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【#54】名医に問われた“今後” 夫の想いと裏腹に「騎手復帰は非現実」と鬼嫁が考えた理由とは...?

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  • 2024年06月10日(月) 18時01分
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。

アスリートの脳を日本一診ている名医・中山晴雄先生による診察が始まりました。投げかけられたのは、「今後、どう生きていきたいとお考えですか?」という問い。

雄造騎手がジョッキーに戻りたい想いを告げると、医師からも復帰を目指すプランを薦められます。しかし、鬼嫁にはある葛藤が...。仕事を通じて数々のトップアスリートを見てきた由紀子さんが「夫の騎手復帰は非現実」だと考える理由とは?

「僕はどうしても騎手に戻りたいです」


 診察室の扉を開けると、そこにはネットで何度もお顔を拝見していた中山晴雄先生がいらっしゃいました。

 中山先生は私たちが入るなり、「長い間お待たせしました。疲れてないですか? 大丈夫ですか?」と夫の体調を気遣ってくださったのですが、先生の目はとても真剣で、おそらく会話の受け答えや動作などを観察していたのではないかと思います。

 その後、少し雑談を交わすなかでも、随所に先生の気遣いが感じられました。ドラマや映画の影響なのか、名医と言われる医師には気難しい方が多い印象があった私は、初めてお会いする先生に失礼があってはいけないと思い、少し緊張気味でした。しかし、どうやら中山先生はお優しい方のよう。気持ちが楽になったのを覚えています。

 雑談を終えた中山先生は、夫にこう語りかけました。

「これまで入院していた3つの病院での検査結果や治療、リハビリ内容など、すべて目を通しました。正直申し上げて、もう少し状態が悪いと想像していました。半年の入院生活中のリハビリが順調だったということですね。関わってこられた先生方、療法士の皆さん、そして奥さん。みんなの判断が正しかったということです。

 そしてなにより、白浜さんご自身が頑張ったということです。ですが、元通りというわけではなさそうですね。脳はまだまだ未知の領域です。ですから、断言はできませんが、元通りになることは難しい。元に近いところまで回復するためには、日々のリハビリがとても重要となります。

 今後、どうやって生きて行くのか、どのような職に就くのか。これまでは競馬の騎手という専門職に就いていらした。今後は、今のご自分にできる仕事を探して転職するのか、職場復帰、業界復帰を目指したいのか。たとえば転職活動が上手くいき、接客業など別の業界や業種で働くことになったとしましょう。そのときに幸せを感じて暮らすことはできますか? やはり馬に関わる仕事がしたいと思いますか?

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1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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