ダノンデサイルが京成杯を制覇 今後要注目の“異質”な血統背景とは?
血統で振り返る京成杯
【Pick Up】ダノンデサイル:1着
母トップデサイルはアメリカ産馬。現役時代に米G1・BCジュヴェナイルフィリーズで2着となりました。社台ファームが輸入し、ここまで3頭の仔がデビューを果たしていますが、ダノンデサイルを含めてすべて2勝以上を挙げています。競走馬としても繁殖牝馬としても優秀です。
父エピファネイアは、わが国の主流血統であるサンデーサイレンス、キングカメハメハと相性が良好で、トップクラスの産駒はこのどちらか、あるいは両方を抱えた馬がほとんどです。要するに国内産の繁殖牝馬の仔が好成績を挙げ、輸入繁殖牝馬の仔はもうひとつ、という傾向が見られます。アメリカ産の母から誕生したダノンデサイルは、これまでのエピファネイア産駒の活躍馬のなかでは異質な存在といえます。
母方にエーピーインディを持つエピファネイア産駒は、勝ち上がり率は高いもののこれといった大物は出ていませんでした。ダノンデサイルの活躍により、このパターンも注目度が増してくるかもしれません。
ダノンデサイルが抱えるエーピーインディや、ロベルトのクロスは、スピードの持続力を強化します。瞬発力が問われる直線の長いコースよりも、本質的には今回のような小回りコースが合っていると思われます。
血統で振り返る日経新春杯
【Pick Up】サトノグランツ:3着
サトノダイヤモンド産駒は、京都芝内回りコースで連対率10.0%、外回りコースで20.8%と、明らかに直線の長い外回りの成績が優れています。サトノグランツ自身、京都外回りの京都新聞杯を勝った経験があります。勝負どころの反応が鈍く、追えば追うほど伸びるタイプなので、坂の下りを利用でき、なおかつ直線の長い京都外回りはベストでしょう。
10着と敗れた菊花賞は、後方を追走し、それでも道中押っつけ通しだったので、コース適性以前に何らかの敗因があったのではないでしょうか。
今回は57.5kgという、4歳馬のなかでは最も重いハンデを背負い3着。2着サヴォーナよりも1.5kg、4着のハーツコンチェルトより2.5kg重かったので、同世代相手に同斤量で勝った京都新聞杯、神戸新聞杯とはまた違った価値があると思います。
日本ダービー11着、菊花賞10着と、GIではなぜか大敗していますが、このまま順調に成長すれば、京都外回りの春の天皇賞ではいいところがありそうです。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【モンジュー】
凱旋門賞、仏・愛ダービーなど、ヨーロッパで12ハロン路線を中心にビッグレースを勝ちまくった名馬。凱旋門賞ではエルコンドルパサーに半馬身先着し、日本競馬界の夢を打ち砕きました。
サドラーズウェルズの後継種牡馬のなかではガリレオに次ぐ存在で、英ダービーと愛ダービーをそれぞれ4勝、英セントレジャー3勝、愛オークス2勝など、中長距離のクラシックレースで特に強さを発揮しました。8ハロンのギニーでも強いガリレオとはこのあたりが違います。
スタミナ、底力、成長力に強みがある一方、切れ味に欠けるところがあり、気性面の難しさも伝えます。母方に入った馬の成績は良好。タイトルホルダー、パンサラッサ、ソールオリエンスといった活躍馬が出ています。先に行ったり、追い込んだり、といった極端な戦法で好結果を残しているのは、気性面の難しさが影響しているように思います。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「24年の注目種牡馬は?」
第2週が終了した時点で首位種牡馬はエピファネイア。1月7日のフェアリーSをイフェイオンが、1月14日の日経新春杯をブローザホーンが、京成杯をダノンデサイルが勝っています。年明けわずか2週間で重賞3勝。昨年の重賞勝利数に並び、一昨年(1勝)を上回りました。
種牡馬としてデビューしてから、デアリングタクト、エフフォーリア、サークルオブライフと立て続けにGI馬を誕生させ、初年度250万円の種付け料は7年目に1800万円まで上昇。しかし、その後は当たりが続かず、9年目の今年は1500万円に値下げされました。
今年の3歳は、種付け料が500万だった年の産駒で、初年度産駒のデアリングタクト、シーズンズギフト、スカイグルーヴが3歳春の重賞戦線で活躍しているころの種付け。交配頭数240頭はパーソナルベスト。良質な繁殖牝馬が集まったので、産駒のデキがいいのは納得です。
他にも阪神JF2着馬ステレンボッシュ、京成杯では力んで大敗したものの素質が高いジュンゴールド、2戦2勝のファビュラススター、1勝クラスのカニキュル、インファイター、アルセナール、マーシャルポイント、セントメモリーズなど、素質馬が目白押しです。
これまで種牡馬ランキングは2021年の8位が最高ですが、今年は自己最高順位が狙えるのではないかと思います。