▲関屋記念に挑むディオについてインタビュー(撮影:大恵陽子)
超がつくほど堅実な走りを見せるディオ。これまで掲示板を外したのはダービー卿チャレンジトロフィーのみで、条件クラス時代もオープン馬になってからも、実に19戦で5着以内に入っています。
その成績からは性格も優等生かと思いきや、辻野泰之厩舎で担当する相良元輝調教助手は「パリピなんですよ」と笑います。いったいどんな素顔なのか。関屋記念を目指す現在の状態について相良調教助手に伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
元気よく「おはよーっ!」と挨拶するパリピ
──ディオは20戦中19戦で掲示板を確保する堅実な走りを見せます。
相良 条件馬の頃はまだ体がしっかりもしていなかったし、ちょっと真面目じゃないというか(苦笑)。一生懸命じゃなくて、3歳の頃はヨレたり物見をしたり、馬が急に来たらビックリしちゃったりしていました。
──走りに余裕があるから、逆に言うと勝ちきれないレースも多かったんですね。
相良 ゴール直前まで先頭に立ちたくないタイプの馬ですけど、条件戦の頃は力があるから早めに先頭に立ってしまいました。そうすると見るものがいっぱいあるから、そちらに気を取られて競馬を止めていました。ディオにとったら、みんなと一緒に走っていないとパーティーが終わっちゃう! と思っているんですかね(笑)。
▲周りに気を取られていたという条件戦時のディオ、隣は相良助手(ユーザー提供:ももち〜さん)
──レースをパーティーと勘違いしている疑惑(苦笑)。かなりの陽キャだとか?
相良 「パリピ」なんです。いつも楽しそうだね。男女関係なく馬が好きで、厩舎の外に出ると「おはよーっ!」みたいな感じで吠えています。
──ギャル感がありますね。馬房でもそんな感じなんですか?
相良 馬房ではすごく大人しいです。ディオが悪いことをしそうになった時に、僕が「うん!?」って強い視線で目を合わすと、「ごめんね」って感じでぺろっと舌を出します。意外と賢くて、その姿を見ると「もう…。しゃーないな」となります。
──さっき口元をポンポンと触ると、舌を出していましたね。一芸っぽい(笑)。
相良 舌はよく出しています。何かアピールじゃないかな? とにかく、なんだか楽しそうです。
▲相良助手に口元を触られると...(撮影:大恵陽子)
▲舌を出してなにかをアピール!?(撮影:大恵陽子)
「セオ、ディオ」以上のライバル馬、現る!?
──何度か一緒にレースを走ったセオとは「セオ、ディオ、セオ、ディオ」と実況で連呼される追い比べがあり、ライバルのようになっています。
相良 そうそう、実況でライバルみたいに言われていましたね。でも、条件クラスでは先頭に立つとソラを使って遊んでいたので、そういう馬はいっぱいいるんです。一番よく一緒に走っているのはムーンリットナイトじゃないかな。10回くらい一緒に走っているらしくて、セオやトゥードジボンは2〜3回ですからね。
──ここ2走を振り返っていかがですか。
相良 2走前のダービー卿CTは条件戦の時と同じようなレース間隔だったんですけど、それが結果的に失敗したかな、と思います。これまでとは相手が違うから疲れも大きかったのか、レース前にもう疲れてしまっていました。その後はしっかり立て直して、前走の米子Sはその分、仕上げが少し甘くなったけどそれでも2着と格好をつけてくれました。勝ったトゥードジボンは逃げ切り。こちらは早めに先頭に立つわけにはいかないから、自分からポジションを押し上げていけなくて、どうしても逃げ切られやすくはなってしまいます。
──先頭に立つと遊んでしまう面は調教などで何とかなるのか、この馬の性格として割り切らないといけないのか、どうなんでしょう?
相良 割り切らなきゃいけないんじゃないかな。大人になるならもうなっていると思うけど、3年間それを続けていますからね。
──さて、関屋記念に向けて状態はいかがですか?
相良 前走後は短期放牧に出して、戻ってきて順調にきています。
──新潟は未経験。初めての場所は大丈夫そうですか?
相良 何回も行っている阪神や京都でも毎回、物見しているので、同じ所に行っても初めての所に行っても一緒だと思います。あとはコース形態が合うか合わないかだけ。左回りはデビュー戦の東京や、1勝クラスの中京でヨレていましたけど、あの頃はちゃんと競馬をしていませんでした。左回り自体が下手ということはありません。
ファンの方の中には有名な漫画になぞらえて「ディオ様」と呼んでくれている方もいるみたいですね。本人を見ていると、“様”という感じや、イタリア語で意味する「神」という感じは…まぁね、うん(苦笑)。なんとか活躍して、サマーマイルシリーズのチャンピオンを狙いたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
(文中敬称略)