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【マーメイドS AI予想】先週も注目馬が激走! 好調なAIが今週も人気薄の伏兵を指名

  • 2024年06月10日(月) 18時00分

単勝オッズ3.6倍(1番人気)のレーベンスティールが優勝(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

毎年のように好配当が飛び出している牝馬限定のハンデ戦


AIマスターM(以下、M) 先週はエプソムCが行われ、単勝オッズ3.6倍(1番人気)のレーベンスティールが優勝を果たしました。

伊吹 単勝支持率は21.9%どまりで、断然人気とまでは言えないくらいの水準でしたが、終わってみれば「ここでは役者が違ったな……」という印象です。好スタートを切ってスッと好位に取り付き、向正面では先行した各馬のすぐ後ろ、7番手あたりのポジションを追走。併走する馬がいなかったこともあり、4コーナーを回ったところでスムーズに先行勢の外へ持ち出しています。

 ゴール前の直線半ばでは、先に抜け出したシルトホルン(3着)が粘り込みを図っていたものの、残り200m地点を過ぎたところで離れた外からあっさりかわし、単独先頭に。すぐ内でしぶとく食い下がったニシノスーベニア(2着)に対してもセーフティリードを保ったまま入線しました。

 おそらくですが、鞍上のC.ルメール騎手も「この馬の持ち味さえ引き出すことができれば結果はついてくる」と考えていたはず。59kgの負担重量を課されながら横綱相撲でライバルたちをねじ伏せたわけですから、人馬ともにお見事と言うほかありません。

M 勝ち時計の1分44秒7はレースレコード。レーベンスティールにとっては、昨年のセントライト記念に続く自身2度目の重賞制覇です。

伊吹 前走との間隔が中10週以内だったレースはこれで[4-0-1-0](3着内率100.0%)。前走の新潟大賞典では11着に敗れてしまいましたが、今回は叩いた上積みもあったのでしょう。母の父がトウカイテイオーという血統背景もあり、ラジオNIKKEI賞(3着)で重賞初出走を果たした際や、セントライト記念を勝ち切った時点でもかなりの注目を集めた馬。

 能力の高さを改めて示したことで、今後はさらに期待度が高まるのではないかと思います。配当的な妙味に関してはそのつど精査していく必要があるものの、スターホース候補としての資質はかなりのものですし、今後も目が離せません。

M ちなみに、単勝オッズ19.3倍(9番人気)の低評価を覆して2着となったニシノスーベニアは、前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に指名していました。

伊吹 こちらも素晴らしい見立てだったと言って良いのではないでしょうか。ヴィクトリアマイルのテンハッピーローズが単勝オッズ208.6倍(14番人気)で1着、オークスのライトバックが単勝オッズ7.9倍(3番人気)で3着、日本ダービーのシンエンペラーが単勝オッズ17.8倍(7番人気)で3着と、ここ1か月はAiエスケープの注目馬が立て続けに穴をあけていますね。2週前から夏季競馬のシーズンに突入しましたが、まだまだ好調をキープしている模様。今週以降も本当に楽しみです。

M 今週の日曜京都メインレースは、バラエティに富んだメンバー構成となりやすい牝馬限定のハンデキャップ競走、マーメイドS。昨年は単勝オッズ3.7倍(1番人気)のビッグリボンが優勝を果たしました。その2023年は3連単の配当が2万7910円にとどまったものの、波乱含みの一戦というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。


伊吹 実際、過去10年のレース結果を振り返ってみると、3連単の配当が10万円を下回ったのは2回だけ。単勝人気順別成績を見ても、上位人気馬の好走率は物足りない水準にとどまっています。


M 過去10年の3着以内馬30頭中、単勝7番人気以下だった馬は実に12頭。もちろん好走率はそれなりですが、上位人気グループとの差はそれほど大きくありません。

伊吹 ちなみに、単勝11番人気以下の馬は2014年以降[0-1-0-47](3着内率2.1%)だったものの、単勝7番人気から単勝10番人気の馬は2014年以降[6-3-2-29](3着内率27.5%)でした。要するに、単勝1番人気から単勝10番人気くらいまでの範囲内ならどのゾーンも好走率があまり変わらない──ということ。当然ながら、伏兵を積極的に狙っていくべきでしょう。

M そんなマーメイドSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ラヴェルです。

伊吹 話の流れ的にもちょうど良い塩梅の馬を挙げてきましたね。上位人気グループの一角を占める可能性は低いと思うのですが、超人気薄ということもなさそう。

M ラヴェルは2歳時にアルテミスSを勝っている重賞ウイナー。その後はまだ馬券に絡めていないものの、3歳時のオークスで4着に、今年の京都記念で5着に健闘しています。人気を集めにくそうな戦績である一方、だからこそ積極的に狙おうと考えている方も、それなりにいらっしゃるのではないでしょうか。

伊吹 見方によって大きく評価が割れる一頭かもしれませんね。ただ、前走の中山牝馬Sで11着に敗れている分、実績と人気のバランスだけで言うならば、今回はいかにも狙い頃。Aiエスケープが有力視していることも踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを比較していきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは年明け以降の戦績を素直に評価したいところ。2020年以降の3着以内馬12頭中9頭は“同年の、JRAの、オープンクラスのレース”において6着以内となった経験がある馬でした。


M なるほど。大敗が続いてしまっている馬はもちろん、条件クラスのレースを主戦場としてきた馬も、あまり強調できませんね。

伊吹 ちなみに“同年の、JRAの、オープンクラスのレース”において6着以内となった経験がない、かつ“前年以降の、今回と同じ競馬場の、芝1600m超の、1勝クラス以上のレース”において1着となった経験がない馬は2020年以降[0-0-0-29](3着内率0.0%)。京都芝中距離のレースに十分な実績がある馬でない限り、年明け以降の重賞やオープン特別で上位に食い込んでいない馬は、評価を下げるべきでしょう。

M 先程も触れた通り、ラヴェルは2走前の京都記念で5着に健闘。この条件は問題なくクリアしています。

伊吹 あとは臨戦過程も見逃せないファクター。同じく2020年以降の3着以内馬12頭中11頭は、前走との間隔が中4週以上でした。


M 前走との間隔に余裕がない馬は、割り引きが必要ですね。

伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている馬が多いので、しっかりチェックしておきましょう。

M ラヴェルは前走との間隔が中13週。強調材料のひとつと見て良いのではないかと思います。

伊吹 さらに、同じく2020年以降の過去4年に限ると、前走の条件が重賞以外、かつ前走の距離が1800m以下だった馬は期待を裏切りがちでした。



M 前走が重賞、もしくは2000m以上のレースだった馬を重視したいところですね。

伊吹 おっしゃる通り。この条件をクリアしていない馬も、扱いに注意するべきでしょう。

M ラヴェルは前走がGIIIの中山牝馬S。つまり、今回挙がった条件にはひとつも引っ掛かっていません。

伊吹 ひとつ不安要素を挙げておくと、前走のコースが京都・阪神・中京・小倉でなかった馬は2020年以降[2-0-3-34](3着内率12.8%)といまひとつ。しかも、3着以内となった5頭のうち4頭は、馬齢が5歳以上、かつ前走の着順が8着以内でした。

 基本的に西日本のレースを経由してきた馬が優勢である点は、頭に入れておくべきかと思います。もっとも、気掛かりな点はこれくらい。好調なAiエスケープが中心視しているわけですし、人気がなければ私も相応のシルシを打つつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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