障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。
自宅でのリハビリがはかどらない雄造騎手の現状打破へ、由紀子さんが考えたのは乗馬苑でのリハビリ。そこでは8ヶ月ぶりに馬と触れ合うことができ、藤井勘一郎元騎手や競馬学校時代の担当教官との再会もありました。
その出来事は騎手として、またパパとしても変化をもたらしたようです──。
車椅子で坂を駆け下りてくる男性は…藤井元騎手!
JRAと騎手クラブのご協力のもと、栗東トレーニングセンターにある乗馬苑でのリハビリが実現した夫。当日、乗馬苑に来られていたみなさんには、あらかじめJRAの職員さんが事情を説明してくださっていたようで、みなさんとても親切に迎え入れてくださいました。
そこには、調教師さんや厩務員さんの奥さま方の姿も。それぞれご主人から事情を聞いていたらしく、温かい言葉をかけてくださった方がたくさんいて、とてもありがたかったです。
みなさんにご挨拶をしたあと、夫は落馬から約8カ月ぶりに馬の元へ。
騎手を目指して乗馬を始めた少年時代から、これほどまでに長い期間、馬に会わない日々はなかった夫。少し涙ぐみながら馬の顔を撫でたりして、馬との触れ合いタイムを満喫していました。ホースセラピーの効果か、だいぶ癒されたようです。
■8ヶ月ぶりの馬との触れ合い(提供:白浜由紀子)
落馬をして大怪我を負っても、こうして馬を愛でることができる。そんな夫の姿に、騎手という職業についた人間と馬の絆の深さを目の当たりにしたような気がしました。私が知るほとんどの騎手は、落馬をして大怪我を負ってもまた馬上に戻りたいと言うし、騎手復帰が叶わなくとも、パラリンピックを目指し、また馬と共に人生を歩み始めた方も…。
そこにはきっと、馬と共に生きてきた人間にしかわからない魅力や絆があるのでしょうね。