいて二刀流制覇を目指してください。

日々是好日

▲いただいたお守りと


「熊沢さん応援してやー」こそこそとつぶやく息子がかわいかったです。相変わらず親バカやっています。

つねかつこと常石勝義&オカン

(文中敬称)

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1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。

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