こちらのコラムでは、俺プロ出身の奇才・のれん氏が当週の重賞注目馬を公開。ただ強いというだけでなく、馬券で期待値がとれそうな「妙味ある馬」を紹介していただきます。
今週のれん氏が注目したのは、新潟競馬場で行われるアイビスサマーダッシュ(GIII)。実力派の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
今年は差し馬が食い込む余地の大きい環境
年に一度きりの直線コースでの重賞レースとなるアイビスSD。外ラチに馬が殺到する新潟芝1000mを予想する際に重要視するポイントとして、ほとんどの人がまず枠順を思い浮かべるだろう。
上の表を見ての通り8枠の複勝率が抜けて良く、内に行くにつれて悪くなっていき5枠以降はさっぱり。
今更自分が言うまでもなく新潟芝1000mにおいて外枠が有利なことは予想者ほぼすべてに周知されているが、パリミュチュエル方式である日本競馬においては、有利である=儲かるではない。しかしそれでも複勝回収率95%以上を維持しているのは世間の認識以上に外枠が有利であるということ。
しかし野芝の生育が良い夏の開幕週での開催となるアイビスSDでは、2021年に1枠1番を引いたバカラクイーンが内ラチ沿いを進む選択をして3着に粘り込んだのは記憶に新しいところ。それ以降も2022年は4頭、2023年は1頭が内ラチ沿いを狙う作戦に出てきたように、それ以前とは状況が変化してきている。
その2年のレースで特徴的だったのが、道中で二桁通過順だった馬が2頭ずつ馬券になったこと。それ以前の8年で同じ条件で馬券内は2頭のみだったが、ここ2年で急増したのは偶然の産物なのだろうか。
個人的には、バカラクイーンの成功の影響で内ラチ沿いに進路を取る馬が増えたことに加え、開幕週で騎手の外ラチへの意識が比較的薄めであることから、内枠からでも外ラチを取り切る動きをした馬と騎手が馬群を捌くことが容易となり、結果的に恵まれる環境が形成されているのが大きな要因だと考える。
競走馬が全力疾走できる距離は長くても400mと言われており、1000m戦とはいえ道中で脚を溜めないことにはゴールまでは持たない。だからこそ、前半で無理をした馬を後ろで死んだふりをしながら溜めていた馬が最後捕らえるのがこのコースの穴パターンになる。
今年はメンバー的にもアビッグチア・ジャスパークローネ・チェイスザドリーム・テイエムスパーダ・マウンテンムスメなど比較的先行馬は揃っている印象で、差し馬が食い込む余地の大きい環境になる可能性が高いとみている。