こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、東京競馬場で行われる東京新聞杯(GIII)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
比較的人気馬が好走しやすい
東京芝1600mは直線部分が長くコーナー角もきつくない為、枠順の有利不利が少なく全馬が能力を発揮しやすい舞台。過去10年東京芝1600mの全レースで単勝5.0倍以内の馬をベタ買いした際の複勝回収率が87%と、控除率の80%を大きく超えてくることからも比較的人気馬が好走しやすい事が分かる。
東京新聞杯は一般的に牝馬が調子を落としやすい冬場に行われるにもかかわらず、過去の成績で見ても出走数に比して牝馬の好走が非常に多い。これは牝馬限定戦の選択肢があるにもかかわらず、牡馬相手のレースを使っている点でレベルが高い馬である可能性が高いという側面が大きいと考えるが、この傾向は今後も続くと推測している。
その理由の大きなものとして斤量体系があり、一昨年までの東京新聞杯は収得賞金を一定額稼いだ馬の斤量が増える賞金別定のレースだったが、昨年からはグレードレースの勝ち鞍をもとに斤量が定められるグレード別定に変更されている。
内容をよく見ると、牝馬限定戦を勝った場合牡馬混合戦よりも同じグレードでも加算される斤量が少ないことが分かる。重賞の1着賞金額で見ると牡馬混合戦と牝馬限定戦はGI以外ならほぼ差がないので、斤量の観点でいうと2022年以前は等価値に近かった。ただ2023年以降は昨年のナミュールや、今年のマスクトディーヴァのようなGIIを勝っている馬でも、それが牝馬限定戦なので斤量1キロ増の56キロで出走できるのに対し、例えば牡馬で同じくクラシックトライアルのGIIを勝った馬が出走しようとする場合は2キロ加算の59キロを背負わなければならない。
昨年から斤量体系が改められ、以前に比べ重い斤量で出走してくる馬も珍しくはなくなった。しかし、昨年ハンデ戦を除く芝重賞で59キロ以上の斤量を背負った馬は4頭だけだったことを考えると、やはり59キロ以上の斤量で出走する心理的ハードルは高いのではないかと感じるし、東京新聞杯に近1年でGII以上を勝つようなレベルの牡馬が出走してくる可能性は低いだろう。
また、多くの牝馬にとって春の大目標になるのが同じ東京1600mで約3か月後に行われるヴィクトリアマイルであり、直行するにしても一戦挟むにしても無理のないレース間隔になっている点が東京新聞杯を選びやすい理由の一因になっている。
総合すると、牝馬の方がレベルの高い馬が出走しやすい状況になっているのが今の東京新聞杯であり、今年は登録メンバーを見ても牝馬が上位を占める可能性も十分にあると考えている。