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【野中賢二調教師】“大器”プロミストウォリアが1年1カ月ぶりに戦列復帰「ここしかない、と思いました」

  • 2024年07月28日(日) 19時01分
今週のFace

▲エルムSに出走予定のプロミストウォリアを管理する野中賢二調教師(C)netkeiba


条件クラスから連戦連勝で東海S、アンタレスSとダート重賞を2連勝したプロミストウォリアが戦列復帰します。昨年の帝王賞5着後、休養を挟んで年末のチャンピオンズCを目指したものの、直前で回避。その後、長期にわたる休養に入りました。その間、一体なにがあったのでしょうか。

2019年フェブラリーS・GIを制したインティをはじめ、ダート中距離界での活躍馬を多く擁する野中賢二調教師に伺いました。

(取材・構成:大恵陽子)

昨年末のチャンピオンズCは直前で回避…


──昨春のアンタレスSは好時計での勝利でした。

野中 内容は強かったですね。斤量も59kgを背負ってのもので、ポテンシャルはかなり高いものがあると改めて感じました。

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▲アンタレスSを完勝したプロミストウォリア(C)netkeiba


──その後、帝王賞では逃げて5着で、年末にはチャンピオンズCを目指したものの直前で回避。

野中 これまでは骨折で長期休養をしたことはあったのですが、今回は初めて右トモが肉離れのような筋肉痛になりました。昨秋はチャンピオンズCに向けてトレセンに入厩して調整を進めていましたが、1週前追い切りの後に出走を断念しました。人間と同じで、一度傷めると肉離れは再発率も高いと感じています。ノーザンファームしがらきでは症状が治まって乗り出したものの、再び歩様が乱れて、という一進一退の状態でした。

──これだけの素質馬ですし、慎重に進めていきたい思いもあるかと思います。


野中 シルクレーシングには何百人とこの馬に出資してくださっている方がいるでしょうからね。

──野中厩舎といえば、インティなど体質の弱さを抱えながらも、若い頃に無理せず間隔を空けてレースに使うことで、古馬になって活躍する馬が多い印象です。

野中 プロミストウォリアの場合は骨折をしていたので必然的に使えませんでしたけど、インティとかはそうですね。

──今回はエルムSに向けて、レースの約2カ月前の早い時期からトレセンに入厩して調整が進められています。

野中 今回は間隔が空いていますし、500kgを超える大型馬。重賞の舞台に向けて馬を作っていくとなると、それなりの仕上げが必要です。

斤量を考慮してのエルムS出走「長期休養明けでも引けを取らない」


──7月17日には栗東坂路で54秒5、ラスト1ハロン12秒9の2週前追い切りが行われました。

野中 思っていたよりも内容や時計が軽くなってしまいましたが、直前まで栗東トレセンで仕上げて北海道に輸送することも選択肢の一つに入れています。夏がちょっと弱いのでそこが気がかりですが、トレセンに帰厩してからは順調にきていて、今のところ暑さにも耐えられています。

──これまで逃げるレースが多いですが、ハナに行っても直線でさらに突き放す競馬をしていて、強さを感じます。

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▲「今のところ暑さにも耐えられている」と野中師(C)netkeiba


野中 ハナにこだわっているわけではないですけど、自分でレースを作ることもできます。今回、札幌のダート1700mがどうかという点はありますけど、重賞2勝を挙げているので他のレースだと斤量を背負うことになります。斤量を背負いすぎずに、いい状態で出せるタイミングのレースとしてはここしかない、と思いました。

──素質馬の復帰戦に期待が高まります。

野中 久しぶりのレースにはなりますが、調教はこの馬なりに順調にきています。元々のポテンシャルが高いので、仕上げの局面に入ると心臓が一気に良くなります。走る馬に見られる特徴ですね。走れる態勢にはなってきているので、あとは小回りのダート1700mが鍵になるでしょう。この馬もスピードはありますけど、他の馬も行きたがるし、同型馬もいるでしょうから、その辺との兼ね合いになります。それでも、これまで戦ってきた相手を考えると、長期休養明けでも引けを取らないと思います。あとは久しぶりの分、息がもってくれればと思います。

(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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