スマートフォン版へ

【ラジオNIKKEI賞 AI予想】展開次第では一発も!? AIは超人気薄が予想される伏兵を指名

  • 2024年06月24日(月) 18時00分

単勝オッズ7.5倍(3番人気)のブローザホーンが優勝(c)netkeiba


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

高額配当決着となった年がそれほど多くない点に注意


AIマスターM(以下、M) 先週は宝塚記念が行われ、単勝オッズ7.5倍(3番人気)のブローザホーンが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いでしょう。レースの序盤は先行争いに加わらず、馬群の後方を追走。大半の馬が内ラチから離れたコースを進む中、ライバルたちよりもさらに外のポジションで向正面を通過しています。3コーナーで前を走っていたベラジオオペラ(3着)、プラダリア(4着)、ローシャムパーク(5着)らが仕掛けていったものの、ブローザホーンも置かれることなくついていき、4コーナーを7番手で通過。ゴール前の直線に入ると外ラチの近くまで持ち出し、残り200m地点を過ぎたところでベラジオオペラらを捕らえ、同様の競馬で後方から伸びてきたソールオリエンス(2着)に対してもセーフティリードを保ったまま入線しました。鞍上の菅原明良騎手にとっては会心の競馬だったはず。素晴らしい勝利ですね。

M ブローザホーンはGI初制覇。今年に入ってから4戦目で、コンディション面を不安視する向きもありましたが、あまり気にしなくて良かったのかもしれません。

伊吹 むしろ、この馬にとってはこれがベストの臨戦過程だったのでしょうね。また、前回の当コラムで指摘した通り、宝塚記念は今回より短い距離のGIで好走したことのある馬が優勢だったレース。個人的には距離適性を不安視していたのですが、こちらもまったくの杞憂だったわけで、読みの甘さを反省しています。競走中止となった2023年の京都大賞典を含めても、京都芝外回りのレースはこれで5戦3勝4連対。馬場状態が稍重〜不良のレースも2022年の夏季競馬以降に限ると[5-0-2-1](3着内率87.5%)ですから、今後も同様のシチュエーションではしっかり評価を引き上げたいところです。

M あとは、京都以外のレースや良馬場のレースでどう評価するかがポイントになるかもしれませんね。

伊吹 おっしゃる通り。コースが京都以外、かつ馬場状態が良のレースは、すべて2勝クラス以下の条件戦だったにもかかわらず、これまでのところ[1-1-2-4](3着内率50.0%)となっています。もっとも、直近の該当例である2023年の潮来特別(4歳以上2勝クラス・中山芝2500m内)を勝ち切っていますし、力をつけた今なら、ある程度は問題なくこなせそう。過小評価される可能性も頭に入れたうえで、慎重に取捨を判断していきましょう。

M 今週の日曜福島メインレースは、この時期の名物重賞として親しまれてきた3歳限定のハンデキャップ競走、ラジオNIKKEI賞。昨年は単勝オッズ8.3倍(3番人気)のエルトンバローズが優勝を果たしました。ちなみに、その2023年は3連単の配当が5万60円どまり。比較の難しいメンバー構成となりやすいが、堅めの決着となる年もそれなりにある――という印象です。


伊吹 実際、過去10年のラジオNIKKEI賞における3連単の配当を振り返ってみると、20万円を超えたのは2021年(31万6180円)のみで、10万円を超えたのも4回だけ。波乱が起きやすいレースとまでは言えません。ただし、過去10年の3着以内馬30頭中12頭は単勝7番人気以下。伏兵が上位に食い込む頻度はやや高めと言えるでしょう。


M 上位人気馬の好走率がそれほど高くない点も気掛かりですね。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2番人気から単勝9番人気の馬は2014年以降[8-7-8-57](3着内率28.8%)、単勝10番人気から単勝12番人気の馬は2014年以降[0-1-1-28](3着内率6.7%)、単勝13番人気以下の馬は2014年以降[0-0-0-26](3着内率0.0%)となっていました。単勝二桁人気クラスの超人気薄までマークする必要はないかもしれませんが、手頃なオッズの伏兵が見つかったら、積極的に狙っていって良いと思います。

M そんなラジオNIKKEI賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、メイショウヨゾラです。

伊吹 今回は穴っぽいところを挙げてきましたね。上位人気グループの一角を占めるということはまずないでしょうし、単勝最低人気かそれに近いポジションでレースを迎える可能性もありそう。

M メイショウヨゾラは3走前のアネモネSで3着に健闘した実績のある馬。しかし、ここ2戦は1勝クラスのレースで6着と4着に敗れています。出走メンバー中唯一の牝馬ということもあって、負担重量(51kg)にはかなり恵まれた印象ですが、それでも苦戦必至と見ている方が多いのではないでしょうか。

伊吹 少なくとも、連軸に据えようと考えている方はあまりいないはずです。そんな中でもAiエスケープが中心視しているという事実を踏まえつつ、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M まず気になるのは、やはり牝馬である点。「夏は牝馬」という有名な競馬格言もありますし、強調材料と見て良いのでしょうか?

伊吹 残念ながら、ラジオNIKKEI賞は牝馬が信頼できないレース。過去10年の性別成績を見ると、3着以内となったのは2016年2着のダイワドレッサーだけで、その後はまったく馬券に絡んでいません。


M なるほど。基本的には疑ってかかった方が良さそうですね。

伊吹 ちなみに、2008年以降まで集計対象を広げても、性が牡・センの馬は[16-15-16-162](3着内率22.5%)、性が牝の馬は[0-1-0-29](3着内率3.3%)でした。まぁ、前評判が低い馬ですし、牝馬という理由だけで軽視するのもどうかと思いますが……。

M では、臨戦過程に関してはいかがでしょう。

伊吹 正直なところ、前走が1600mのレースだった点や、その前走で4着に敗れている点は少々不安。2020年以降の過去4年に限ると、前走の距離が1800m以下、かつ前走の着順が2着以下だった馬は、まったく上位に食い込めていません。


M 前走が今回より長い距離のレースだった馬や、前走を勝ち切っている馬に注目したいところですね。

伊吹 2023年は久々に1800m以下のレースを経由してきた馬が上位を占めたものの、基本的には中距離戦を主戦場としてきた馬が優勢ですから、ここ4戦連続で1マイルのレースを使っている点は不安要素のひとつと言えます。

M それならば、脚質はどうでしょう。ここ3戦連続でハナを切っているように、先行力の高さは証明済みですが……。

伊吹 こちらはポジティヴに評価して良さそう。同じく2020年以降の過去4年に限ると、3着以内馬12頭中9頭は前走の4コーナー通過順が3番手以内でした。


M 先行力の低い馬は割り引きが必要ですね。

伊吹 なお、前走の4コーナー通過順が4番手以下、かつ枠番が2〜8枠の馬は2020年以降[0-1-0-22](3着内率4.3%)。好枠を引き当てた馬でない限り、前走の4コーナーを4番手以下で通過した馬は強調できません。

M 強調材料がまったくないわけではなく、しかも超人気薄であるのならば、狙ってみる価値はそれなりにあると見て良いのではないでしょうか。

伊吹 他ならぬAiエスケープが有力視しているわけですからね。連軸に選んだ馬が人気の中心となっておらず、この馬を押さえても十分なリターンが見込めそうな状況であれば、無理に嫌う必要はなさそう。実際のオッズや枠順の並びなどもチェックしたうえで、もう一度じっくり買い目上の位置付けを再考してみます。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング