スマートフォン版へ

世界騎手選抜戦シャーガーCがイギリスで開催! 個人1位は参戦16度目のベテラン女性騎手に

  • 2024年08月14日(水) 12時00分

今年導入された新機軸とは?


 英国のアスコット競馬場を舞台とした世界騎手選抜戦「シャーガーC」が、10日(土曜日)に行われた。

 このイベントは西暦1999年にスタート。途中コロナ禍で中止になった年を挟んで、今年で24回目の開催となった。

 12名の選抜騎手を、「英国・愛国選抜」、「欧州選抜」「女性選抜」「世界選抜」の4チームに分け、個人戦とともにチーム戦も楽しもうというのは、これまでと変わらぬ趣向だった一方、今年導入された新機軸が、世界選抜チーム3人を女性だけで揃えたことだ。したがって、出場12名における男女比は6人対6人となり、ジェンダーレスの時代にますます寄り添う内容となっている。

 騎手がまとう服色は、英愛チームが緑色、欧州チームが水色、女性チームが桃色、世界チームが黄色で、目の前で繰り広げられる勝負は、どのチームが優位に進めているのかが、スタンドのファンにも一目でわかる工夫がこらされている。

 施行される6レースにはそれぞれ、1着15点、2着10点、3着7点、4着5点、5着3点のポイントが設定されていて、6レースの通算ポイントで、個人成績も団体成績も優劣がつけられる。

 第1Rとして施行されたのが、距離5FのシャーガーCダッシュだ。

 抜群のスタートを切ったのが、世界選抜に所属する藤田菜七子騎手騎乗のアデイインデヴォン(牝3、5.5倍の2番人気)だったが、しばらく行くと控え、3番手グループを追走。そのグループの外を手応えよく追走していたのが、レイチェル・ヴェニカー騎手(世界選抜)が騎乗する1番人気(5倍)のホークハムベイ(セン4)で、同馬が残り250mで先頭に立つと、そこから2.3/4馬身抜け出す快勝。アデイインデヴォンは4着に粘り切り、2頭で20を獲得した世界選抜が、チーム戦で首位にたった。

 第2Rとして施行されたのが、距離15F209yのシャーガーCステイヤーズ。女性選抜のキャプテンを務めるヘイリー・ターナー騎手が騎乗するランチハンド(セン8、7.5倍の4番人気)が、1番枠から出てハナに立ち逃走。逃げ込みを図る同馬の外に、残り1Fで馬体を併せてきたのが、英愛選抜のシーミー・ヘファーナン騎手が乗るビーミッシュ(セン6、13倍の8番人気)で、2頭の競り合いがゴールまで続いた末、写真判定の末にランチハンドのアタマ差優勝と決した。

 緒戦で17点を獲得していた英愛選抜が、ここで10点を加えて通算27点となり、2レースを終えた段階でチーム戦の首位に立った。

 第3Rとして施行されたのが、距離11F211yのシャーガーCチャレンジ。

 藤田菜七子騎手が騎乗するアルフレッドブーシェ(セン8、父オージールールズ、51倍の10番人気)が果敢に逃げたが、直線残り2Fで脚が上がって後退。道中は4番手内ラチ沿いを追走していたレイチェル・キング騎手(世界選抜)騎乗のインサニティ(セン4、5.5倍の2番人気)と、3番手外目を追走していたホセ・ルイス・ボレゴ騎手(欧州選抜)が騎乗するドリームハーダー(セン5、21倍の8番人気)の2頭が、残り350mから馬体を接しての鍔迫り合い戦を演じた末、インサニティが頭差先着して優勝。チーム戦は、世界選抜と英愛選抜が通算35点ずつで首位を並走することになった。

 第4Rとして施行されたのが、距離6FのシャーガーCスプリント。

 ホセ・ルイス・ボレゴ騎手が騎乗するヴェンチュラキャピタル(セン3)が逃げ、残り300mの段階で後続を1馬身リード。そこから追いこんだのが、道中は馬群後方で脚を溜めていたビリー・ロクナン騎手(英愛選抜)が騎乗するジャラーフ(牡3、1.83倍の1番人気)で、同馬が2.3/4馬身抜ける快勝となった。

 ここで20点を加点した英愛選抜が、3点の加算に終わった世界選抜に17点差をつけ、チーム戦を優位に展開。さらに、ここで15点を獲得した英愛選抜のビリー・ロクナン騎手が、通算28点となって個人の部でも首位に立っている。

 第5Rとして施行されたのが、距離11F211yのシャーガーCクラシック。

 1番枠から出たマリー・ヴェロン騎手(女性選抜)騎乗のヒューストン(セン3、父エキスパートアイ、10倍の3番人気)が逃げ、バウルジャン・ムルザバエフ騎手(欧州選抜)が乗るゴーイングリモート(セン3、父コーディアック、13倍の5番人気)が、やや折り合いを欠きつつ差のない2番手を追走。2頭の態勢は変わらぬまま直線に向き、一騎打ちの様相に。しかし、2頭が並んでゴール板に飛び込もうとした刹那、猛然と追いこんだのがレイチェル・ヴェニカー騎手が騎乗するシャンパンプリンス(牡3、父ロペデヴェガ、10倍の3番人気)で、3頭が鼻面を揃えてゴール。写真判定の末、1着ゴーイングリモート、クビ差2着がシャンパンプリンス。さらにアタマ差遅れた3着がヒューストンと決した。

 6R中5Rを消化した段階で、チーム戦は欧州選抜と英愛選抜が55点で首位を並走。世界選抜が48点、女性選抜が46点で、どのチームにも優勝のチャンスは残されていた、

 一方、個人戦はビリー・ラフネインとレイチェル・ヴェニカー騎手が28点で首位に並んでいた。

 迎えた最終Rは、距離7F213yのシャーガーCマイル。

 ジョアンナ・メイソン騎手(女性選抜)が騎乗するヤンターリ(セン5、父ドバウィ、8倍の3番人気)が逃走。直線残り1Fで後続に1.1/2馬身をつけていたヤンターリに対し、ゴール前で強襲したのが、道中3番手内埒沿いにいたヘイリー・ターナー騎手騎乗のニューイメージ(セン4、父フランケル、4.33倍の1番人気)で、同馬がゴール間際にヤンターリを短アタマ差交わして優勝を飾った。最終戦は女性選抜の1.2着独占となったこの結果を受け、チーム戦は71点をあげた女性選抜が優勝。一方の個人戦は、ヘイリー・ターナー騎手とレイチェル・ヴェニカー騎手が35点ずつで並んだが、勝ち星の数がターナー騎手に対しヴェニカー騎手で、規定により個人1位に与えられるアリスター・ハギス・シルバー・サドル賞はターナー騎手に贈呈された。

 これが16回目のシャーガーC参加となるターナー騎手。アリスター・ハギス・シルバー・サドル賞受賞は3度目のこととなった。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング