▲須田鷹雄氏と矢作芳人調教師のスペシャル対談第4回(C)netkeiba
独自の手腕で国内外問わず数多くのビッグレースを勝利するなど日本競馬を牽引する矢作芳人調教師と、東大卒で唯一無二の存在感を放つ競馬評論家の須田鷹雄氏が、競馬界の課題に斬り込むスペシャル対談。
ここまでの厩舎制度、中央と地方、マスコミと関係者の関係といったミクロな議論を踏まえ、最終回となる今回はマクロの観点で両氏が考える競馬界全体の「理想の業界像」をテーマに議論を繰り広げます。立場は異なれど、理想像には共通する点が多いというお二人。それぞれの観点から思いを明らかにします。
今回の対談を理想達成への第一歩にしたいと語るお二人が思い描く“理想の競馬界”とは──。
前回はこちら▼
物言えぬマスコミと偉い関係者 「業界の立場の強い方」へのお願い(第3回)(構成=須田鷹雄)
須田氏「競馬の世界ってこんなに素晴らしいものなんだよと言えるようになるのが理想」
須田 今日は厩舎制度とか、中央地方とか、マスコミと関係者の関係性とか、限られた話しかしてなかったからあれなんですけど、最後に一番の根っこの部分をお聞きしたいのですが、どういう競馬の世界であってほしいですか? 日本のでもいい、中央競馬だけでもいいですので。
矢作 逆に、まずは須田くんの考えから教えて。
須田 僕は、競馬を知らない人に対しても、「競馬の世界ってこんなに素晴らしいものなんだよ」ということを、負い目なく言いたいです。
さっき言ったようにコロナで失業までしていた人たちのことをなんとも思わないとか、相手によって態度を変えるとかが明らかに見えちゃっていると、世間様に対して堂々と「この業界いいでしょ」と言えないわけですよ。「自分は素晴らしい業界で何十年も仕事をしてきたんだ」って言いたいんですけど、現状は言えない。
しかも私は、三十何年頑張ってきたんですけど、そもそも若い時、田原(成貴)軍団と揉めるところから始まっているんですからね(笑)。
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矢作 あはは(笑)。揉めたんだ。
須田 そうなんです。別冊宝島のときに、他誌に載った田原軍団の座談会について、さすがにおかしいっていうのを書いたんです。当時田原さんの全盛期ですから、田原ファンとも揉めに揉めて。俺、20代にしてはなかなかたいしたもんだったなって思うくらい(笑)。
なんだかね、その時代とあんまり変わらないです。むしろ、当時より