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オーギュストロダンらが出走予定 英ロイヤルアスコット開催の見どころをご紹介

  • 2024年06月05日(水) 12時00分

英国王室主催の伝統レース


 英国競馬の華と称される、王室主催の「ロイヤルアスコット」の開催が、6月18日から22日に迫っている。このコラムでは今週と来週の2回に分けて、開催期間中に施行される8つのG1競走の見どころをご紹介したい。

 まずは、初日の第一競走として施行されるのが恒例となっている、4歳以上によるG1クイーンアンS(芝8F)。舞台となるのは、発走の30分ほど前に、王族たちが乗った馬車が通過したばかりの、アスコット競馬場のストレートマイルだ。

 実績最上位は、ここまで8F〜10FのG1を6勝している牝馬のインスパイラル(牝5、父フランケル)だ。ロイヤルアスコットは、3歳だった2年前はG1コロネーションS(芝7F213y)に出走して見事に勝利を収め、4歳だった昨年はG1クイーンアンSに出て、伏兵のトリプルタイムに足元をすくわれクビ差の2着に甘んじた。

 今季初戦となったのが、5月18日にニューベリー競馬場で行われたG1ロッキンジS(芝8F)で、ここは1番人気を裏切り4着に敗れたが、一度使われて心身ともにチューンアップされたここでの巻き返しが期待されている。

 昨年のロイヤルアスコットではG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)に出走して3着だったのがチャーリン(牡4、父ダークエンジェル)だ。前走G1ロッキンジSも2着に入り、力のあるところを示している。

 フランス調教馬で、昨年のマイル戦線ではG1サセックスS(芝8F)2着、G1クイーンエリザベス2世S(芝8F)2着などの実績を残していたのが、ファクトゥールシュヴァル(セン5、父リブチェスター)だ。今季初戦となったメイダンのG1ドバイターフ(芝1800m)を制し、待望のG1初制覇を果している。

 一方、この路線の新興勢力として注目されているのが、5月1日にアスコット競馬場で行われたLRパラダイスS(芝8F)を制し、デビューからの戦績を3戦3勝としたクドゥワー(牡4、父キングマン)だ。ここも一気に突破すれば、今後のマイル戦線を牽引する存在になりそうである。

 続いて、同じく開催初日に行われるのが、G1キングチャールズ3世S(芝5F)だ。昨年までキングズスタンドSという名称で行われていたレースが、今後は、現国王の名を冠したレースとして施行されることになった。

 古馬勢の代表格が、昨年秋にヘイドック競馬場で行われたG1スプリントC(芝6F)の勝ち馬リージョナル(セン6、父テリトリーズ)だ。今季初戦となった、5月25日にカラ競馬場で行われたG2グリーンランズS(芝6F)は2着だった。

 短距離路線の水準が高いオーストラリアから遠征してきたのが、アスフォーラ(牝5)だ。この路線の重賞を4勝している他、昨年のG1モイアS(芝1000m)2着の実績がある。英国における緒戦となった、5月25日にヘイドック競馬場で行われたG2テンプルS(芝5F)は4着だった。

 一方、活きの良い3歳世代を代表しての参戦となるのが、ビッグイヴス(牡3、父ブルーポイント)である。2歳だった昨年、G1BCジュベナイルターフスプリント(芝5F)、G2フライングチルダーズS(芝5F)、G3モールコームS(芝5F)と、5Fの重賞を3勝している同馬。今季初戦となった、5月16日にヨーク競馬場で行われたLRウェストウS(芝5F)を勝っての参戦となっている。

 初日に3つ組まれたG1のトリを飾るのが、3歳牡馬によるG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)だ。スウィンリーボトムからスタートする、オールドマイルを使っての戦いである。

 各国のギニーを戦った馬たちが集結するこの一戦。中心視されているのが、5月4日にニューマーケットで行われたG1英2000ギニー(芝8F)を快勝しての参戦となるノータブルスピーチ(牡3、父ドバウィ)だ。デビューしたのが今年1月で、ケンプトン競馬場の未勝利戦(AW8F)を制しデビュー勝ち。その後もケンプトンでAW8Fの条件戦を2戦し、いずれも勝利して臨んだのが英2000ギニーだった。すなわち、英2000ギニーが初めての芝のレースだったのである。まさに異例のローテーションと言って良く、まだ底を見せていない不気味さがある馬だ。

 これに続く2番手評価が、5月25日にカラで行われたG1愛2000ギニー(芝8F)を勝っての参戦となるロサリオン(牡3、父ブルーポイント)だ。G1英2000ギニーではノータブルスピーチに1.1/2馬身遅れをとる2着に泣いており、ここは雪辱戦となる。

 G1英2000ギニーが3着、G1愛2000ギニーが2着だったハーテム(牡3、父フェニックスオブスペイン)も、出走してくれば争覇圏に入る馬だろう。

 今季初戦となった、5月12日にパリロンシャンで行われたG1プール・デッセ・デ・プーラン(=仏2000ギニー)で、1番人気を裏切り8着に大敗してしまったのがヘンリーロングフェロー(牡3、父ドバウィ)だ。2歳時は3戦し、G1ヴィンセントオブライエンナショナルS(芝7F)を含めて無敗の3連勝を飾っていた同馬。母が16年の欧州年度代表馬マインディングという超良血馬で、1度の大敗だけで見限るわけにはいかない1頭である。

 開催2日目のメイン競走として行われるのが、総賞金100万ポンドのG1プリンスオブウェールズS(芝9F212y)だ。

 実績最上位は、日本のファンにもお馴染みのオーギュストロダン(牡4、父ディープインパクト)である。3歳だった昨年、G1英ダービー(芝12F6y)、G1愛ダービー(芝12F)、G1愛チャンピオンS(芝10F)、G1BCターフ(芝12F)と、4つのG1を手にした同馬。しかし、今季初戦となったメイダンのG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)は、12着に大敗。負ける時は大きく負ける馬で、この一戦に関しては「また悪い癖が出た」で片付けることが出来るのだが、5月26日にカラで行われたG1タタソールズゴールドC(芝10F110y)でも2着に敗れてしまったのは、この馬の実力からすると物足りないと言わざるを得ない。そろそろ、すっきりと勝つところを見せて欲しいものである。

 そのG1タタソールズゴールドCを快勝したのが、ホワイトバーチ(牡4、父ユリシーズ)だ。昨年のG1英ダービー3着馬で、今季はここまで3戦し、G3アレッジドS(芝10F)、G2ムーアズブリッジS(芝10F)、そしてG1タタソーズGCを3連勝。破竹の勢いに乗っての参戦となる。

 オーギュストロダン、ホワイトバーチと同じ4歳世代でもう1頭、注目の存在となっているのがパッセンジャー(牡4、父ユリシーズ)だ。昨年春、G2ダンテS(芝10F56y)で3着となった後、G1英ダービーに挑むも12着に大敗。立て直しを図った後、8月にウインザー競馬場のG3ウィンターヒルS(芝10F)を制し重賞初制覇を果した。そのパッセンジャーの今季初戦となったのが、5月10日にチェスター競馬場で行われたG2ハクスリーS(芝10F70y)で、8カ月半の休み明けを感じさせない鋭い動きを見せて快勝。管理するのは大ベテランのサー・マイケル・スタウトで、今季限りでの引退が噂される伯楽が手掛ける「最後の大物か!?」と言われている。

 ロイヤルアスコット3日目以降のG1展望は、来週のこのコラムでお届けしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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