春だより届くとともに今年最初のフェブラリーS(GI)、ペプチドナイル号が制覇！ 武英智調教師にとって初めてのGI制覇、おめでとうございます。藤岡佑介騎手の手腕が光りましたね。早いペースの展開の中で粘り切ったペプチドナイルにも拍手です。

　11番人気で3連単153万という大万馬券。京都競馬場で観戦していましたが、馬券は外してしまい悔しかったです(笑)。陣営の皆さん本当におめでとうございました。今後の武英智調教師と藤岡佑介騎手のコンビの活躍も楽しみです。


　3月、引退される調教師の先生方には、ずっとお世話になっていたのに直接お礼も言えず残念ですが、本当にありがとうございました。

　引退される騎手の皆さんにも思い入れが沢山あります。藤井騎手、川島騎手、次のステージでの活躍楽しみにしています。秋山騎手が調教師になるんやーと感激です。また厩舎へ取材に行かせてくださいね。

　障害騎手のレジェンド、熊沢さんに続き北沢伸也騎手も3月5日付で引退されると聞きました。ハードル会を盛り上げてくれていた名手が、また一人引退されるとはさみしくなります。

　早速取材させていただきました(植野元騎手にアポをとって頂き感謝)。


常石　引退されると聞き残念です。お疲れ様でした。引退を決められたきっかけは、何ですか？

北沢　昨年9月に栗東トレーニングセンターで調教中に落馬し怪我をしたのがきっかけになりました。

　1400回以上乗せてもらっていて、50回くらい落馬しているんですが、ほとんどヘルメットが壊れているんだよな。それでも乗れるのが、乗るのが楽しいんだよ。だから障害レースに挑む。勝つ面白さやゴールの瞬間に拍手があり、前には誰もいない快感は最高だね。

常石　同感です。ゴールの瞬間は、やっぱりいいですよね。僕は落馬したときはヘルメットが壊れていないんですよ。だから衝撃が大きかったのかな。

北沢　でも落馬はしないほうがいいから、馬の跳び個性とかよく掴んで信頼して乗る。

常石　そうですよね。でもアクシデントなどあったときは、どう対処されていたんですか？

北沢　自分でどうにかと思わず、馬の動きにしっかり合わせていくことに集中していたよ。

常石　さすがですね。僕だったら慌てて何とか動かそうとしてしまいますね。だから失敗が多いのか。もっと早くに聞いておくべきでしたね。でも乗馬をしているので役立ちます。障害馬は自分で作る面白さがありますが、北沢さんの馬作りへのこだわりを教えてください。

北沢　雑な飛びをしないように、ひとつひとつ丁寧な飛び方を教えていく。1頭だけで仕上げるのではなく、併せ馬や先頭で走ったり後ろから追いかけたりと、いろいろなシュミレーションで作り上げていくことを大事にしながら作っています。

常石　他の騎手がつくった馬に乗ったときは、どう感じますか？

北沢　障害馬へのこだわりはみんな同じだと思うけど、馬の癖などがあるので、作り方が違うときは新しい発見もあるので面白いし参考になりますね。でもレースに向かうときは、これだけ練習したから大丈夫と自信をもって乗るのではなく、より一層慎重に馬に寄り添って乗るね。
　　　　　　
常石　へー、凄いですね、僕は、練習したから大丈夫と思ってしまいます。そこが馬に対する甘さなんですね。乗馬の練習や大会の時に、慎重に馬に寄り添って乗るように心がけます。いろんなこと教えていただきうれしいです。

北沢　いやいや、それは個々のこだわりの違いです。常石君は自分のこだわりをしっかり持って乗ること。それが大事だよ。


常石　熊沢騎手は、鐙をすごく短くして乗りますよね。短くして馬の動きの邪魔にならないようにする熊沢さんのこだわりだそうなのですが、北沢さんはどうですか？

北沢　鐙を短くすると、横に動いたときに弱いので落馬することが多くなってしまいます。熊沢さんは、そうして乗りこなすんだからすごい人ですよ。障害馬に騎乗する騎手は、落馬のリスクを少しでも少なくするために、自分の鐙の長さにはこだわりを持っています。

