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【#55】「結婚詐欺やんか!!」離婚も考えた鬼嫁の胸中にある“妻としての義務と責任”

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  • 2024年06月17日(月) 18時01分
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。

前回に続き、今後の仕事に関する話題です。怪我に対する保障金は当初の想定よりも出ない可能性が高いそうで、由紀子さんは大切なことを学ぶ機会になったといいます。

夫の自立に向けて、精力的に病院やリハビリに関する情報を集めて奔走してきた鬼嫁。そのエネルギーの源になった妻としての“義務や責任”、母としての考え方とは...?

保障に関する厳しい現実を知り「笑ってる場合か!」


 中山晴雄先生の診察で、「どうしても騎手に戻りたい」と訴えた夫。しかし、プロのアスリート特有のオーラがすっかり消えた夫を前に、私はどうしても夫が望む未来を想像することができませんでした。

 もちろん、怪我の影響が大きいのは重々承知していますが、きっとそう感じていたのは私だけではなく、同僚である騎手のみなさんも同じだったのではないかと思います。これは、入院期間の後半からこの日までの夫の身体の状態、そしてメンタルを見ていた私なりの評価でもありました。

 私の個人的な思いとしては、騎手や競馬関係の仕事にこだわらず、今の夫が一番稼げる職を探して、そこに向けたリハビリをしてほしいというのが一番でした。口にこそ出しませんでしたが、「筋肉を付ける暇があるなら、キーボードのタイピングのひとつでも学んでくれ」と思っていたのも事実です(笑)。

 そう、私は鬼嫁。以前、このコラムにも書きましたが、決して「パパの幸せが一番!」とは思えません。

 コラムを読んでくれているバレット仲間から、「坪ちゃん、雄造さんが落ちた日、パパが笑って生活してくれたらそれでいいから元気になってほしい! って言うてなかった?」と言われましたが、それは、落馬をして競馬界への職場復帰が叶わなければ、JRAと騎手クラブから生活するのに困らないだけの保障をいただけると夫から聞いていたから言えた言葉なのです(笑)。

 私は、結婚は愛ではなく、条件でしたいタイプ。ですから、落馬をした際のリスクに関しては、結婚前に喧嘩になるほど何度も何度もしつこく夫に確認をしていました。

 それが蓋を開けてみたら、職場復帰は不可能でも、今後生活をしていくうえで困らないだけの保障が出ないケースもあるということを知りました。この現実に直面した際は、「え! 待って! 結婚詐欺やんか!!!」と大きく落胆し、入院中の夫に大きな怒りを覚えたものです(笑)。

 保障が出ると思っていたときは、「笑って生活してくれたらそれでいい」と心から思っていましたが、保障が出ない可能性が高いとわかった瞬間から、「笑ってる場合か! 笑ってる暇があるんやったら、1円でもいいから持って帰ってこい!」という、強烈な鬼嫁モードにシフト。バレット仲間にそんな話をしたところ、「それでこそ坪ちゃん! さすがや!」とみんな大爆笑でした(笑)。

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1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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