
3連複フォーメーションを的中
『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、ヴィクトリアマイルを的中させた「マジックウマ」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!
対象レース:
2024年5月12日(日)東京11R ヴィクトリアマイル「予想の頭脳」をご覧いただき、ありがとうございます。2019年秋からnetkeibaで公認プロ予想家として、活動しているマジックウマと申します。

「マジックウマ」氏
今回は先日行われましたヴィクトリアマイルについて執筆のお声がけをいただきましたので、「予想の頭脳」という素敵なタイトルに負けない様一生懸命書いてみたいと思います。ご覧いただいた皆様の有益なものとなるよう、頑張ります。
まず初めに今回、このお話を頂戴した背景として、何故テンハッピーローズに重い印を打てたのか? という部分が期待されていると感じています。今回は、初めてのコラムですので、私の予想プロセスに沿って書いていく形を取りましたが、もしテンハッピーローズを評価した理由についてのみ読みたい方はスクロールしていただき、3. それ以外の精査辺りからお読みいただければと思います。
私の予想アプローチとして、上級条件のレースについては下記プロセスに沿って予想を行っています。
1. 該当レースの全体像
2. 有力馬(上位2~3頭)の取捨選択
3. それ以外の精査
4. 枠番発表+上記3点を踏まえた予想の確定と馬券構築
上級条件に絞っている理由としては、各陣営が狙っている(仕上げている)レースである事が大きな理由となります。個人的に平場のレースと上級条件のレースは予想のアプローチを変える必要があると考えており、上級条件のレースはきちんと仕上げてくる馬が多い事から、自身の過去経験が活きやすい事に気がつき、ここ数年はアナログの比重を大きくして、予想に取り組んでいます。
今回のコラムでは、この順に沿ってヴィクトリアマイルを振り返りたいと思います。
1. ヴィクトリアマイルの全体像 私が出馬表を見た時の第一感は「これは凡戦(大荒れ)の可能性が充分考えられるレース」と感じました。ここでいう凡戦を言い換えると「上位勢と下位勢の好走確率に大きな差がない事」であり、展開や枠の並び等で、上位勢の総崩れも考えられると感じました。
第一感という言葉を補足しますと私は予想活動を行うようになってから、全レースのパトロールビデオを見るようになり、その際レースレベル(この組は強い、この組は恵まれた馬が多い…etc.)をチェックする事をルーティンにしています。
今回、凡戦になりそうと感じたその感覚は過去の復習から来ているものであり、この感覚を大切にしだしてから、納得のいく的中が増えた事から、必ず全体像をイメージしてから個別の予想に入る事を心掛けています。
2. 有力馬の取捨選択 今年のヴィクトリアマイルは、ナミュールとマスクトディーヴァが2強の様相を呈しておりましたので、この2頭について簡単に触れたいと思います。
ナミュールのポジティブな部分は馬柱を見れば分かりますので割愛するとして、懸念点としては、去年のヴィクトリアマイルは一つ上の強い世代に跳ね返される形での7着である事、秋の国内2戦(富士S、マイルCS)はいずれも差し優勢レースで展開に恵まれた事、帰国後という事もあり、中間の追い切りの本数(外厩含め)が少ない事などから、想定オッズ(単勝2.5倍前後想定でした)程の好走確率があるかと考えると微妙と感じました。
マスクトディーヴァについては、秋華賞を機に評価を大きく変えた一頭で、パフォーマンスはGI級という評価をしていた馬。2走前は大出遅れで参考外、前走は直線で右手綱を落とすハプニングがありながら、きっちり抜け出し快勝というレース。
こちらは、ケチをつけるような所はありませんでしたが、現4歳世代と他世代のヨコ比較の不透明さ、前走は結果的にスタートを出たものの、スタート直前に怪しい動作あり今回もきちんとスタートを切るか不安な事などから、ナミュールよりは高評価だけれども想定オッズ(4倍前後想定でした)の期待値があるかどうか微妙という評価でした。
3. それ以外の精査 まず結論から言いますと今年のヴィクトリアマイルは、これ! という穴馬が正直1頭も発見できませんでした。結果的に重い印を打ったウンブライルも当初は消し予定でしたし、同じく重い印を打ったテンハッピーローズとサウンドビバーチェも何かすごい根拠があったというわけではありません。
とはいえ、第一感で凡戦になりそうという感覚を大事にするフォームで戦っていますので、今年のヴィクトリアマイルは網を広げて買うべきレースであると感じた事。
その前提で考えると普段は拾わない様な馬でも相対的な観点で買える理由を見つけられないだろうか? と考え再度精査に入りました。
そこで最初に精査したのはサウンドビバーチェでした。近走は大敗が続いていますが、シンプルに昨年のヴィクトリアマイルの5着ぐらい走れれば、今年も馬券圏内の確率は充分あるのではという事。
次に精査したのが、今回の高額的中の立役者となったテンハッピーローズでした。
ウマい馬券の高評価理由にも書きましたが、前走(阪神牝馬S)は外伸び馬場を最内から差してくるトラックバイアスの観点では向かない展開ながら勝ち馬(マスクトディーヴァ)と0.4差と健闘している事。加えて左回りの方がパフォーマンス高いのでコース替わりはプラス、差し優勢レースになれば、今年のメンバーなら充分走破圏内ではという事。
精査した結果、この2頭を高評価としつつ、枠番発表を待つ形としました。
4. 枠番発表+上記3点を踏まえた予想の確定と馬券構築 ここまでをまとめると
・レースとしては凡戦(大荒れ)になりそうという事
・上位2頭の期待値(オッズと好走確率)が見合わなそうな事
・マスクトディーヴァ>ナミュールである事
・穴馬で積極的に狙いたい馬はいないが、しいてあげるならばサウンドビバーチェとテンハッピーローズの2頭
この様な形で最後の仕上げに入ります。枠番を見た印象としてスタートに不安のあるマスクトディーヴァが偶数を引いた事、枠の並び的に速い流れにはなりそうもなく、枠の優劣は特にしなくて良い事が情報として加わりました。それを踏まえ、最終結論は以下としました。

※☆は○▲と同評価、△は3連複Fの3列目という評価です。
当初はサウンドビバーチェとテンハッピーローズから振り回す事も検討したのですが、マスクトディーヴァとナミュールのヨコ比較では、しっかりとマスクトディーヴァだった事もあり、好走確率を考えマスクトディーヴァを本命とする事を決め、相手本線は天栄外厩該当馬の東京替わりで上昇見込めそうなウンブライルを対抗に入れ的中率を意識しつつ、サウンドビバーチェとテンハッピーローズを加え、勝負する形を取りました。
単勝は4倍前後を想定していたので、1.5万前後想定の払戻で最低限の払い戻しを確保する目的、馬連と3連複は特に人気のなかった2頭と決まった時の高めを狙う目的でこの様な買い目としております。
この様な形で勝負し、結果として良い結果をもたらす事が出来ました。
以上となります。また予想の頭脳を披露する事が出来る様、頑張っていきたいと思います!
(マジックウマ)
今回解説の予想結果は
こちら。