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【NHKマイルC AI予想】ポイントは実績や血統!? AIの注目馬とレースの傾向をチェック

  • 2024年04月29日(月) 18時00分

単勝オッズ2.8倍のテーオーロイヤルが優勝(c)netkeiba


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

高額配当決着も珍しくない波乱含みのビッグレース


AIマスターM(以下、M) 先週は天皇賞(春)が行われ、単勝オッズ2.8倍(1番人気)のテーオーロイヤルが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いのではないでしょうか。7枠14番からの発走だったものの、スタート直後から積極的に出していき、難なく好位を確保。道中は先団のやや外めにつけ、自身とともに人気の中心となっていたドゥレッツァ(15着)をマークするような形に持ち込んでいます。3〜4コーナーでそのドゥレッツァが一杯になってしまった一方、テーオーロイヤルは先行したディープボンド(3着)やマテンロウレオ(13着)との差を詰めにかかり、4コーナーを回り切ってすぐ先頭へ。ゴール前の直線半ばで後続を完全に突き放し、後方から追い込んだブローザホーン(2着)に対してもセーフティリードを保ったまま入線しました。

 決して楽な展開ではなかったと思うのですが、終始攻めの姿勢を貫いた菱田裕二騎手も、鞍上の期待に素晴らしい走りで応えたテーオーロイヤルも、本当にお見事。観ていて気持ちの良い勝ちっぷりでしたし、長く記憶に残りそうなレースです。

M テーオーロイヤルはGI初制覇。鞍上の菱田裕二騎手、管理する岡田稲男調教師にとっても、それぞれ自身初のJRAGI制覇となりました。

伊吹 ローカル場のレースを主戦場としてきたこともあってか、菱田裕二騎手には過小評価されてしまいがちという印象があります。もちろん、それぞれのコースやシチュエーションに対する得手不得手はあるものの、得意な条件でも注目を集めにくく、狙うべき場面さえ見極めれば期待値の高いジョッキー。実力に見合ったタイトルを獲得したことで、今後は活躍の場がさらに広がっていくでしょうから、楽しみで仕方ありません。

M テーオーロイヤルもまだまだ活躍を期待できそうですね。

伊吹 既に6歳ですが、4歳時の年末から約1年間の休養に入っていたこともあり、まだキャリア18戦。ダイヤモンドS・阪神大賞典・天皇賞(春)とコンスタントに使われてきた今シーズンをパーフェクトな戦績で乗り切ったくらいですから、以前よりもさらに力をつけているのだと思います。今ならもう少し短い距離のビッグレースでも侮れない存在となりそう。引き続きしっかり動向をチェックしておきましょう。

M 今週の日曜東京メインレースは、短距離路線を狙ってきた現3歳世代の有力馬が一堂に会する注目の大一番、NHKマイルカップ。昨年は単勝オッズ22.2倍(9番人気)のシャンパンカラーが優勝を果たしました。なお、その2023年は単勝オッズ12.9倍(8番人気)のウンブライルが2着に、単勝オッズ6.1倍(3番人気)のオオバンブルマイが3着に食い込み、3連単26万760円の好配当決着。波乱含みという印象の強いレースです。


伊吹 実際、2022年にも3連単153万2370円の高額配当が飛び出していますからね。単勝人気順別成績を見ればわかる通り、過去10年の3着以内馬30頭中12頭は単勝7番人気以下。伏兵の台頭を警戒しておくべき一戦と見るべきでしょう。



M 単勝2〜3番人気のゾーンはともかく、単勝1番人気馬や単勝4〜6番人気あたりの馬は、好走率が物足りませんね。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2番人気以内の馬は2014年以降[5-3-2-10](3着内率50.0%)、単勝3〜9番人気の馬は2014年以降[5-4-5-56](3着内率20.0%)、単勝10番人気以下の馬は2014年以降[0-3-3-83](3着内率6.7%)となっていました。人気の中心となっているような馬を無理に嫌う必要はなさそうですが、人気薄の馬を積極的に狙っていく価値はあります。

M そんなNHKマイルCでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ノーブルロジャーです。

伊吹 大穴を狙ってくるかと思いましたが、少々意外なところを選んできましたね。単勝2番人気以内ということはないでしょうけど、それなりの支持は集まりそう。

M ノーブルロジャーはデビュー2戦目のシンザン記念を制している実績馬。休養明けで臨んだ前走の毎日杯も、勝ったメイショウタバルに6馬身の差をつけられてしまったとはいえ、他の馬には先着を許していません。今回と同じ東京芝1600mでデビュー戦を勝ち上がった馬ですし、コース替わりがプラスに働く可能性は高そう。GIウイナー2頭を除けば、注目度が比較的高い一頭と言えるのではないでしょうか。

伊吹 まぁ、この馬あたりを連軸に据えてアスコリピチェーノやジャンタルマンタルが絡まない目を押さえておく――というのも、ひとつの手ではありますよね。Aiエスケープが有力視しているという事実を踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先にチェックしておくべきポイントはどのあたりでしょうか。

伊吹 どちらかと言うと前走好走馬が強いレースである点は押さえておきたいところ。前走の着順が6着以下だった馬は2014年以降[0-2-3-56](3着以内率8.2%)でしたし、2021年以降に限っても、前走で4着以下に敗れていた馬はあまり上位に食い込めていません。



M 波乱含みの一戦とはいえ、大敗直後の馬が一変した例はそれほど多くないんですね。

伊吹 ちなみに、前走の着順が4着以下、かつ前走の馬番が1〜14番だった馬は2021年以降[0-0-0-21](3着内率0.0%)と3着以内なし。枠順などの明確な敗因があった馬でない限り、前哨戦で大きく崩れた馬は評価を下げるべきだと思います。

M 先程も触れた通り、ノーブルロジャーは前走の毎日杯で2着を確保。この点は強調材料のひとつと言えるでしょう。

伊吹 あとはこれまでの実績も素直に評価したいところ。2021年以降の3着以内馬9頭中8頭は“JRAの、GI・GIIのレース”において“着順が3着以内、かつ4コーナー通過順が2番手以下”となった経験のある馬でした。



M GIやGIIといった、格の高いレースで馬券に絡んだことがない馬は強調できませんね。

伊吹 この条件をクリアしていなかったにもかかわらず3着以内となったのは、後に東京芝1600mのGIを3勝した2021年2着のソングラインのみ。今年も、GIIIやオープン特別のレースを主戦場としてきた馬は扱いに注意するべきだと思います。

M ノーブルロジャーはGIやGIIに出走した経験すらない馬。強敵相手にどこまでやれるか――といったところでしょう。

伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬9頭中7頭は、父か母の父にノーザンダンサー系種牡馬を持つ馬でした。



M こちらも思いのほかはっきりと明暗が分かれています。

伊吹 現在の日本競馬界における主流の父系とは言い難いのですが、このレースに関しては重要度が増す印象。今年も各馬の血統をしっかりチェックしておきたいところです。

M ノーブルロジャーは父がPalace Malice、母の父がMore Than Ready。いずれもノーザンダンサー系に属する種牡馬ではありません。

伊吹 正直なところ、私はこの馬にあまり魅力を感じていませんでした。もっとも、これまでのレースぶりには非凡なものがありますし、外国産馬なので血統云々は気にしなくて良いかも。少なくとも、安易に軽視するべきではないでしょう。他ならぬAiエスケープも高く評価しているわけですから、あとはオッズとの兼ね合い次第。買い目上の位置付けを週末までじっくり検討したいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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