障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。
約4か月入院した淡海医療センターから、めでたく退院を迎えた雄造騎手。家族で盛大にお祝いしたいタイミングですが、由紀子さんは大忙しで卒園式の準備にあたります。
なんとか迎えた念願の卒園式当日、今度は雄造騎手にハプニング発生。退院前から「子どもが優先」と宣言していた鬼嫁は、またまた試練を課します。そして、久しぶりに外の世界で忙しい日を過ごした夫にはとある“変化”が──。
スマホ無しの状態で離ればなれに…
夫の退院が2日後に迫るなか、卒園記念VTRのデータが飛んでしまった話の続きです。
こども園の園長先生には、間もなく夫が退院することを伝えていました。なので、配布時期を変更してもいいと言ってくれたのですが、卒園式の日に見るからこそ感動できるような演出にしていたため、どうしても卒園式当日に保護者の方や子供たちに見てほしいという思いがありました。
となれば、卒園式までの2日間で編集をやり直し、50枚のDVDを焼き上げるしかありません。そうです。私は夫の退院どころではなくなったのです(笑)。
本当は、趣味のテーブルコーディネートをして、おもてなし用の料理と夫の好きなケーキを作り、家族そろって退院のお祝いをしようと思っていたのですが、そんなことをしている時間は1秒たりともなくなってしまいました。
この日は完徹で編集作業に取り組み、夜が明ける頃にはなんとか目途が立ちました。その後もひたすら編集を続け、本編の編集が終わったあたりで夫の退院の時間になり、立ち会いのために病院へ。
病院には「退院時は荷物も多いから手伝いに行くよ」と言って、夫の友人の清誠さんとみっちゃん夫婦がわざわざ京都から来てくれていました。病棟に上がると、調整ルームでのリハビリのために一時外出したときと同様、準備万端で待ち構えている夫の姿が。
みっちゃんがいろいろと手伝ってくれたおかげで、スムーズに退院手続きが終わりました。お世話になった療法士のみなさんが最後に顔を見にきてくださり、夫は少し寂しそうな表情を浮かべながら、約4カ月間お世話になった淡海医療センターを後にしました。