こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、東京競馬場で行われるNHKマイルC(GI)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
類を見ないハイレベル戦で挙げられる傾向とは
春のGIシーズンはNHKマイルCをはじめとして、ヴィクトリアマイルに安田記念と東京芝1600mで3つのGIが行われる。
この3レースの平均ラップを比較すると、3歳限定戦のNHKマイルCは当然古馬が中心となって行われる他の2レースよりも全体時計が掛かる決着となる。ただ2歳の早い時期に賞金を積んだような短距離色の強いタイプが出走してきやすい分、テンの3Fで突っ込んでから中間も緩んで上がりが掛かる傾向。
上がりが掛かるということはつまり前が止まって差しが決まりやすいということで、過去10年で単勝6番人気以下のある程度人気薄から3着以内に入った馬の15頭中9頭が3コーナーを10番手以下で通過していることからもそれが裏付けられる。
しかし今年は距離延長ローテでの出走がダノンマッキンリーとロジリオン、シュトラウスの3頭だけで、そのどちらも前半で突っ込まずに脚を溜めて競馬したいタイプであることを考えると例年のようにハイペースになるのかは疑問が残る。
また牡牝の2歳王者がクラシック初戦で共に好走しながら転戦してくるように、例年のNHKマイルCでは類を見ないかなりハイレベルなメンバーが揃った印象。同じくメンバーが揃っていた3年前は、前半3F33.7秒の超ハイペースで例年なら追い込み馬が穴を開ける流れだったが届かずに4・5着までだったように、上位が強い分で恵まれても力が足りないパターンも大いに考えられるので例年のように穴の追い込みが決まる可能性は高くなさそう。
ローテーションで見ると必然的に能力の高い馬が集まる桜花賞や皐月賞で5着以内に入った馬は過去10年[4-1-0-3]と当然好成績を収めていて今年の2頭も有力だが、次点で期待できるのが前走アーリントンC組。
2018年に1回阪神開幕週から開催が7週間繰り下げられNHKマイルCトライアルになったが、それ以降2021年を除いて毎年馬券に絡んでおり、その2021年も11番人気のリッケンバッカーが3着と0.1秒差の4着と惜しい競馬。2018年以降アーリントンC3着以内だった馬は[1-0-4-13]の複勝回収率124%で、大敗した馬からも2022年最低人気で3着に好走したカワキタレブリーを輩出している。
この要因として挙げられる理由が二つあり、一つ目が西で開催される牡馬の3歳オープン馬が出走可能な1600m戦が1月頭に行われるシンザン記念以降約3か月なくメンバーが集まりやすいこと。二つ目がもう一つのトライアルであるニュージーランドTの舞台が枠順の有利不利が大きく直線が短い中山1600mで能力検定としての信頼度が高くないのに対し、直線が長くてバイアスが少ない上に最後に急坂があって簡単に逃げ残れない阪神外回りで行われ比較的実力が反映されやすいこと。
またこの理屈からいうと阪神芝外回り1800mで3月末に行われる毎日杯組も当然評価するべきで、アーリントンCで全く底を見せない勝ち方をしたディスペランツァ、毎日杯を距離延長でやや折り合いを欠きながら2着に好走したノーブルロジャーは今年のメンバーに入っても十分期待できるだろう。