▲人気を分け合うことが予想されるドウデュース(撮影:下野雄規)とジャスティンパレス(c)netkeiba
今週末に行われる上半期のグランプリ宝塚記念に向けて、netkeibaでは予想特集企画を実施します。
映像解析を駆使し、ピッチやラップなどから独自の分析を行う競馬アナライザーのMahmoud氏と、血統評論家として馬主・生産者の配合アドバイザーも務める望田潤氏が対談。
前編では、京都競馬場で行われる今年のポイントや、上位人気が予想されるドウデュース、ジャスティンパレスを徹底的に分析していきます──。
(構成:netkeiba編集部)
京都2200mで行われる宝塚記念のポイントは“見えない内ラチ”
──まず、今年のポイントとしては京都開催での宝塚記念ということになりますが、この点をどのようにお考えでしょうか。
Mahmoud まず、京都競馬場芝外回りコースには改修前も改修後も、4コーナーに見えない内ラチが存在しています。
京都競馬場芝外回りの最後の直線の長さは、Aコースが403.7m、B・C・Dコースが5m短い398.7mというのが一応公式の値ではあります。しかし、約400mというこの距離は、外回り4コーナーの内ラチの端から最後の直線の内ラチの延長線上まで、4コーナーの曲線通りにコーナリングし終えた地点からの距離であり、外回り4コーナーの内ラチの端からゴールまでは約440mあります。
公式発表による直線の距離でいえば、中京競馬場(412.5m)よりも短いですが、中京よりも長く直線を走るというイメージを持ち、4コーナーをうまく直線的に使ってスピードに乗せようと考えている騎手もいるのではないかと思います。
例えば、昔から京都競馬場を得意としている武豊騎手は、400mというイメージではなく、440mの直線というイメージを持っていると考えます。武豊騎手はもちろん引き出しも多く、コーナーがきつい分あえて外を通って坂の下りでスピードを殺さずに4コーナーを回ってくる乗り方や、逆にコーナリングのスピードを犠牲にして4コーナーを曲がってから急に直線で加速させる2段階スパート的な乗り方もよく見かけます。
望田 逆に言えば、武豊騎手のような戦略的なコース取りをせずに普通にスピードを上げて乗っていると、4コーナーで膨れやすいということですよね?
Mahmoud 絶対に膨れます。膨らんで外に振られることを織り込み済みで乗っている騎手も当然います。
望田 京都コースが改修された直後の2023年春には、カーブが曲がりやすくなり、改修前よりもみんなが膨らまなくなって、イン差しが決まらなくなるのではないかと言われていましたが、結局変わらないように感じています。
Mahmoud タイトに4コーナーを回るためには、それ相応にスピードを落とし、直線で再加速するという手法を取らなければなりません。しかし、そのような器用な馬はあまりいません。
川田騎手などのトップジョッキーは、「ラチがないから上手く曲がれない騎手が多いんだよね」とおそらく考えていると思います。
望田 そうですよね。「この騎手は膨れるし、この騎手は膨れない」というところまで、常に読んでるはずですから。
Mahmoud 冒頭の話は、とっかかりとして「京都の外回りは公式発表では直線距離が400mとなっているけど、4コーナーを含めて440mの直線というイメージで走らせることができる騎手がいる」という表現がいいかな。
例えば