豪州のサラブレッドマーケティング団体であるオスホース(Aushorse)が、オーストラリアのサラブレッド産業を世界中に発信。
本コラムでは、日本でも活躍が目立つオーストラリア血統を評論家の栗山求氏がご紹介します。
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古くは顕彰馬ハイセイコーなども…
ここ最近の日本のビッグレースは、オーストラリア血統を抱えた馬が大活躍し、新たなトレンドを形成しつつある。
たとえば2023年。牡牝の三冠レースでいずれもオーストラリア血統を抱えた馬が勝利した。牝馬三冠を達成したリバティアイランドは、母ヤンキーローズがオーストラリア産馬。現役時代に芝1400mと芝2000mのGIを制覇し、豪2歳短距離王者決定戦のゴールデンスリッパーS(豪G1・芝1200m)でも2着と健闘している。
また、菊花賞を制したドゥレッツァは、母モアザンセイクリッドがオーストラリア産馬。現役時代にニュージーランドオークス(GI・芝2400m)のタイトルを獲得している。
2024年に入ってもこの流れは続く。皐月賞を勝ち、日本ダービーでも2着と健闘したジャスティンミラノは、母の父エクシードアンドエクセルがオーストラリア生まれのGI馬。種牡馬として大成功を収め、同国のチャンピオンサイアーの座についている。ジャスティンミラノだけでなく、桜花賞とオークスでいずれも3着だったライトバックの母の父でもある。
皐月賞でクビ差2着と健闘したコスモキュランダは、母サザンスピードがオーストラリア産馬で、現役時代にコーフィールドC(豪GI・芝2400m)など3つの重賞を制覇した。
オーストラリア馬は、古くは明治時代に輸入された血統不詳の牝馬ミラの系統が大きな足跡を残し、子孫からシーエース(桜花賞)、ヒカルイマイ(皐月賞、日本ダービー)、ランドプリンス(皐月賞)といったクラシックホースを誕生させた。
また、第二次世界大戦後、競走馬不足を補うために輸入されたダルモーガン、クニビキの系統から、それぞれハイセイコー、タケシバオーという2頭の顕彰馬が出ている。オーストラリア馬と日本の関係は意外に古く、かつ深い。
とはいえ、1、2年の間にこれだけ活躍馬が出たことはなく、もはやたまたまでも偶然でもないだろう。わが国に入ったオーストラリア血統は、アメリカやヨーロッパ血統に比べるとはるかに少ないにもかかわらず、昨今の存在感はそれらをしのいでいる。日本の競馬に高い適性を備えていることは間違いない。