障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。
医療センターの方から「自宅への外泊で気が緩んだのか、リハビリを頑張れていない。そして、ご本人は息子さんの卒園式に出たいと言っています」と報告がありました。
卒園式出席の段取りを進める由紀子さんへ、雄造騎手から直接の連絡はない中、義弟さんからも同様の伝言が…。男らしさの欠片もない夫へ鬼嫁は怒り心頭で…?
「ただ病院から出たいだけ。現実逃避やろ」
夫が病院に戻ったあと、娘の風邪は私にうつり、私は祐一さんの阪神競馬場での引退式に行くことができませんでした。息子は息子で、お友達と行く卒園旅行とこども園の卒園遠足が迫っている状況…。ママ友は、たとえ私と娘が行けなくても、息子が元気なのであれば、旅行に連れて行ってくれると言ってくれました。
息子は、トイレ以外は子供部屋に籠ってひとりで寝たりと、年長児としては完璧な感染対策を実行。が、そんな頑張りも空しく、2日遅れで発熱してしまいました。
夫はというと、元気なまま隔離期間が終了。騎手は身体が強い方が多い印象ですが、夫も風邪に強いらしく、今回も家族でひとりだけ無事でした。
先の帰宅時には、久しぶりに自宅で眠ることになった夫。どうせだったら子供たちと一緒に寝たいだろうと思い、普段私と子供が寝ている部屋で夫と子供たちに寝てもらうことにして、私は子供部屋にお布団を敷いて寝ました。
が、夜中にふと気づくと、私の両隣に子供たちの姿が(笑)。小さな子供特有の「ママがいい!」が発動したようでした。結果的に、別の部屋で就寝したことが功を奏したようで、夫に風邪はうつらず。隔離期間が終わると、すぐにリハビリを始めることができました。
リハビリを再開して数日後、淡海医療センターの方から以下のような報告がありました。
「外泊をしたことで気が緩んだのか、リハビリに熱が入らない。以前は自主リハはしなくても、療法士とのリハビリは真面目に取り組んでいた。今は療法士とのリハビリも頑張れていない。これではここにいる意味がない。退院まであと数十日。そして、ご本人は息子さんの卒園式に出たいと言っています。外出で対応することができます。ご本人から奥さんに連絡が入ると思うので、外出するためにリハビリを頑張るよう伝えてください」
私は、落馬事故以降、夫が急に「子供、子供」と言い出したことにずっと違和感がありました。夫は赤ちゃんが好きらしく、子供が赤ちゃんだった頃は抱っこをしたり、ミルクを私に代わってあげてくれることもありました。ただ、ある程度大きくなり、自我が芽生えた子供の対応はあまり得意ではなさそうでした。