▲福永祐一調教師と川田将雅騎手のタッグで注目集めるエーデルブルーメと上野助手(撮影:大恵陽子)
開業前から一挙手一投足が注目されていた福永祐一調教師。今年3月に初出走を迎え、翌月に初勝利を挙げると、以降も多くのレースで上位争いを繰り広げ、注目度はさらに増しています。
中でも、福永調教師と親交の深い川田将雅騎手がコンビ初勝利を挙げたのがエーデルブルーメ。祖母にGI馬ビワハイジを持つ5歳牝馬は、再び川田騎手とのコンビでマーメイドSで重賞に挑戦します。レースを前に、担当する上野鑑寿調教助手に伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
「脚が降ってくる」嫌がるある場所とは?
──エーデルブルーメも上野調教助手も今年解散した安田隆行厩舎から転厩してきました。安田厩舎時代は同馬にどんな印象を抱いていましたか?
上野 安田厩舎の時は担当ではなかったんですけど、「走る馬だな。いい馬だな」と思っていました。調教に乗った人もみんな「走る」と言っていました。
──福永厩舎に来て担当することになりましたが、普段はどんな馬ですか?
上野 普段は大人しいんですけど、スイッチが入るとボコボコ尻っぱねして壁を蹴り出したりします。たとえば、隣の厩舎の馬が暴れたりすると、反応したり。ビックリするくらいで、もう収まるのを待つしかないですよね。
▲可愛らしい見た目のエーデルブルーメの性格は...(撮影:大恵陽子)
──いきなりスイッチが入っちゃうんですね。いかにも牝馬らしい……。
上野 厩舎周りの運動とかに出ると大人しいんですけどね。甘えてくることもあるし、顔も触らせてくれるんですけど、手入れなどで首から後ろを触ると嫌がって脚が降ってきます。女の子って感じですよね(苦笑)。
▲嫌な部分はあっても顔は触らせてはくれるそう(撮影:大恵陽子)
──顔はOKだけど、体はダメなんですね。その気の強さがレースでの強さにも繋がっているのでしょうか。調教に乗っている人からの話は?
上野 調教には基本的に先生(福永調教師)か調教助手が乗っていて、先生も「いい馬」と言ってくれます。馬房にいる時と同じで、変なスイッチが入ると尻っぱねすることはありますけど。
──そういった性格があってでしょうか、レースでは折り合いが一つのポイントにもなるのかな、と。
上野 そうですね。前走は川田騎手も上手く乗ってくれました。
──その前走は福永厩舎の初勝利が期待される状況でした。厩舎内の雰囲気はどんな感じでしたか?
上野 「この馬で初勝利か?」みたいな話にもなっていました。これだけ注目されている厩舎やからね、「どれか早く勝たないとな」とスタッフ同士で話していました。そうしたら、同じ日の福島8レースでマルカブリッツが先に勝って厩舎初勝利。あれでホッとしましたよね。この馬のレースの準備をする時くらいに勝ったことを知ったんですけど、気楽になりました。その後、この馬も勝ってすぐに両目が開いてよかったです。
──しかも、福永調教師と親交の深い川田騎手での勝利でした。
上野 そうですよね。先生がずっと調教をつけてくれていた馬でもありました。僕としても1番人気でしたし、安心しました。
▲川田騎手のガッツポーズが飛び出した前走の引き上げ(c)netkeiba
──その前走は振り返っていかがですか?
上野 ゲートに行っていたのであとからレースVTRを見ましたが、ジョッキーが上手く乗ってくれていい競馬でした。調教では結構グイグイ行くような感じですけど、直線は伸びてきて、脚は溜まっていたんだろうなと思います。
──福永厩舎は開業4ヶ月目で3着内率43.9%。これから厩舎の礎ができていく段階だとは思いますが、この好成績の秘訣はどこにあると感じていますか?
上野 時間をかけて色んなことをやっているから結果に出ているのかな、と感じます。
──これまで「騎手と調教助手」という立場で接してこられたかと思いますが、調教師となった福永師はどんな方ですか?
上野 いつもとそう変わらない感じです。調教にも乗ってくれていて、ジョッキー経験があるから「どうでした?」と聞くと、「距離はこれくらいがいいかな」といった話があったりと、経験があってこそだと思います。
──では最後に、マーメイドSに向けた意気込みをお願いします。
上野 この馬にとっては初めての重賞の舞台になります。応援してくれる人もいっぱいいるので、結果を出したいですね。それに加えて川田騎手。このジョッキーと先生と、重賞で口取り写真を撮りたいですね。
▲今度は重賞の舞台で共に口取り写真を!(c)netkeiba
(文中敬称略)