▲上位人気が予想されるオメガギネスとウィルソンテソーロ(撮影:下野雄規、稲葉訓也)
競馬アナライザーのMahmoud氏が、独自計測データから“大混戦”フェブラリーSの勝ち馬を徹底予想!
過去にフェブラリーSを連覇したカフェファラオと安田記念を連覇したソングラインの走行データを比較して浮き彫りになった“ダート上級レース”の傾向から、上位人気馬5頭の診断、地方勢3頭の評価も掲載。
そして、最終結論として本命を打った意外な穴馬とは──。
(構成・文:Mahmoud)
過去のフェブラリーSにみる“ダート上級レース”の傾向
東京競馬場が現レイアウトになってから今年で21回目を迎えるフェブラリーS。過去20年の勝ち馬が前後半どのようなペースバランスで走ったのかまとめてみました。前傾率(後半800m÷前半800m)順に並べてあります。
▲過去20年の勝ち馬の半数以上は前傾ラップ(作成:Mahmoud)
前後半同じラップタイムで駆け抜け勝利したのが2009年サクセスブロッケンですが、JRA通常の5m助走という環境下ではスピードに乗り切らない内にタイム計測ポイントを通過するため最初の200m(100m)のラップタイムがどうしても遅くなってしまいます。したがって2009年サクセスブロッケンは値的にイーブンラップでも、実質前傾度の高いラップタイム推移で走ったということになります。
ダート競馬の本場アメリカほどではなくとも厳しいペースでレースが行われるケースが多いのがフェブラリーS。最も後半特化型のラップタイム推移で勝ったのが2022年カフェファラオで同馬が2021年に勝った際はこの20年で中間層となる前後半のラップタイムバランス。このカフェファラオと、2年連続で安田記念を制覇したソングラインを比べることで同じマイル戦でも芝とダートではどのように質が異なるのかを簡単に説明しておきたいと思います。以下は200m毎の平均ストライド長(1完歩ごとに進む距離。値が上になるほど歩幅が大きいことを表す)のグラフです。
▲ダート戦を走ったカフェファラオ(水色、白)は前半で大きくストライドを伸ばして追走する必要があったことが読み取れる(作成:Mahmoud)
カフェファラオの2022年(白)は最も低い前傾率が示す通り、中盤ペースが緩んでストライドを伸ばさず楽に走れた影響によりラスト400mでストライドが良く伸びてはいるものの、L1400〜1000m=前半200〜600mほどのストライドの伸びは見られません。ここ20年の勝ち馬の中で最も楽に追走していたとはいえ、ラストスパート時の余力消耗度は相応に大きい形となっています。
またペースバランスが中間層に当たる2021年(水色)では、ラスト400mでストライドの若干の伸びが見られるものの序盤から徐々にストライドが狭くなっていく構図。勝ち馬でこれですから、負けた馬たちの疲弊度はさらに大きいはずです。
一方、芝の安田記念を勝ったソングラインは2年とも最大ストライド長をマークしたのがラスト200m。これが芝とダートの違いの基本形です。つまりダート戦のポイントはいかに前半頑張って走り、後半耐えられるかとなります。厳しいペース経験のない馬はダート上級レースでは苦戦する傾向にあります。
フェブラリーSのペースに耐えられる「前半指数」を持つ馬を狙う
出走馬決定順上位19頭のJRA全レースと一部の地方交流レース、延べ246レースにおいて残り600m地点を基点として前後半のラップタイムを指数化してみました。あらゆる施行距離を1600m戦に換算し基準値との秒数差を10倍にした値です。まずは前半指数のトップ20をご覧ください。
▲イクイノックスが世界レコードで制した2023年の天皇賞(秋)は史上稀に見る超ハイペース(作成:Mahmoud)
前半指数1位の2023-10-29天皇賞(秋)でのガイアフォースは残り600m地点を1600m戦換算で基準値より2.66秒速く走り、ラスト600mを基準値より0.80秒遅く走ったということになります。次はモデルケースとして、昨年のフェブラリーSを勝ったレモンポップの指数表をご覧ください。
▲レモンポップは高い前半指数をマークしながらも後半指数がマイナスにならない“理想形”(作成:Mahmoud)
2歳時の2戦目で既に前半指数がプラス10台。そしてここ4戦全て前半指数がプラス10オーバーでかつ後半指数もプラス値。特に南部杯では後半指数もプラス10オーバーと破格の値。ダートマイル戦においては2001年武蔵野Sでのクロフネに次ぐ快パフォーマンスと言って良いでしょう。このレモンポップが理想形の1頭になります。それではnetkeiba予想オッズ上位5頭の指数表を見ていきましょう