相性抜群の「アイルハヴアナザー×フジキセキ」 芝・ダート両方に代表産駒を持つ珍しいニックス
血統で振り返る中山記念
【Pick Up】ソールオリエンス:4着
ソールオリエンスのウィークポイントは器用さに欠けるところ。機動力のあるタイプではなく、右回りではコーナーを逆手前で回ることもしばしば。皐月賞はそうした悪癖を出しながらも、前後半58秒5-62秒1という極端な前傾ラップだったため、鮮やかな追い込みを決めました。
レースを重ねるにつれて手前の替え方は上達してきましたが、今回は距離短縮も影響したのか追走に手こずり、最後の直線で大外に持ち出したものの4着まで追い上げるのが精一杯でした。前が止まりにくい開幕週の馬場で、上位3頭は先に行ってラチ沿いを回るというロスのない競馬。実力負けというよりは適性負けでしょう。
母の父モティヴェイターは、タイトルホルダーやステラリアの母の父でもあり、サドラーズウェルズ系らしい持続力を伝えるタイプ。小回りコースに適性を感じさせる要素ではあります。ただ、キタサンブラック産駒は直線の長い東京芝コースがベスト。これまでに重賞6勝、連対率30.6%と抜群の成績です。同じ父を持つイクイノックスが天皇賞(秋)を連覇しましたが、ソールオリエンスも適性があるのではないかと思います。
血統で振り返る阪急杯
【Pick Up】ウインマーベル:1着
米二冠馬アイルハヴアナザーは、引退後すぐ来日し、新冠のビッグレッドファームで6年間供用されたあと、アメリカへ帰りました。平地勝利数の約4分の3がダート、というパワー型で、ウインマーベルは芝における唯一の重賞勝ち馬です。
「アイルハヴアナザー×フジキセキ」の組み合わせはアナザートゥルース(ダイオライト記念、アンタレスS)と同じ。同一種牡馬の芝とダートの代表産駒が同じ組み合わせであるのはレアケースでしょう。この組み合わせはラストコーズ≒ミリセント4×5という相似な血のクロスが生じるためか相性が良く、これまでに12頭出走して8頭が勝ち上がり、連対率32.0%、1走あたりの賞金額461万円という好成績を挙げています。アイルハヴアナザー産駒全体は連対率13.8%、1走あたり117万円なので、明確なニックスといえます。
これで重賞3勝目。アイルハヴアナザー産駒の牡馬は晩成傾向があり、スプリンターズSで2着となったように1200mも守備範囲。ママコチャ、ナムラクレア、ルガルといったライバルは強力ですが、高松宮記念も十分チャンスはあるでしょう。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【アリダー】
1978年の米三冠でいずれもアファームドの2着。結果的に三冠馬の引き立て役に終わりましたが、G1を6勝した実力と、名牝アワミムズの半弟という良血がモノをいい、種牡馬として大成功。1990年に北米チャンピオンサイアーの座につきました。
産駒に米年度代表馬アリシーバとクリミナルタイプ、サンデーサイレンスのライバルとして知られるイージーゴーアーなど多数。日本でもリンドシェーバーが朝日杯3歳S(現朝日杯FS)をレコード勝ちしました。
配合によって芝・ダートどちらに向いた産駒も出し、瞬発力よりも持続力に強みがあります。ジェンティルドンナ、スワーヴリチャード、サトノダイヤモンド、ミッキーアイル、ラッキーライラック、コパノリッキー、ゴールドアクター、アエロリットなど多くの名馬の血に含まれています。ちなみに、アリダーの全兄ホープフリーオンは、アリダーが競走馬としてデビューする前から日本で種牡馬として供用され、中山ダート1800mのレコードホルダー・キヨヒダカなど数頭の重賞勝ち馬を出しました。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「ダート短距離で買うべき種牡馬は?」
リアルスティールは芝・ダート兼用種牡馬で、先日、サウジダービー(G3・ダ1600m)をフォーエバーヤングが制覇しました。芝でもレーベンスティールとオールパルフェが重賞を勝っています。距離適性は幅広く、ほとんどオールマイティといえる成績ですが、ダートは短めの距離で優れた成績を挙げており、ダ1000〜1200mでは69戦21連対(連対率30.4%)と抜群の成績です。単勝回収率139%、複勝回収率160%と回収率も抜群です。
ディープインパクト系で、自身は芝中距離タイプだったので、ダート短距離のイメージは湧きづらいのですが、それだけに人気になりづらいところがあるのかもしれません。ベタ買いしても長期的にはプラスになるという結果が出ています。