常石　乗馬は鞭が使えないので鐙が長く、かかとで踏ん張って馬の腹に合図を送っています。競馬はほんの少しつま先が鐙にかかっているだけなので、大きな違いがありますよね。

北沢　鐙の長さはそれぞれの競技の目的に合わせて調整しているからね。

常石　2011年から障害競走に専念され、活躍されていますね。2012、14年にJRA賞最多勝利障害騎手でリーティング2回。阪神ジャンプステークス(ミレニアムスズカ)や、阪神スプリングジャンプ(トーワベガ)の勝利。その後レッドキングダムで中山大障害(GI)を勝利するなど、障害競走通算160勝・歴代単独8位の記録は、素晴らしいです。当時のハードル界には凄い騎手の方がいましたよね。

北沢　一番盛り上がっていた頃だね。熊沢さんをはじめ、嘉堂さん、林さん、出津さん、横山義行さんなど思い出せないくらいだね。ハードル会の宴会も面白かったです。皆さん頑張っていたから刺激も大きかった。父の勧めで中学2年生から乗馬をはじめ、競馬学校へ6期生として入学しました。同期は、牧田調教師、村山調教師など皆さん活躍されています。

　僕も引退後は、藤野健太厩舎で調教助手になります。悔いは残っていません。応援してくださった競馬関係者や陣営の皆さん、ファンの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

常石　新しい厩舎ですね。

北沢　気持ちを新たに心機一転、厩舎スタッフと力を合わせて働けるのが楽しみです。新しい厩舎を盛り上げていく楽しみがあります。

常石　これからの障害騎手にメッセージお願いします。

北沢　怪我なく、1年でも長く騎手を続けてほしいです。


常石　障害競走に騎乗する騎手が少なくなっているなかで、小牧加矢太騎手の乗馬からの移籍は貴重でしたよね。馬の作り方は、どうですか？

北沢　ジャンプ競技をしていたので飛びの上手い馬に仕上げていて、さすがだなと思うことはたくさんありますね。競馬に関してはレースの仕方がわかっていなかったので戸惑っていたようですが、すっかり慣れ、今年は順調に勝っていますね。将来有望です。どんどんたくましくなります。新人もドンドン障害競走にチャレンジし頑張ってほしいと思います。西谷騎手が最年長になるので頑張ってみんなを引っ張っていってほしいと思います。

　そういえば…白浜騎手の練習を見てきて、本人がとっても頑張っていたので応援していきたいです。

常石　北沢さんの心配りはすごいと感じます。白浜騎手も嬉しかったでしょうね。僕の1年後輩なので頑張ってほしいと思います。

　最後に障害競走が無くなるとかいう噂がありますが、どう思いますか？

北沢　JRAは、障害競走を文化として位置付けてくれているので無くなることはないです。ファンの方にも応援していただいて盛り上げていただきましょう。

常石　長い時間色んなお話を聞かせていただきありがとうございました。藤野厩舎での活躍楽しみにしています。

北沢　お疲れ様、つねちゃんもパラ馬術頑張ってください。

常石　ありがとうございます！ がんばります。

　初勝利したときの阪神競馬場で3月9日11時30分ごろウイナーズサークルにて引退式が行われます。皆さん是非きてください。僕も行きます。

オカン　いろいろなお話のなかで競馬愛がドンドン伝わってきます。熊沢さんと同じ匂いがしました。馬だけではなく人への思いやりや気配りも素晴らしいと感じ、競馬界には欠かせない人材で年齢も感じなく若々しくパワーが溢れていました。

　新しい厩舎でひとつひとつ作り上げる楽しみがあると仰っていました。これからも競馬界・障害競走を盛り上げていってくれるでしょう。新しいことに挑む心意気は息子に大きな刺激をくれ、パラ馬術の話にも興味を持っていろいろ聞いてくださいました。頼もしい先輩と話すことができ感謝です。今後ともよろしくお願いします。

つねかつこと常石勝義&オカン