▲秋山真一郎騎手と藤岡佑介騎手の対談がスタート(撮影:武田憲久)
今回のゲストは本年度の調教師試験に合格し、2月いっぱいで騎手を引退される秋山真一郎騎手! 美しい騎乗フォームで、ファンや競馬関係者を魅了し続けてきました。
「まだ騎手を続けたかった」と引退発表後も語る秋山騎手。相反する“調教師試験合格”という目標との間で葛藤の日々を送ったといいます。期間中の過ごし方や勉強方法、その頃から変化したという競馬との向き合い方について迫ります!
(取材・構成=不破由妃子)
一次試験通過と聞いて…佑介騎手「っていうか受けてたの!?(笑)」
──調教師試験合格、おめでとうございます。
秋山 ありがとうございます。
佑介 (対談をした時点で)残り3週間ですね。気持ちの面で競馬の見え方が変わってきたようなところはありますか?
秋山 合格してからというより、試験勉強を始めたあたりで変わってきたね。それまでは、騎手としてもっと上手くなりたい、もっと上手く乗りたいという気持ちが強かったんだけど、勉強を始めてからはそっちがメインになっているから、以前より「競馬に乗る」ということに力が入らなくなった。ジョッキーとして決していいことではないという自覚もあったけど、不思議なもので、そうなってからのほうが結果的に上手く乗れたりするんだよね。
佑介 ああ、なるほど。安藤(勝己)さんがよく言っていた「勝とうと思うからダメなんだよ」と一緒で、こういう話を活字で伝えるのってすごく難しい。これを読んだファンのなかには「真剣に乗ってない」と受け取る人もいるかもしれないけど、そういうことじゃないんですよね。真剣に乗っているのは大前提で、そこから先は向き合い方の違いというか、精神論のようなもので。
──そのあたり、競馬がメンタルのスポーツたる所以ですよね。
佑介 得てしてそういうものなんですよね、きっと。
──佑介さんは、秋山さんが調教師試験に向けて勉強を始めたことはご存じだったんですか?
佑介 いえ、知らなかったです。「一次試験、通ったらしいよ」という話を聞いて、「そうなの!? っていうか受けてたの!?」みたいな(笑)。しかも、1回目で合格ですからね。本当にすごい。
▲一次試験合格までは秋山騎手が試験を受けていることを知らなかったという佑介騎手(撮影:武田憲久)
──ジョッキーの一発合格は、田中博康さん、福永祐一さんに次ぐ3人目だそうですね。子供の頃から勉強することが苦にならないタイプ?