▲秋山真一郎騎手と藤岡佑介騎手の対談第2回(撮影:武田憲久)
27年の騎手人生のフィナーレが迫る秋山真一郎騎手をゲストにお迎えしてお届けする対談企画。第2回の今回は、「調教師転身へのきっかけ」を元にトークを進めます。
2020年秋の第一腰椎破裂骨折という大ケガが分岐点になったと語る秋山騎手。復帰後感じた騎乗フォームの感覚との“ズレ”が調教師転身を意識させたといいます。
そんな秋山騎手がこだわり続け、あの“名手”も認めた騎乗フォーム。本人と、同業者の佑介騎手だからこその視点で、その秘密に迫ります。
(取材・構成=不破由妃子)
「乗れなくなるまでジョッキーを続けるのかと…」
佑介 調教師への転身を意識したのって、いつ頃だったんですか?
秋山 2020年の秋に(調教中の落馬で)ケガをしたでしょ。そのケガから復帰して乗り出したときに、なんかこう身体のキレというか動きというか…。以前とは全然違うなと思って。
佑介 第一腰椎破裂骨折。けっこうなケガでしたもんね。
──10月の終わりにケガをされて、翌年の2月の頭には復帰。けっこう無理をされたのでは?
秋山 無理しましたね。大体みんな、そのときは「大丈夫」って言うけど、実際は無理をして復帰するケースが大半だと思います。
佑介 秋山さん、ケガから復帰したとき「今まであまりやってこなかったけど、体作りについて見つめ直して、今いろいろやってるところやねん」という話をしていましたよね。それを聞いて、やっぱり秋山さんは最後の最後までこだわって、もう本当に乗れなくなるまでジョッキーを続ける人なんだろうなと思ったんです。だから、スパッと見切りを付けたのが意外だったんですよね。
秋山 俺ね、あんまり昔の映像とか見ないんだけど、復帰して以前との違いを自覚したとき、30代の頃の映像を見てみたの。それを見て、「これはもう全然アカンな」と思った。自分の感覚的なものより、映像で見たほうがズレが大きくてね。そうやって当時と今の自分の違いを目の当たりにして