▲チューリップ賞にスウィープフィートを送り出す庄野靖志調教師(c)netkeiba
2歳秋、驚異の末脚で差して白菊賞2着だったスウィープフィート。その後、阪神JF7着を挟んでエルフィンSでは2着と力は見せつつも、牝馬クラシックを前に賞金加算をしたいところです。
そうした中、陣営がこの春に選んだのはチューリップ賞。3着馬までに桜花賞の優先出走権が与えられるとあって、「何とか権利を取って、桜花賞に行きたい」と庄野靖志調教師は意気込みます。新パートナー・武豊騎手を背に行われた1週前追い切りの感触など、庄野調教師に伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
「良さそうでしたよ」武豊騎手の感触
──2月21日に朝一番の坂路で1週前追い切りが行われました。騎乗した武豊騎手からはどんな話がありましたか?
庄野「良さそうでしたよ」と。口向きがちょっと難しいところがあるので、その確認もしてもらいたかったんですけど、「そんなに難しいほどでもないです」と武豊騎手は言っていました。そのあたりは感触を掴んでもらえたかな、と思います。
──全体時計53秒6で、ラスト1ハロン11秒9と、しっかり時計も出ていました。
庄野 予定よりはちょっと速かったですけど、無理なく出た時計です。
──昨秋の白菊賞2着がすごい末脚だっただけに、またあの脚を見たいです。
庄野 最後まで脚を伸ばしてはいるんですけどね。ゲートの中でそわそわするので、タイミングが合えば、と思いますし、この中間も含めてゲート練習はずっとしています。前走は上手くタイミングは合っていないんですけど、それでもあのくらいゲートを出てくれれば、いい位置で競馬ができるかなと思います。
▲白菊賞のような末脚を期待したい(写真右)(c)netkeiba
──近走を振り返ると、道中で気持ちが前に出てしまう面も見られました。
庄野 前走(エルフィンS2着)だけで言うと、前に壁を作ることができなかったですし、常にファイトしている感じもありました。マイルでも少し息が入る瞬間を作ってあげたら、しまいは必ず伸びてくると思います。
スワーヴリチャード産駒は「距離適性も馬格もいろんなタイプがいる」
──スウィープフィートの父は現役時代に庄野調教師が手がけたスワーヴリチャード。現3歳世代の初年度産駒が大活躍です。
庄野 産駒たちは2歳時に数多く勝っていましたし、順調に2歳のうちにデビューできる馬も多かった印象です。そこからGIや重賞を勝てる馬も出てきてくれて、楽しみですよね。
──スワーヴリチャードはハーツクライ産駒。日本ダービー2着から4歳で大阪杯、5歳でジャパンCと古馬になってGI制覇を果たしました。
庄野 ハーツクライなので、「ちょっと(成長が)遅めかな」というイメージを持たれがちなんですけど、子供たちは早くからデビューできていますし、スワーヴリチャード自身も2歳9月の阪神でデビューして、3歳2月に共同通信杯も勝っています。古馬になって大阪杯とジャパンCを勝って、息の長い活躍をしてくれました。種馬としてすごく優秀ですよね。
▲スウィープフィートの父で2019年ジャパンCなどを制したスワーヴリチャード(撮影:下野雄規)
──産駒はどういった特徴がありますか?
庄野 リチャードの仔を見ていると、いろんなタイプがいると感じます。距離適性や馬格などいろんなタイプが出てきていて、いい意味でバラつきがあるのかな、と思います。母親の特徴もあるでしょうから、様々なタイプの産駒が出てきてくれたら、種付けする側も楽しみがあっていいんじゃないかなと思います。これから産駒がたくさんレースに出てくれば、産駒の適性はまた違った方に出るかもしれないですし、まだまだ今からです。
──スウィープフィートがその代表産駒となるよう、次走のチューリップ賞、そしてその先も期待しています。最後に意気込みをお願いします。
庄野 ぜひ、何とか権利を取って桜花賞までは進めたいなと思います。その先についても、距離についてはまだ分からないですけど、いろんな選択肢があるでしょうから、まずはここでしっかりと権利を取ってほしいです。
(文中敬称略)