芝のみならずダートでも存在感を見せるロードカナロア産駒
血統で振り返る根岸S
【Pick Up】エンペラーワケア:1着
ロードカナロアの種牡馬成績を見ると、勝ち星(障害戦を除く)に対する芝勝利数の割合は67.8%。同じくキングカメハメハを父に持つドゥラメンテは64.3%、同じく母の父にストームキャットを持つキズナは62.7%なので、それらよりも芝の割合は高いという傾向が出ています。
ただ、全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)を見ると、ロードカナロアは過去5年間、11位→6位→5位→4位→4位とじわじわ上昇しています。ダートを本業とする種牡馬に混じってこの成績は立派です。ドゥラメンテやキズナがこのレベルに到達していないのは、ダートを得意とするロードカナロア産駒が、上級クラスでも好成績を挙げる傾向にあることが大きいでしょう。JpnIを勝ったレッドルゼルを筆頭に、バーナードループ、テイエムトッキュウ、エンペラーワケアがダートグレード競走を勝っています。
エンペラーワケアは「ストームキャット3×3」というインブリードを持ちます。ストームキャットはパワー寄りの特長を伝えるため、このインブリードを持つロードカナロア産駒は、芝12勝、ダート16勝と、芝よりもダートの勝利数が上回っています。
エンペラーワケアは、3代母ジュエルプリンセスが米最優秀古牝馬に選ばれたパワー型の名牝で、半兄サンライズラポール(父コンスティテューション)はダートでオープンクラスまで出世しました。典型的なロードカナロア産駒のダートホース、という血統構成です。
血統で振り返るシルクロードS
【Pick Up】ルガル:1着
2023年のチャンピオンサイアー・ドゥラメンテは、距離適性や馬場適性が幅広く、さまざまなタイプの活躍馬を出しています。距離適性だけを見ても、1200mから3200mまで幅広いレンジで重賞勝ち馬を出しています。交配牝馬の特長をうまく活かすことができるからでしょう。
ルガルは、キングマンボの半妹イーストオブザムーン(仏1000ギニー、仏オークス、ジャックルマロワ賞)の直系子孫にあたる良血。母方にサドラーズウェルズを持つドゥラメンテ産駒、という配合パターンからは他にタイトルホルダー(宝塚記念、天皇賞(春)、菊花賞)が出ており、連対率、1走あたりの賞金額、勝ち上がり率、2勝以上率とも、ドゥラメンテ産駒の全体成績を上回っています。
スプリンターは優れたスタミナ血統を抱えていることが重要で、それがスピードの持続力や底力の担保となります。ルガルの配合構成はそうした意味で好ましく、4歳を迎えてようやく覚醒した感があるので、高松宮記念が楽しみです。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【カーリアン】
わが国はニジンスキー系種牡馬と相性が良く、80年代から90年代前半にかけての十数年間は、マルゼンスキー、ラッキーソブリン、ヤマニンスキー、ラシアンルーブル、ノーアテンションなどが存在感を示し、百花繚乱の趣がありました。
ヨーロッパにおける最良のニジンスキー系種牡馬といえばカーリアン。1988年と91年の二度、英愛リーディングサイヤーの座につきました。代表産駒のジェネラス(英・愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)は90年代のイギリスを代表する名馬です。
日本でデビューしたカーリアン産駒は大成功を収め、フサイチコンコルド、シンコウラブリイ、ビワハイジなど5頭のGI馬を含め9頭の重賞勝ち馬が誕生しました。これほどの成功を収めた海外種牡馬は他にいません。
気性の激しさを伝えるところはありましたが、アメリカ血統だけあって軽い芝のスピード勝負を苦にせず、瞬発力も十分。母の父としてもタイキシャトルやブエナビスタなどを出して成功しました。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「この種牡馬はこの騎手が乗ったときに買え! というのはある?」
トップクラスの種牡馬は、たいていルメール騎手と川田騎手が乗ったときの成績が優れています。要するにこのふたりは腕利きなので、実力馬の騎乗を依頼されるケースが多く、それゆえにハイレベルな実績を残しているわけです。
実例をひとつ挙げるとすれば、芝レースのキズナ産駒にルメール騎手が乗った場合です。
勝率42.9%、連対率61.2%、複勝率73.5%は驚異的で、単勝回収率130%、複勝回収率105%と、馬券的にも頼りになります。ルメール騎手の騎乗スタイルと、芝レースのキズナ産駒は、何かマッチするものがあるのでしょう。2023年以降、このパターンは17レースありましたが、馬券圏内を外したのはわずか2回しかありません。覚えておきたいデータです。