レースレベルは低いが例年以上にチャンスが大きい

　東京競馬場は先週も良い馬場状態で行われ、NHKマイルCは例年と同じように中緩みが生まれるレースになったが、例年のように追い込みが決まる流れにはならなかった。一方ヴィクトリアマイルは毎年Bコース替わりで行われ、ヌーヴォレコルトやミッキークイーン、レイパパレといった中距離実績馬が人気を裏切ることが多いレース。

　そもそも牝馬クラシック路線は桜花賞まで1600mを頂点にして行われ、2400mのオークスからは距離不安などで回避する陣営も目立つようになるが、桜花賞までは能力の高い馬がほぼ例外なくそこを目標に戦っていく事になる。

　つまり桜花賞の上位馬はシンプルに能力が高い可能性が高く、過去のヴィクトリアマイルの結果を集計してみても桜花賞の3着以内馬は好走率・回収率ともに極めて優秀な成績。逆に桜花賞で4着以下だった馬は好走率・回収率ともに低くなっていて、外回りで直線の長い1600mと大枠で見れば似た条件で行われるだけに、一度ついた勝負付けはなかなかひっくり返らないことが読み取れる。


　しかし、今年はなんと登録馬の中で桜花賞3着以内だった馬は0。これまではウオッカ1頭のみだった2008年を除けば毎年2頭以上当てはまる馬がいただけに、これまでとは異質なメンバー構成と言えそう。

　今年の6歳以上の登録馬はフィアスプライドとテンハッピーローズの2頭。繁殖入りの時期の関係からほぼ4歳と5歳での争いになるこのレースだが、思い返せば2年前の桜花賞はスターズオンアースが、昨年の桜花賞はリバティアイランドが共に馬場や展開を能力で無理やりひっくり返したような勝ち方をしていて、勝ち馬を除いたレースレベルという点では例年よりも低い印象だった。

　そこで今年は桜花賞には間に合わずともその後に力を付けた馬に例年以上にチャンスが大きくなるとみているが、桜花賞非出走組の成績を年齢別に見てみると、やはり相対的に晩成傾向が強いのだろうが年齢を重ねて上昇する結果になっている。


　過去にはヴィルシーナやホエールキャプチャ、ストレイトガールにジュールポレールなどが人気薄込みで複数回好走した馬が多数いてリピーターレースと呼ばれたこともあったが、レース全体で見ても4歳よりも5歳以降の方が好成績で、4歳の時点でこのレースを好走できる馬は翌年以降更に期待ができる。

　昨年はソングラインにソダシという強い現6歳世代がいたので現5歳の好走は3着のスターズオンアースのみだったが、目の上のたんこぶがいなくなる今年は5歳以上勢と4歳の桜花賞非出走馬を重視してみたい。