こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、小倉競馬場で行われるプロキオンステークス(GIII)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
気がかりはかなり早い時計が出ていること
近年は関西圏の競馬場改修が続いたことにより毎年のように施行条件が変わり、もはや本来の条件が何なのかよくわからないプロキオンS。今年は2021・22年に続いて小倉1700mで施行される。
個人的に昨年の3回開催からの小倉ダートで気になっているのが、良馬場であってもかなり速い時計が出ていること。それ以前と勝ち時計の平均を比較してみても、昨年夏開催からは1秒近く速くなっている。明確な要因は不明も、昨年3回開催の開幕前に全面的に路盤を改修したとのことで、それが関係しているのかもしれない。
ご存じの通り小回りで直線が短く坂もない為先行力や立ちまわりが必要なコースだが、走破時計が速いということは当たり前だがゴールまで速く走らないといけないわけで、そう言った特徴がさらに強調されると考えていい。上級条件ともなるとさらに時計が速いので、1400mにも対応できるようなスピードがある馬か、コーナーで動けるだけの機動力のある馬を狙いたいところ。
今年は何といっても無敗の怪物ヤマニンウルスの参戦が話題になりそうで、かなり被ったオッズになることが想定される。ダートは芝に比べてクラスの壁が厚く、昇級戦でいきなりの重賞は能力的に通用しない場合が多いが、この馬に関しては新馬戦の時計や上がりが余りにも異次元なので能力が通用しないということはまずないだろう。
ただ課題も大きく、まず一つがここまでのテン3Fが3走前37.5秒、2走前36.7秒、前走37.1秒と遅く、その中で2番手からの競馬とストレスが掛かる競馬をしていない点。
あまりにも能力が違い過ぎて周りも及び腰になっているのか楽な競馬ばかりで勝ち上がってきてしまったが、小倉1700mでの古馬オープンクラスになると昨年の阿蘇Sがテン3F35.2秒、今年の門司Sが35.4秒と、これまでと同じ競馬をしようと思ったらかなり速い追走を求められる。
そしてこちらが今回考える課題の主だが、前走馬体重582キロが示すように超大型馬であり、斉藤調教師は『フレーム(骨格)を考えればもっと増えていい』と話しているようにフットワークもそれに比例して大きく、小倉のような小回りコースで他馬に干渉される競馬になると本来の能力を発揮できないであろうという事。
同じジャスタウェイ産駒のダノンザキッドなんかは典型例だったが、GIで2戦連続2着に好走した後の中山記念で内枠から馬群に入ると何もいいところなく11着、しかし次走の大阪杯では外を先行して3着に好走した。もしかしたら川田騎手が言うように中山が嫌いだっただけなのかもしれないし、馬に乗ったこともないド素人がそれを否定する気は全くないが、物理的なところでも要因は明らかだったという話である。
「2番人気想定ダノンザキッド
昨年秋の3戦は掛かって先行して不利な流れで3着の毎日王冠、狭いところから抜け出し2着のマイルCS、勝ち馬とは差があったが長く脚を使って2着の香港Cといい内容で走れているし、それ以前と比較しても一つ力を付けた印象。
昨年のこのレースはパンサラッサがいてペースが緩まない中で向正面で押し上げ脚をなくす競馬で力を出していない。ただやはり不器用なので中山の内枠という条件はこの馬にマッチしていない。出して行かないと被されてポジションを悪くしそうだし、この鞍上では人気ならリスク。
◎ダノンザキッド
大跳びで不器用なタイプで前走中山記念は内枠を引いたので軽視したが、案の定コーナリングで苦労して全く力を出せなかった。それ以前は毎日王冠はハイペースを掛かり通しでも3着だし、マイルCSと香港C2着と普通に考えて能力的にはこのメンバーでも上位。
今回は外枠を引いたが、この馬の特性を考えれば内枠を引くよりはまし。メンバー的にも先行馬手薄だし、距離延長の臨戦で前走では先行していることを考えればここでは行き脚上位でおかしくない。並び的にも逃げるだろうジャックドールから外だとこの馬が一番速いし、上手くジャックドールの番手につけられれば勝つ可能性も十分考えられる。前走の敗戦だけであまりにも舐められているのでハマる方に期待したい。」
↑当時の見解
ヤマニンウルスもこれまではすべて外に馬を置かない形で競馬できているが、距離短縮の今回はそうスムーズな競馬ができる保証はない。外枠を引ければこれまで通り能力で磨り潰してしまっても仕方ないが、揉まれそうな枠や並びになった場合は危険ではないかと考えている。